個人や少人数で製作した映像を、「Pornhub(ポルノハブ)」などのアダルト動画サイトに投稿し、収益を上げている人が増えている。「適正AV以外のアダルトビデオ」をつくり、莫大な収入を得ている人はいったいどんな人物なのだろうか。
【写真】この記事の写真を見る(2枚) ここでは、ノンフィクションライターの中村淳彦氏による『同人AV女優 貧困女子とアダルト格差』(祥伝社新書)の一部を抜粋。日本最難関の大学を卒業し、現在はPornhubプロデューサーを生業とする男性、そして出演者の女性の思いを紹介する。(全2回の1回目/続きを読む)
◆◆◆コンサル出身のポルノハブ・プロデューサー 最先端と呼ばれる同人AVは、カナダ発のプラットホーム「ポルノハブ(Pornhub)」を利用したポルノハバー(Pornhuber)たちのファンクラブ運営である。 ポルノハブとは、無料でポルノ映像が閲覧できるサイトで、全世界で10番目にアクセスされている巨大プラットフォームとして知られている。ポルノ映像専門のユーチューブと言えば分かりやすいだろうか。 村上太郎(34歳、仮名)はポルノハブで30チャンネル以上を運営するポルノハブ・プロデューサーで、JR中央線沿線に自社スタジオを持つ。プロデュースするポルノハバーの女性たちが自社スタジオに集い、日々撮影が行なわれている。AFLO「本職としてはIT系ベンチャーを経営して10年くらい会社をやっています。WEBマーケティング、SNS運用が本職だけど、コロナになって会社がうまくいかなくなった。どんどん案件がなくなって暇になったので、ポルノハブを始めたという流れ。初めて撮影したのが2020年夏、それから2年強。正直、なかなか儲かっています。いまの年収は数千万円単位です」一番多いときはメンズエステ店を5店舗運営 村上太郎のキャリアはエリートそのものだった。日本最難関大学を卒業後、コンサルティングファームに就職。30歳のときにIPO(新規上場)を目指して起業し、コロナによって事業がスケールしなかったことでポルノハブ・プロデューサーに転身している。「ずっとメンズエステが好きで、会社を経営しながら個人的にお店をやっていました。4年前にメンズエステの店を作って、一番多いときは5店舗を運営した。当時、ツイッターを使って集客する店はなかったので、SNSに力を入れたら成功した。その店は他社に売却して、いまも人気店です。メンズエステはカジュアルな業界でした。裏の世界みたいな人はいなかったし、4年間やって一度もそういう人たちが出てきたことはなかった。それはポルノハブ・プロデューサーになっても同じで、すごく健全に運営ができています」広告収入とファンクラブのサブスクがビジネスモデル 2007年にカナダで生まれたポルノハブは違法アップロードや、海賊版を見ることができるサイトとして伸長した。2020年12月に大きな運営方針の転換が行なわれる。 海賊版と未成年や本人同意のないアダルト動画の疑いがある映像が削除され、違法配信を防ぐためにアップロードには出演者の登録が必須となった。いまポルノハブの動画出演者は、同社にパスポートを提出して登録が完了した者のみになっている。「元々ポルノハブは海賊版の違法動画がアップされているサイトだった。日本のアダルトビデオも山ほど違法アップロードされていたけど、2020年12月に違法動画が一斉削除された。そこから個人が自分で作った動画をあげていく文化が始まったわけです。自分でエロ動画を撮って、再生数に応じて広告収入がもらえるビジネスが生まれた。いまはそれが発展してポルノハブで集客し、女の子のファンクラブに誘導していく。広告収入とファンクラブのサブスクリプション(継続購入)収入で収益をあげるビジネスモデルです」集客導線を意識したマーケティング戦略 村上太郎は30以上のポルノハバーのチャンネルを運営する。女性ひとりにひとつのチャンネルを作って、そこに当該女性が出演する短縮版の動画を投稿。続きを観たい人はイギリス発のオンリーファンズ(OnlyFans)、アニメショップ「とらのあな」が運営するファンティア(Fantia)などに開設する女性の有料ファンクラブへ誘導する。 ファンクラブは月額サブスク形式で課金される。ポルノハバーと呼ばれる動画投稿者は、ポルノハブの広告料とファンクラブの月額課金が売上となる。「ファンティアとかオンリーファンズとか、最近はサブスク課金ができるエロOKの動画サイトが増えている。そのプラットフォームに有料ファンクラブを開設して、ファンの人だけが観られる動画をあげていく。女の子ごとにファンクラブを作る。 たとえば月額3000円で動画は見放題。定期的にその子がセックスする動画とか、オナニー動画をあげる。ファンクラブはいろんなプランがあって、月額1500円から1万円くらい。僕は30チャンネル以上を運営していて、トップの女の子は月100万円以上稼いでいます。月100万円以上が数人、30~50万円が平均。立ち上げのときは月5~10万円程度だけど、伸びる子はどんどん伸びる。伸びない子はそのままやめちゃいます」オナニーしている動画で毎月10~20万円稼げる世界 無料で観ることができるポルノハブは、「集客ツール」という考え方だ。ファンクラブ運営では、女性の役割は動画撮影のみ。撮影、動画編集、集客のためのSNS運営は村上が担当する。売上は女性と村上とで折半、売上の半分を毎月女性の口座に振り込んでいる。「僕が運営しているファンクラブは平均200人くらい。月の売上は単純計算で3000円×200人なので60万円。僕に実績があるのでファンは集まりやすい。経験のない女の子がひとりで運営するならば、月10万円いけばちゃんとできているって感じです。商売まではいかないけど、一人でオナニーしただけの動画で毎月10~20万円を稼げる世界です」SNSから無料のポルノハブに誘導 ポルノハバーは、ポルノハブから違法動画が一斉削除された2020年12月から急増している。ポルノハバーのケースとしては、(1)村上太郎のようなウェブマーケティングを知り尽くしたプロデューサーが裏につく、(2)カップルで運営、(3)女性がひとりで運営、(4)映像作品で勝負したがる旧態依然としたプロデューサーがついてまったく稼げない、以上4パターンがあるという。 村上は女性によってキャラを変えて、映像の内容はマッサージ色を強くしている。ツイッターにセラピストアカウントを作って、動画投稿のたびに発信、まずSNSから無料のポルノハブに誘導する。ポルノハブで短縮版の動画を観てもらって、最終的にファンクラブに入会してもらうというビジネスモデルである。媒体の規約で許されるギリギリのエロを投稿「ポルノハバーはポルノハブに面白い動画を投稿して広告料で収益を出すっていうより、集客動線を最重要視します。集客動線としてポルノハブとユーチューブ、ティックトック(TikTok)、ツイッターを使う。プロデューサーによってはポルノハブは使わないで、ティックトック、ツイッターだけっていう人もいる。ポルノハブには短い動画や画質を落としたものを出して、そこからリンクしてファンクラブに誘導する。ツイッターではちょっとエロっぽい発言と、セクシーな写真を載せて男性のフォロワーを増やしていく。ティックトックはエロNGなので、女性がコスプレしてダンスするとか、そういう動画を投稿します」 集客のためのSNS投稿の内容は、媒体によって違ってくる。その媒体の規約で許されるギリギリまでのエロを投稿すると、自然と男性が集まる。SNSで存在を認知させて、ポルノハブの短い動画で魅力を伝える。ファンクラブ入会者から月額料金を徴収して、そのお金が売上の大部分となる。売上をプロデューサーと女性とで折半、その売上に経費はほぼかかっていない。適正AVよりもポルノハブを選んだ女性 村上太郎のスタジオは、東京の高級住宅街にある1LDKのマンションの一室で、大きなベッドには2台のカメラが常備されている。 ポルノハバーたちのファンクラブ用の撮影は作品ではなく、ファンの要望に応えるだけのマーケティングという意識を最優先にして撮っている。撮影場所や台本は重要でなく、いつも同じ場所で撮影しても何も差し支えがない。 スタジオの近くに彼がプロデュースする人気ポルノハバー女性が住んでいるという。取材をお願いすると、坂井志穂(仮名、29歳)はすぐに来てくれた。 坂井志穂は1年前にメンズエステ嬢をしているとき、男性客として通う村上太郎からファンクラブ運営を持ちかけられる。悩んだ末に頷いてポルノハバーとしての活動を開始し、ファンクラブの会員は、もうすぐ300人となる。広告収入とサブスクリプション収入で月80万円、ファン向けのエステサービス提供で月50万円、ポルノハバーになってからの月収は100万円を軽く超えている。「村上さんにはメンズエステでスカウトされました。2、3回くらい指名で来てくれて、最初は断った。メンズエステから吉原のソープランドに移って働いているうちに、いまの仕事よりもポルノハバーのほうが楽しそうだなって思い始めた。村上さんから『カメラの前で、いまやっているようなマッサージをして、君のファンクラブを運営する。お金になる。一対一で接客することがないから楽だよ』って言われた。本当にその通りでした」決め手は顔出しの有無 坂井志穂は、元AKB48の大家志津香似な明るく元気のある女性だった。Gカップのスタイルが抜群で、脱ぐとさらに美しくなるタイプである。メンズエステではポルノハバーだけでなく、適正AVプロダクションからもスカウトを受けていた。「メンズエステには、AVプロダクションの社長もお客さんとして来ていて、同時期にその人からもスカウトされました。どっちにしようかってなったとき、村上さんのほうを選んだけど、有名なプロダクションだったので正直悩みました。 そのときはお昼の仕事もしていたし、家族とか友達のことを考えて、顔出しがネックだった。バレたくなかった。マスクはつけられるのかとか聞いたけど、村上さんはOKで、プロダクション社長にはAV女優は顔を出さないと難しいって言われた。それが決め手になりました。」 吉原では1本7万円の高級店で働いた。採用が厳しいことで有名な店だ。高級ソープランドもスタイルが評価されて採用となった。一度の撮影で多いときは3人を相手に「結局、ソープランドは3ヵ月で辞めちゃった。高級店に採用されたけど、想像よりも稼げなかったし、性病になったりしてサービス業はリスクがあるなって。1本総額7万円のうち、手取りが4万円。コロナだったこともあって出勤して相手をするのは1、2名程度。閉店まで満員で予約満了みたいなことにはならなかった。稼いだのは月80万円くらい。どうせならば200万円くらい稼ぎたかった。」 村上氏のスタジオで撮影したのは、2021年12月。スタッフを相手にしていつもやっているメンズエステの施術サービス、そして男優を呼んで本番を撮った。施術も本番も、ベッドを3台の固定カメラで囲んで複数の角度から撮影した。「配信を始めたのは2022年1月から、ポルノハブに3日おきに新しい映像をあげました。撮影は月1で施術も絡みもカメラを何台も置いて、一度の撮影でいろんなアングルから撮る。アングル別で細かく出したら、月1の撮影でも足りる。ファンを相手にすることもあって、ファンだと施術で抜くところまでやります。本番は男優さんを呼ぶ。一度の撮影で多いときは3人を相手にするけど、私のやることはそれだけ」本番動画を出して付加価値がついた ポルノハブの再生数、ツイッターのフォロワー、ファンクラブの会員はだんだんと増えていく。初月の売上5万円、それから倍々で増えた。開始から半年で月収は50万円を超え、いまは月80~100万円で推移している。「ポルノハブで発信することで多くの男性に認知されて、メンズエステも店に所属しないでフリーでファンの方を相手にサービスしています。ファンの方をこのスタジオに呼んで、一対一でサービス提供します。いまメンズエステが流行っているのと、本番まで晒したことで逆に人気が出たように感じる。メンエスの女の子は基本的にヤレないじゃないですか。でも本番動画を出したので、結果的に人と違うみたいな感じになった」 ポルノハブで発信してファンを増やしたことで、広告やサブスク収入だけでなく、ファン相手のメンズエステサービスも始めている。働こうと思った日に予約はすぐに埋まるだけでなく、店にお金をとられないのでひとり当たりの単価が2倍になった。「いまファンの方には、楽しそうにプレイしているって言われる。楽しそうなのが伝わってくるからファンになった、って言われます。あまり自分をつくることができない性格なので、ファンの方に直接施術をするときは、なるべく素に近い状態でやる。思っていたより、近い存在だって思ってもらえています。 風俗もキャバクラも、色恋がメインになる。でもファンの人はマッサージにお金を払ってくれるから、色恋とかないし、精神的な負担はあまりない。本当にいい仕事を見つけたと思いました」 ポルノハバーになって撮影は月1、ファン相手のセラピストとしての施術では単価が2倍になった。風俗店での待機時間、初回男性客との人間関係構築、風俗店へのマージンなど、無駄な時間や労力はすべてなくなっていいこと尽くめだという。「自分は“悲劇のヒロイン”だと思っていましたよ」撮影中に女性の肛門を破壊…AV業界史上最悪の“バッキー事件”を犯した男性が明かした、周囲に対する“本音” へ続く(中村 淳彦/Webオリジナル(外部転載))
ここでは、ノンフィクションライターの中村淳彦氏による『同人AV女優 貧困女子とアダルト格差』(祥伝社新書)の一部を抜粋。日本最難関の大学を卒業し、現在はPornhubプロデューサーを生業とする男性、そして出演者の女性の思いを紹介する。(全2回の1回目/続きを読む)
◆◆◆
最先端と呼ばれる同人AVは、カナダ発のプラットホーム「ポルノハブ(Pornhub)」を利用したポルノハバー(Pornhuber)たちのファンクラブ運営である。
ポルノハブとは、無料でポルノ映像が閲覧できるサイトで、全世界で10番目にアクセスされている巨大プラットフォームとして知られている。ポルノ映像専門のユーチューブと言えば分かりやすいだろうか。
村上太郎(34歳、仮名)はポルノハブで30チャンネル以上を運営するポルノハブ・プロデューサーで、JR中央線沿線に自社スタジオを持つ。プロデュースするポルノハバーの女性たちが自社スタジオに集い、日々撮影が行なわれている。
AFLO
「本職としてはIT系ベンチャーを経営して10年くらい会社をやっています。WEBマーケティング、SNS運用が本職だけど、コロナになって会社がうまくいかなくなった。どんどん案件がなくなって暇になったので、ポルノハブを始めたという流れ。初めて撮影したのが2020年夏、それから2年強。正直、なかなか儲かっています。いまの年収は数千万円単位です」
村上太郎のキャリアはエリートそのものだった。日本最難関大学を卒業後、コンサルティングファームに就職。30歳のときにIPO(新規上場)を目指して起業し、コロナによって事業がスケールしなかったことでポルノハブ・プロデューサーに転身している。
「ずっとメンズエステが好きで、会社を経営しながら個人的にお店をやっていました。4年前にメンズエステの店を作って、一番多いときは5店舗を運営した。当時、ツイッターを使って集客する店はなかったので、SNSに力を入れたら成功した。その店は他社に売却して、いまも人気店です。メンズエステはカジュアルな業界でした。裏の世界みたいな人はいなかったし、4年間やって一度もそういう人たちが出てきたことはなかった。それはポルノハブ・プロデューサーになっても同じで、すごく健全に運営ができています」
2007年にカナダで生まれたポルノハブは違法アップロードや、海賊版を見ることができるサイトとして伸長した。2020年12月に大きな運営方針の転換が行なわれる。
海賊版と未成年や本人同意のないアダルト動画の疑いがある映像が削除され、違法配信を防ぐためにアップロードには出演者の登録が必須となった。いまポルノハブの動画出演者は、同社にパスポートを提出して登録が完了した者のみになっている。
「元々ポルノハブは海賊版の違法動画がアップされているサイトだった。日本のアダルトビデオも山ほど違法アップロードされていたけど、2020年12月に違法動画が一斉削除された。そこから個人が自分で作った動画をあげていく文化が始まったわけです。自分でエロ動画を撮って、再生数に応じて広告収入がもらえるビジネスが生まれた。いまはそれが発展してポルノハブで集客し、女の子のファンクラブに誘導していく。広告収入とファンクラブのサブスクリプション(継続購入)収入で収益をあげるビジネスモデルです」
村上太郎は30以上のポルノハバーのチャンネルを運営する。女性ひとりにひとつのチャンネルを作って、そこに当該女性が出演する短縮版の動画を投稿。続きを観たい人はイギリス発のオンリーファンズ(OnlyFans)、アニメショップ「とらのあな」が運営するファンティア(Fantia)などに開設する女性の有料ファンクラブへ誘導する。
ファンクラブは月額サブスク形式で課金される。ポルノハバーと呼ばれる動画投稿者は、ポルノハブの広告料とファンクラブの月額課金が売上となる。
「ファンティアとかオンリーファンズとか、最近はサブスク課金ができるエロOKの動画サイトが増えている。そのプラットフォームに有料ファンクラブを開設して、ファンの人だけが観られる動画をあげていく。女の子ごとにファンクラブを作る。
たとえば月額3000円で動画は見放題。定期的にその子がセックスする動画とか、オナニー動画をあげる。ファンクラブはいろんなプランがあって、月額1500円から1万円くらい。僕は30チャンネル以上を運営していて、トップの女の子は月100万円以上稼いでいます。月100万円以上が数人、30~50万円が平均。立ち上げのときは月5~10万円程度だけど、伸びる子はどんどん伸びる。伸びない子はそのままやめちゃいます」
無料で観ることができるポルノハブは、「集客ツール」という考え方だ。ファンクラブ運営では、女性の役割は動画撮影のみ。撮影、動画編集、集客のためのSNS運営は村上が担当する。売上は女性と村上とで折半、売上の半分を毎月女性の口座に振り込んでいる。
「僕が運営しているファンクラブは平均200人くらい。月の売上は単純計算で3000円×200人なので60万円。僕に実績があるのでファンは集まりやすい。経験のない女の子がひとりで運営するならば、月10万円いけばちゃんとできているって感じです。商売まではいかないけど、一人でオナニーしただけの動画で毎月10~20万円を稼げる世界です」
SNSから無料のポルノハブに誘導 ポルノハバーは、ポルノハブから違法動画が一斉削除された2020年12月から急増している。ポルノハバーのケースとしては、(1)村上太郎のようなウェブマーケティングを知り尽くしたプロデューサーが裏につく、(2)カップルで運営、(3)女性がひとりで運営、(4)映像作品で勝負したがる旧態依然としたプロデューサーがついてまったく稼げない、以上4パターンがあるという。 村上は女性によってキャラを変えて、映像の内容はマッサージ色を強くしている。ツイッターにセラピストアカウントを作って、動画投稿のたびに発信、まずSNSから無料のポルノハブに誘導する。ポルノハブで短縮版の動画を観てもらって、最終的にファンクラブに入会してもらうというビジネスモデルである。媒体の規約で許されるギリギリのエロを投稿「ポルノハバーはポルノハブに面白い動画を投稿して広告料で収益を出すっていうより、集客動線を最重要視します。集客動線としてポルノハブとユーチューブ、ティックトック(TikTok)、ツイッターを使う。プロデューサーによってはポルノハブは使わないで、ティックトック、ツイッターだけっていう人もいる。ポルノハブには短い動画や画質を落としたものを出して、そこからリンクしてファンクラブに誘導する。ツイッターではちょっとエロっぽい発言と、セクシーな写真を載せて男性のフォロワーを増やしていく。ティックトックはエロNGなので、女性がコスプレしてダンスするとか、そういう動画を投稿します」 集客のためのSNS投稿の内容は、媒体によって違ってくる。その媒体の規約で許されるギリギリまでのエロを投稿すると、自然と男性が集まる。SNSで存在を認知させて、ポルノハブの短い動画で魅力を伝える。ファンクラブ入会者から月額料金を徴収して、そのお金が売上の大部分となる。売上をプロデューサーと女性とで折半、その売上に経費はほぼかかっていない。適正AVよりもポルノハブを選んだ女性 村上太郎のスタジオは、東京の高級住宅街にある1LDKのマンションの一室で、大きなベッドには2台のカメラが常備されている。 ポルノハバーたちのファンクラブ用の撮影は作品ではなく、ファンの要望に応えるだけのマーケティングという意識を最優先にして撮っている。撮影場所や台本は重要でなく、いつも同じ場所で撮影しても何も差し支えがない。 スタジオの近くに彼がプロデュースする人気ポルノハバー女性が住んでいるという。取材をお願いすると、坂井志穂(仮名、29歳)はすぐに来てくれた。 坂井志穂は1年前にメンズエステ嬢をしているとき、男性客として通う村上太郎からファンクラブ運営を持ちかけられる。悩んだ末に頷いてポルノハバーとしての活動を開始し、ファンクラブの会員は、もうすぐ300人となる。広告収入とサブスクリプション収入で月80万円、ファン向けのエステサービス提供で月50万円、ポルノハバーになってからの月収は100万円を軽く超えている。「村上さんにはメンズエステでスカウトされました。2、3回くらい指名で来てくれて、最初は断った。メンズエステから吉原のソープランドに移って働いているうちに、いまの仕事よりもポルノハバーのほうが楽しそうだなって思い始めた。村上さんから『カメラの前で、いまやっているようなマッサージをして、君のファンクラブを運営する。お金になる。一対一で接客することがないから楽だよ』って言われた。本当にその通りでした」決め手は顔出しの有無 坂井志穂は、元AKB48の大家志津香似な明るく元気のある女性だった。Gカップのスタイルが抜群で、脱ぐとさらに美しくなるタイプである。メンズエステではポルノハバーだけでなく、適正AVプロダクションからもスカウトを受けていた。「メンズエステには、AVプロダクションの社長もお客さんとして来ていて、同時期にその人からもスカウトされました。どっちにしようかってなったとき、村上さんのほうを選んだけど、有名なプロダクションだったので正直悩みました。 そのときはお昼の仕事もしていたし、家族とか友達のことを考えて、顔出しがネックだった。バレたくなかった。マスクはつけられるのかとか聞いたけど、村上さんはOKで、プロダクション社長にはAV女優は顔を出さないと難しいって言われた。それが決め手になりました。」 吉原では1本7万円の高級店で働いた。採用が厳しいことで有名な店だ。高級ソープランドもスタイルが評価されて採用となった。一度の撮影で多いときは3人を相手に「結局、ソープランドは3ヵ月で辞めちゃった。高級店に採用されたけど、想像よりも稼げなかったし、性病になったりしてサービス業はリスクがあるなって。1本総額7万円のうち、手取りが4万円。コロナだったこともあって出勤して相手をするのは1、2名程度。閉店まで満員で予約満了みたいなことにはならなかった。稼いだのは月80万円くらい。どうせならば200万円くらい稼ぎたかった。」 村上氏のスタジオで撮影したのは、2021年12月。スタッフを相手にしていつもやっているメンズエステの施術サービス、そして男優を呼んで本番を撮った。施術も本番も、ベッドを3台の固定カメラで囲んで複数の角度から撮影した。「配信を始めたのは2022年1月から、ポルノハブに3日おきに新しい映像をあげました。撮影は月1で施術も絡みもカメラを何台も置いて、一度の撮影でいろんなアングルから撮る。アングル別で細かく出したら、月1の撮影でも足りる。ファンを相手にすることもあって、ファンだと施術で抜くところまでやります。本番は男優さんを呼ぶ。一度の撮影で多いときは3人を相手にするけど、私のやることはそれだけ」本番動画を出して付加価値がついた ポルノハブの再生数、ツイッターのフォロワー、ファンクラブの会員はだんだんと増えていく。初月の売上5万円、それから倍々で増えた。開始から半年で月収は50万円を超え、いまは月80~100万円で推移している。「ポルノハブで発信することで多くの男性に認知されて、メンズエステも店に所属しないでフリーでファンの方を相手にサービスしています。ファンの方をこのスタジオに呼んで、一対一でサービス提供します。いまメンズエステが流行っているのと、本番まで晒したことで逆に人気が出たように感じる。メンエスの女の子は基本的にヤレないじゃないですか。でも本番動画を出したので、結果的に人と違うみたいな感じになった」 ポルノハブで発信してファンを増やしたことで、広告やサブスク収入だけでなく、ファン相手のメンズエステサービスも始めている。働こうと思った日に予約はすぐに埋まるだけでなく、店にお金をとられないのでひとり当たりの単価が2倍になった。「いまファンの方には、楽しそうにプレイしているって言われる。楽しそうなのが伝わってくるからファンになった、って言われます。あまり自分をつくることができない性格なので、ファンの方に直接施術をするときは、なるべく素に近い状態でやる。思っていたより、近い存在だって思ってもらえています。 風俗もキャバクラも、色恋がメインになる。でもファンの人はマッサージにお金を払ってくれるから、色恋とかないし、精神的な負担はあまりない。本当にいい仕事を見つけたと思いました」 ポルノハバーになって撮影は月1、ファン相手のセラピストとしての施術では単価が2倍になった。風俗店での待機時間、初回男性客との人間関係構築、風俗店へのマージンなど、無駄な時間や労力はすべてなくなっていいこと尽くめだという。「自分は“悲劇のヒロイン”だと思っていましたよ」撮影中に女性の肛門を破壊…AV業界史上最悪の“バッキー事件”を犯した男性が明かした、周囲に対する“本音” へ続く(中村 淳彦/Webオリジナル(外部転載))
ポルノハバーは、ポルノハブから違法動画が一斉削除された2020年12月から急増している。ポルノハバーのケースとしては、(1)村上太郎のようなウェブマーケティングを知り尽くしたプロデューサーが裏につく、(2)カップルで運営、(3)女性がひとりで運営、(4)映像作品で勝負したがる旧態依然としたプロデューサーがついてまったく稼げない、以上4パターンがあるという。
村上は女性によってキャラを変えて、映像の内容はマッサージ色を強くしている。ツイッターにセラピストアカウントを作って、動画投稿のたびに発信、まずSNSから無料のポルノハブに誘導する。ポルノハブで短縮版の動画を観てもらって、最終的にファンクラブに入会してもらうというビジネスモデルである。
「ポルノハバーはポルノハブに面白い動画を投稿して広告料で収益を出すっていうより、集客動線を最重要視します。集客動線としてポルノハブとユーチューブ、ティックトック(TikTok)、ツイッターを使う。プロデューサーによってはポルノハブは使わないで、ティックトック、ツイッターだけっていう人もいる。ポルノハブには短い動画や画質を落としたものを出して、そこからリンクしてファンクラブに誘導する。ツイッターではちょっとエロっぽい発言と、セクシーな写真を載せて男性のフォロワーを増やしていく。ティックトックはエロNGなので、女性がコスプレしてダンスするとか、そういう動画を投稿します」
集客のためのSNS投稿の内容は、媒体によって違ってくる。その媒体の規約で許されるギリギリまでのエロを投稿すると、自然と男性が集まる。SNSで存在を認知させて、ポルノハブの短い動画で魅力を伝える。ファンクラブ入会者から月額料金を徴収して、そのお金が売上の大部分となる。売上をプロデューサーと女性とで折半、その売上に経費はほぼかかっていない。
村上太郎のスタジオは、東京の高級住宅街にある1LDKのマンションの一室で、大きなベッドには2台のカメラが常備されている。
ポルノハバーたちのファンクラブ用の撮影は作品ではなく、ファンの要望に応えるだけのマーケティングという意識を最優先にして撮っている。撮影場所や台本は重要でなく、いつも同じ場所で撮影しても何も差し支えがない。
スタジオの近くに彼がプロデュースする人気ポルノハバー女性が住んでいるという。取材をお願いすると、坂井志穂(仮名、29歳)はすぐに来てくれた。
坂井志穂は1年前にメンズエステ嬢をしているとき、男性客として通う村上太郎からファンクラブ運営を持ちかけられる。悩んだ末に頷いてポルノハバーとしての活動を開始し、ファンクラブの会員は、もうすぐ300人となる。広告収入とサブスクリプション収入で月80万円、ファン向けのエステサービス提供で月50万円、ポルノハバーになってからの月収は100万円を軽く超えている。
「村上さんにはメンズエステでスカウトされました。2、3回くらい指名で来てくれて、最初は断った。メンズエステから吉原のソープランドに移って働いているうちに、いまの仕事よりもポルノハバーのほうが楽しそうだなって思い始めた。村上さんから『カメラの前で、いまやっているようなマッサージをして、君のファンクラブを運営する。お金になる。一対一で接客することがないから楽だよ』って言われた。本当にその通りでした」
坂井志穂は、元AKB48の大家志津香似な明るく元気のある女性だった。Gカップのスタイルが抜群で、脱ぐとさらに美しくなるタイプである。メンズエステではポルノハバーだけでなく、適正AVプロダクションからもスカウトを受けていた。
「メンズエステには、AVプロダクションの社長もお客さんとして来ていて、同時期にその人からもスカウトされました。どっちにしようかってなったとき、村上さんのほうを選んだけど、有名なプロダクションだったので正直悩みました。
そのときはお昼の仕事もしていたし、家族とか友達のことを考えて、顔出しがネックだった。バレたくなかった。マスクはつけられるのかとか聞いたけど、村上さんはOKで、プロダクション社長にはAV女優は顔を出さないと難しいって言われた。それが決め手になりました。」
吉原では1本7万円の高級店で働いた。採用が厳しいことで有名な店だ。高級ソープランドもスタイルが評価されて採用となった。
「結局、ソープランドは3ヵ月で辞めちゃった。高級店に採用されたけど、想像よりも稼げなかったし、性病になったりしてサービス業はリスクがあるなって。1本総額7万円のうち、手取りが4万円。コロナだったこともあって出勤して相手をするのは1、2名程度。閉店まで満員で予約満了みたいなことにはならなかった。稼いだのは月80万円くらい。どうせならば200万円くらい稼ぎたかった。」
村上氏のスタジオで撮影したのは、2021年12月。スタッフを相手にしていつもやっているメンズエステの施術サービス、そして男優を呼んで本番を撮った。施術も本番も、ベッドを3台の固定カメラで囲んで複数の角度から撮影した。
「配信を始めたのは2022年1月から、ポルノハブに3日おきに新しい映像をあげました。撮影は月1で施術も絡みもカメラを何台も置いて、一度の撮影でいろんなアングルから撮る。アングル別で細かく出したら、月1の撮影でも足りる。ファンを相手にすることもあって、ファンだと施術で抜くところまでやります。本番は男優さんを呼ぶ。一度の撮影で多いときは3人を相手にするけど、私のやることはそれだけ」
ポルノハブの再生数、ツイッターのフォロワー、ファンクラブの会員はだんだんと増えていく。初月の売上5万円、それから倍々で増えた。開始から半年で月収は50万円を超え、いまは月80~100万円で推移している。
「ポルノハブで発信することで多くの男性に認知されて、メンズエステも店に所属しないでフリーでファンの方を相手にサービスしています。ファンの方をこのスタジオに呼んで、一対一でサービス提供します。いまメンズエステが流行っているのと、本番まで晒したことで逆に人気が出たように感じる。メンエスの女の子は基本的にヤレないじゃないですか。でも本番動画を出したので、結果的に人と違うみたいな感じになった」
ポルノハブで発信してファンを増やしたことで、広告やサブスク収入だけでなく、ファン相手のメンズエステサービスも始めている。働こうと思った日に予約はすぐに埋まるだけでなく、店にお金をとられないのでひとり当たりの単価が2倍になった。
「いまファンの方には、楽しそうにプレイしているって言われる。楽しそうなのが伝わってくるからファンになった、って言われます。あまり自分をつくることができない性格なので、ファンの方に直接施術をするときは、なるべく素に近い状態でやる。思っていたより、近い存在だって思ってもらえています。
風俗もキャバクラも、色恋がメインになる。でもファンの人はマッサージにお金を払ってくれるから、色恋とかないし、精神的な負担はあまりない。本当にいい仕事を見つけたと思いました」
ポルノハバーになって撮影は月1、ファン相手のセラピストとしての施術では単価が2倍になった。風俗店での待機時間、初回男性客との人間関係構築、風俗店へのマージンなど、無駄な時間や労力はすべてなくなっていいこと尽くめだという。
「自分は“悲劇のヒロイン”だと思っていましたよ」撮影中に女性の肛門を破壊…AV業界史上最悪の“バッキー事件”を犯した男性が明かした、周囲に対する“本音” へ続く
(中村 淳彦/Webオリジナル(外部転載))