【渋澤 和世】「40代町工場の跡継ぎ」が婚活を始めたら、「500万円」を請求された哀しすぎるケース

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

マッチングアプリや結婚相談所など婚活サービスを利用した婚姻は、珍しいものではなくなってきています。「結婚が決まった」と、周囲から薦められて登録したという人も多いでしょう。しかし、いくらカジュアルになったとしても、どんな人に会えるのか、サービス自体がぼったくりや詐欺なのではないか、と不安になる気持ちもあります。今回は、息子を結婚相談所に登録させた結果、思わぬトラブルに巻き込まれたケースを紹介します。
東京都大田区で機械金属加工の会社を経営している秋山さん一家。社長の父・文夫さんと、事務方を務める母親の千代子さん含め、5人で細々営む町工場です(登場人物すべて仮名)。
大田区は日本を代表する町工場が集積する地域ですが、後継者不足、海外生産増加による受注減、住宅増加に伴う周辺からの苦情などの悩みを抱えている会社も少なくありません。
秋山さん一家も、例外ではありません。息子の大介さんが後を継ぐ決心をしてくれたことは秋山家にとってとは大きな安心材料でしたが、以前勤めていた会社から転職してまだ3年目。工場の看板を背負うまでに成長するまで、もう少し時間がかかりそうです。
母親の千代子さんには、もう一つ悩みがありました。それは、大介さんの結婚問題です。
大介さんは現在独身で、これまでも息子から交際している女性を紹介されたことはありません。休みになるとカメラを抱えて、鉄道の写真を撮りに行くのが唯一の趣味です。
それも、これだと思った路線は日を変えて何回も撮影に行くほどのこだわりようで、この行動力はすさまじいもの。このエネルギーの一部でもパートナー捜しに発揮してくれれば……と、千代子さんは気を揉んでいました。
Photo by gettyimages
「最近は女性の鉄道ファンも増えているようですが、『撮り鉄』の生活ルーティンが相手に納得してもらえるかわかりませんし、うちの仕事も女性と知り合うチャンスもない。
父親の後継者は息子だとしても、工場をサポートしてくれる自分の後継者となる人も必要です。結婚のご縁がどこかにないかしら」
と、千代子さんの心配は尽きません。
そんなある日、同じように工場を営むA社の夫妻からこんな話を聞きました。同じように独身の子息がいたのですが、「息子が結婚相談所に登録したところ、1年ちょっとで良い相手に恵まれた」というのです。
その相談所は、初期費用30万円、月会費2万円、成婚費用30万円。この他にも細々とした雑費なるものはかかったそうですが、「100万円から200万円で良い縁が得られると思えば安いものでした」と、A社の社長夫人は話します。
ですが、千代子さんの感覚では、結婚相談所は「モテない人が登録するところ」でした。
手前味噌だけれども、大介は学もあるし、性格も優しい。外見だって、親から見ればいい男です。そんな息子を紹介所に、なんてこれっぽっちも考えていなかったのですが、冷静になれば、息子も40歳を超えているし、自分も66歳でれっきとした高齢者の仲間入りです。
Photo by gettyimages
「後継者」もいつまで育てられるかわからないし、やっぱり孫のことも考えてしまいます。紹介所と言っても、「お見合いの一種」だと思えば悪くないと千代子さんは思い直すようになりました。
しかし、これがトラブルにつながるとはこの時は想像もしていませんでした。秋山さんは結婚相談所に登録をして婚活を始めたものの、総額500万円もの費用を支払う羽目になってしまったのです。
良縁を求めた結果、あの手この手で結婚相談所から高額の契約を求められ、ついサインしてしまうというケースが増加しています。秋山さんの場合は、いったい何が起こったのでしょうか。後編記事結婚相談所に「500万円」を支払った「40代町工場の跡継ぎ」が紹介された「外国人女性」に続く。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。