【池守 りぜね】小3息子の「中学受験」を決めた39歳主婦が、ママ友から言われた「衝撃の一言」 なぜ、知っているの…?

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令和4年に東京都教育委員会が発表した『公立学校統計調査報告書』によると、令和3年度の都内の公立小学校の卒業者9万8,238人のうち都内の公立中学校への進学者は7万6,975人で進学率は78.4%、都内の私立中学校への進学者は1万9,025人で19.4%となった。
私立以外に国立も含むと、およそ都内の小学生の2割が入学試験を突破して中学に進学する。東京23区のなかでも中学受験の盛んな文京区では、卒業者1,617人に対して、792人が私立に進学している。約2人に1人が中学受験をしている計算だ。中学受験のシビアな現実を描いて話題となった漫画『二月の勝者』(高瀬志帆作)も、もはや絵空事ではなくママたちにとっては現実と言える。
令和を生きるママたちにとって、新たな試練ともいえる中学受験。今回は習い事を辞めて中学受験を始めたことで、親同士の間で起きてしまったまさかのトラブルを紹介する。
都内に暮らす小林真奈美さん(仮名・39歳、以下同)は、小学校3年生になる息子・正孝君の育児中だ。正孝君はおっとりとした性格で、ママ友の家に子連れで集まった時もほかの子とはあまり遊ばず、一人でゲームをしていたという。真奈美さんの目が届かないところでも、同級生からちょっかいを出されたことがあった。
「以前、息子だけで公園に遊びに行かせたら、買ったばかりの自転車を同じ小学校に通う活発な同級生の拓海君(仮名)に奪われて乗り回されたんです。その場にいたほかのママから聞きました。息子は『親に買ってもらって大事だから返して』と泣いていたそうでした」(以下「」内は真奈美さん)
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体格に差が出てくる小3くらいから、体の大きい子が小さい子に対して、からかいのような形でちょっかいを出すのはよくあることだ。身長が低い正孝君も“被害者”の一人だった。
「うちの子は、教室で後ろの席に座っていた体格が大きい男の子に椅子を蹴られていたんです。息子が『やめて!』と言っても、面白がって蹴るのを止めなかったみたいで…。担任の先生に相談して注意してもらいました。子ども達はからかいのつもりでもいじめだと思うのですが、注意されても今度は暴言を言われたらしくて、キリがないんですよね」
拓海君の家は両親ともに帰りが遅く、よく友達を誘って公園で遅い時間まで遊んでいるという。授業中にも、大きな声を出して授業を妨害することがあり、真奈美さんは正孝君の将来に不安を募らせていった。このまま拓海君たちが進学する地元の中学におとなしい性格の息子を行かせるのが心配で、中学受験を考えるようになったそうだ。
周囲の環境が理由で真奈美さんは中学受験を考え始めたが、元々受験する子どもが多い地域ではないため、最寄り駅から電車に乗らないと進学塾すらない。中学受験が盛んな地域と比べると、公団も多くや家賃相場も安い。経済的な理由から、地元の公立中学への進学が当たり前だという。
「保護者会で担任の先生に中学受験する家庭がどれくらいいるのか聞いたら、『1クラスに3人くらいで女の子の家庭が多い』って言うんです。男の子で中学受験をするとなると、かなり優秀な子で学校や塾から受験を勧められたりしたことがある家庭が一般的だそうなんです」
何から始めればいいかわからない真奈美さんは、まずは正孝君に大手進学塾のオープンテストを受けさせた。
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「それまで学校の勉強以外は何もやっていなかったので、テストの成績は入塾条件に足りなかったようです。しかし新小4としての新学期が本格的に始まる小3の2月だったので、特別に補講を受ければ入塾できると言われました」
学年が上がっていくと受講希望者が増えて入塾しづらくなると思った真奈美さんは補講を受けさせて、小3の2月に始まった新学期から正孝君を塾に通わせ始めた。
「本来の塾の授業は4科目だったのですが、他の習い事もあるので2科目だけにしようと思ったんです。でも息子の成績が低かったので、塾の先生から『最初から4科目でスタートした方が良い』と説得されました。だからそれまで週2回通っていた公文も、土曜日のサッカークラブも辞めることにしたんです」
真奈美さんは、塾通いを優先させるために正孝君の習い事を整理したが、息子を塾に通わせ始めたママにとって、習い事と塾をどう両立させるかは頭が痛い悩みだ。受験界では「佐藤ママ」と呼ばれている教育評論家の佐藤亮子さんも、子どもを塾に通わせるために他の習い事を辞めさせたと公言している。しかしこの判断が、思わぬ波乱を呼ぶ結果となってしまった。
「同じサッカークラブに通うママ友から、『正孝君見かけないけれど、どうしたの?』とメッセが届きました」
同じサッカークラブに通うママ友に、辞めることを伝えずに休んだため、問題となったのだ。
「サッカークラブは土曜日だったので塾の日とは重ならなかったのですが、その日に塾のテストが開催されることもあります。そのたびにクラブを休むのも難しいし、お茶を用意するなど保護者の当番も負担になりそうだったので、この機会に辞めることにしました」
しかしあまりにも急に辞めたために、サッカークラブのママ友たちから文句を言われた。
「サッカークラブには、正孝が幼稚園の時から仲が良かった友達と一緒に入りました。それなのに急に辞めることになってママ友からは非難されました。サッカーの練習は、近隣にある小学校の校庭を使っていました。
週によって借りられる学校が違うため、自転車を使って行く距離の学校へは、仲が良いママたちが交代で子どもたちを引率していました。息子が辞めてしまうと、送迎の負担が増えてしまう。ママ友からも『来週の練習は来ないの!?』と責められました」
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真奈美さんの決断は、ママ友たちとの関係性にも影響を及ぼした。
「小4になって初めての小学校の保護者会の時に、サッカークラブのママたちがみんなで座っていた。でも軽く挨拶をしただけで会話に加わることができませんでした」
真奈美さんはクラブ内でもごく親しいママ友にだけ、中学受験を考えていることを伝えていた。ところが、教えていないはずの別のママからも「中学受験をするの?」と聞かれたそうだ。
「保護者会のあとに、ママたちで立ち話をしていたんです。そうしたら、あるママが突然、『正孝君、中学受験をするの?』と聞いてきた。もしかしたら息子も途中で塾を辞めるかもしれないし、まだわからないと伝えたんです。そしたら『だって、塾に通っているんでしょ』『どこの塾?』と根掘り葉掘り聞かれました。これがずっと続くとなると面倒だなって感じました……」
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まだまだ一般的ではない中学受験。真奈美さんが暮らしている地域のように、経済的な理由で、子どもが優秀でも中学受験を見送る家庭もあるだろう。受験をする家庭としない家庭の間にある溝は深い。うかつに中学受験することが知れ渡ると、ママたちの質問攻めにあってしまうようだ。
中学受験そのものが珍しい地域で受験すると決めた真奈美さん。しかしママ友から受けた「被害」はこれだけではなかった。
真奈美さん母子のその後については、後編記事『「勉強させたらかわいそう」息子の中学受験を決めた39歳主婦が、ママ友から受けた壮絶な「逆マウンティング」』で詳述する。

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