神戸市西区の草むらで近くに住む穂坂修(なお)ちゃん(6)の遺体が見つかり、一夜明けた23日、近隣住民や修ちゃんが通っていた保育園の関係者に驚きと悲しみが広がった。
住民らは「助けて」という子供の叫び声など、修ちゃんへの虐待をうかがわせる様子を証言。保育園の保護者は「本当にかわいそう」と涙ぐんだ。県警は22日、修ちゃんの祖母である女性(57)を自宅に監禁し、負傷させたとして、監禁と傷害の疑いでいずれも同居の無職で、修ちゃんの母親の沙喜(34)と弟の大地(32)、双子の妹の朝美(30)、朝華(30)の4容疑者を逮捕した。男児の体に明確な刺し傷などは見当たらず、極端にやせた様子もみられないが、県警は男児が虐待を受けていた可能性があるとみて、遺体を司法解剖し、詳しい死因などを調べている。
よれよれの体操着姿
「子供が泣きながら『助けて、助けて』と泣き叫んでいた」
現場近くの事務所で働く運送業の男性(25)は、こう振り返る。男性によると、修ちゃんや母親の沙喜容疑者らが住む集合住宅からは、たびたび男女の怒鳴り声が聞こえたという。ベランダに放置され、家の内側から鍵がかかって入れない状態の修ちゃんとみられる子供を目撃したこともあった。
あざなどはなく、やせてもいなかったが、よれよれの体操着のような服装だったという。男性は「ここ数カ月は家から聞こえる怒鳴り声がひどかった。虐待かもしれないと近所のみんなで噂していた」と話した。
一家を知る近所の70代女性は、沙喜容疑者が修ちゃんの体にひもをつけて歩く様子を目にしたという。沙喜容疑者に理由を尋ねると「(修ちゃんが)車を怖がらないからつけている」などと説明したという。
4、5日前には、沙喜容疑者を含む4きょうだいがスーツケースを押して出かける姿を見たといい、「いつもは小さい荷物しか持っていないのに、なぜかなと思った」と首をかしげた。
修ちゃんと同じ保育園に長女を通わせる女性(30)は、一昨年秋ごろの運動会で、修ちゃんが「『ママ、ママ』と言って元気な様子だった」と証言。沙喜容疑者については「競技中に『修君がんばれ』とスマートフォンで写真を撮影し、熱心に応援していた」と振り返った。
以前は登園する2人の姿を見かけたが、最近は見かけなかったといい、「(近くで事件が起きたことを)ニュースで知ったが、まさか亡くなったのが修ちゃんとは思わなかった。本当にかわいそう」と涙ぐんだ。