社会問題となっている、教師の長時間労働。授業準備や保護者対応に加え、部活の顧問や、雑務など、その業務量の多さから体調を崩したり、精神的に病んだりして退職していく教員も多数。また、年々なり手が減っているのが現実です。 【動画】教師だけじゃない!「担任チーム制」が生徒に与えた変化とは…?【5分38秒~】 そんな中、愛知県名古屋市のある公立中学校では、新たな取り組みで教員の負担軽減を行っています。取り組みの内容を取材しました。 教師の約77%が上限「月45時間」を超える残業 ここが新たな取り組みの舞台、名古屋市立八幡中学校。毎日行われる朝のホームルームの後に、生徒に担任の先生の名前を聞いてみると…
(3年生の生徒)「(Qこのクラスの担任の先生の名前は?)土屋先生と、加藤先生と、橋先生と、牧先生と、吉田先生です」 八幡中学校では、2022年度から一般的な担任制度を廃止。全国的にも珍しい、「担任チーム制」を導入しています。この制度では、3クラスを5人の教師が担当し、週替わりで担任するクラスをローテーションします。その理由は、教師の“長時間勤務”の解消です。 以前から問題となっている教師の長時間勤務ですが、文科省の最新調査によると、中学教師の約77%が国の定めた上限の「月45時間」を超える残業をしていました。未だ8割近い先生が過剰勤務をしている実態が浮き彫りに。文部科学省が取りまとめた教師の仕事一覧では、事務作業や校内の安全点検、地域の人への対応など仕事は膨大です。この週、3年C組の担任をしていた土屋裕樹先生に話を聞きました。 (土屋裕樹先生)(Q中学校の先生の業務は多い?)「明らかに多いと思います。日々の授業に本当は、みんな力を入れたいけど、そこまで準備する余裕がないくらい、いろんなことが降りかかってくる。」 「こんなに早く指導が終わるの?」分担制で教師自身も余裕が持てるように 子どもたちと向き合う以外の業務も山積みの教師。しかし、「担任チーム制」の導入後は、平均して月に10時間も残業時間が減ったといいます。 (土屋裕樹先生)「1人で自分のクラスだけでやっていると、授業後にあれこれある中で保護者に電話したり。(午後)6時、7時に電話することはよくあったが、今だと動ける人がやるので、4時くらいに職員室に戻ったら(別の教師が)『もう電話しておきました』『ありがとう』みたいな。こんなに指導が早く終わるの?(と思った)」 3クラスを5人の教師が担当することで、2人の教師が担任を外れます。この2人が書類作成や保護者対応などの雑務を分担して行うため、一人一人の負担が軽減される仕組みです。午後0時半、土屋先生はこの週担任を務めるC組の生徒と一緒に、ランチルームで昼食。生徒の様子を見ながら食事をとります。一方、この週の担任を外れていた加藤竜太先生は、昼食中も職員室でパソコンを使った事務作業です。こうした分担ができる事で、格段に楽になったと言います。 (加藤竜太先生)「(Q(担任の)空きの週があるのはどうですか?)最高ですね。担任の時は『とにかくまず教室に行って』みたいな感じだったんですけど。空きの週があると、この週にこの仕事をまとめてやろうとか。空いた時間が多くできるので、ありがたい」 生徒にとってもメリットがある反面、教師にジレンマも 東京の例を参考に、担任チーム制を導入した高橋幸夫校長は、この制度で生徒にも変化が起きていると言います。 (八幡中学校・高橋幸夫校長)「自分たちでクラスをつくっていこう、自分たちで行事を考えていこうという思考に生徒がなっていくので。主体的に思考することが最大のメリット」 進路相談をする先生は、学年担当の5人の中から生徒が選択できる仕組みになっています。 (3年生の生徒)「先生によって合う、合わないは、人間同士だからあるんですけど。そういうのを気にしなくてよくなったので、学校に来るのが楽しくなった」 しかし、担任チーム制にして負担を減らしたことで、あらためて浮き彫りになったこともあります。名古屋市は、教員の負担軽減の名目で部活の顧問を外部に委託しています。土屋先生はバスケット部の顧問ですが、午後4時半から会議のため、外部指導員へ引き継がなければなりません。部活も、生徒と向き合う大切な時間と考えている土屋先生は…。 (土屋裕樹先生)「部活が大好きなのに、部活に来る時間を選んでしまうと仕事が回らないし、残業時間(の上限)に収まらない。授業を削れないし、学年のことも削れないから、部活を削るしかない。苦渋の選択をさせられている」 外部委託を部活の顧問ではなく、事務作業などにできないのかという思いも抱えています。 サポートスタッフを配置も、学校改革は道半ば そもそも、3クラスを5人で見ること自体、仕事が多すぎることの裏返しでもあります。さらなる外部委託や、仕事量を削減することはできないのでしょうか。 (名古屋市教育委員会事務局・伊藤孝直主幹)「資料の整理、学校行事や式典の準備の補助をするスタッフを配置している。基本的に各校1人ずつで、ことしの4月から増員をしている。先生たちの業務を担える部分は、そうした方に担っていただく」 “生徒と向き合うこと”が教師本来の仕事。その基本に立ち返った学校改革が必要なのは、言うまでもありません。 CBCテレビ「チャント!」5月31日放送より
社会問題となっている、教師の長時間労働。授業準備や保護者対応に加え、部活の顧問や、雑務など、その業務量の多さから体調を崩したり、精神的に病んだりして退職していく教員も多数。また、年々なり手が減っているのが現実です。
【動画】教師だけじゃない!「担任チーム制」が生徒に与えた変化とは…?【5分38秒~】 そんな中、愛知県名古屋市のある公立中学校では、新たな取り組みで教員の負担軽減を行っています。取り組みの内容を取材しました。 教師の約77%が上限「月45時間」を超える残業 ここが新たな取り組みの舞台、名古屋市立八幡中学校。毎日行われる朝のホームルームの後に、生徒に担任の先生の名前を聞いてみると…
(3年生の生徒)「(Qこのクラスの担任の先生の名前は?)土屋先生と、加藤先生と、橋先生と、牧先生と、吉田先生です」 八幡中学校では、2022年度から一般的な担任制度を廃止。全国的にも珍しい、「担任チーム制」を導入しています。この制度では、3クラスを5人の教師が担当し、週替わりで担任するクラスをローテーションします。その理由は、教師の“長時間勤務”の解消です。 以前から問題となっている教師の長時間勤務ですが、文科省の最新調査によると、中学教師の約77%が国の定めた上限の「月45時間」を超える残業をしていました。未だ8割近い先生が過剰勤務をしている実態が浮き彫りに。文部科学省が取りまとめた教師の仕事一覧では、事務作業や校内の安全点検、地域の人への対応など仕事は膨大です。この週、3年C組の担任をしていた土屋裕樹先生に話を聞きました。 (土屋裕樹先生)(Q中学校の先生の業務は多い?)「明らかに多いと思います。日々の授業に本当は、みんな力を入れたいけど、そこまで準備する余裕がないくらい、いろんなことが降りかかってくる。」 「こんなに早く指導が終わるの?」分担制で教師自身も余裕が持てるように 子どもたちと向き合う以外の業務も山積みの教師。しかし、「担任チーム制」の導入後は、平均して月に10時間も残業時間が減ったといいます。 (土屋裕樹先生)「1人で自分のクラスだけでやっていると、授業後にあれこれある中で保護者に電話したり。(午後)6時、7時に電話することはよくあったが、今だと動ける人がやるので、4時くらいに職員室に戻ったら(別の教師が)『もう電話しておきました』『ありがとう』みたいな。こんなに指導が早く終わるの?(と思った)」 3クラスを5人の教師が担当することで、2人の教師が担任を外れます。この2人が書類作成や保護者対応などの雑務を分担して行うため、一人一人の負担が軽減される仕組みです。午後0時半、土屋先生はこの週担任を務めるC組の生徒と一緒に、ランチルームで昼食。生徒の様子を見ながら食事をとります。一方、この週の担任を外れていた加藤竜太先生は、昼食中も職員室でパソコンを使った事務作業です。こうした分担ができる事で、格段に楽になったと言います。 (加藤竜太先生)「(Q(担任の)空きの週があるのはどうですか?)最高ですね。担任の時は『とにかくまず教室に行って』みたいな感じだったんですけど。空きの週があると、この週にこの仕事をまとめてやろうとか。空いた時間が多くできるので、ありがたい」 生徒にとってもメリットがある反面、教師にジレンマも 東京の例を参考に、担任チーム制を導入した高橋幸夫校長は、この制度で生徒にも変化が起きていると言います。 (八幡中学校・高橋幸夫校長)「自分たちでクラスをつくっていこう、自分たちで行事を考えていこうという思考に生徒がなっていくので。主体的に思考することが最大のメリット」 進路相談をする先生は、学年担当の5人の中から生徒が選択できる仕組みになっています。 (3年生の生徒)「先生によって合う、合わないは、人間同士だからあるんですけど。そういうのを気にしなくてよくなったので、学校に来るのが楽しくなった」 しかし、担任チーム制にして負担を減らしたことで、あらためて浮き彫りになったこともあります。名古屋市は、教員の負担軽減の名目で部活の顧問を外部に委託しています。土屋先生はバスケット部の顧問ですが、午後4時半から会議のため、外部指導員へ引き継がなければなりません。部活も、生徒と向き合う大切な時間と考えている土屋先生は…。 (土屋裕樹先生)「部活が大好きなのに、部活に来る時間を選んでしまうと仕事が回らないし、残業時間(の上限)に収まらない。授業を削れないし、学年のことも削れないから、部活を削るしかない。苦渋の選択をさせられている」 外部委託を部活の顧問ではなく、事務作業などにできないのかという思いも抱えています。 サポートスタッフを配置も、学校改革は道半ば そもそも、3クラスを5人で見ること自体、仕事が多すぎることの裏返しでもあります。さらなる外部委託や、仕事量を削減することはできないのでしょうか。 (名古屋市教育委員会事務局・伊藤孝直主幹)「資料の整理、学校行事や式典の準備の補助をするスタッフを配置している。基本的に各校1人ずつで、ことしの4月から増員をしている。先生たちの業務を担える部分は、そうした方に担っていただく」 “生徒と向き合うこと”が教師本来の仕事。その基本に立ち返った学校改革が必要なのは、言うまでもありません。 CBCテレビ「チャント!」5月31日放送より
そんな中、愛知県名古屋市のある公立中学校では、新たな取り組みで教員の負担軽減を行っています。取り組みの内容を取材しました。
ここが新たな取り組みの舞台、名古屋市立八幡中学校。毎日行われる朝のホームルームの後に、生徒に担任の先生の名前を聞いてみると…
(3年生の生徒)「(Qこのクラスの担任の先生の名前は?)土屋先生と、加藤先生と、橋先生と、牧先生と、吉田先生です」
八幡中学校では、2022年度から一般的な担任制度を廃止。全国的にも珍しい、「担任チーム制」を導入しています。この制度では、3クラスを5人の教師が担当し、週替わりで担任するクラスをローテーションします。その理由は、教師の“長時間勤務”の解消です。
以前から問題となっている教師の長時間勤務ですが、文科省の最新調査によると、中学教師の約77%が国の定めた上限の「月45時間」を超える残業をしていました。未だ8割近い先生が過剰勤務をしている実態が浮き彫りに。文部科学省が取りまとめた教師の仕事一覧では、事務作業や校内の安全点検、地域の人への対応など仕事は膨大です。
この週、3年C組の担任をしていた土屋裕樹先生に話を聞きました。
(土屋裕樹先生)(Q中学校の先生の業務は多い?)「明らかに多いと思います。日々の授業に本当は、みんな力を入れたいけど、そこまで準備する余裕がないくらい、いろんなことが降りかかってくる。」
子どもたちと向き合う以外の業務も山積みの教師。しかし、「担任チーム制」の導入後は、平均して月に10時間も残業時間が減ったといいます。
(土屋裕樹先生)「1人で自分のクラスだけでやっていると、授業後にあれこれある中で保護者に電話したり。(午後)6時、7時に電話することはよくあったが、今だと動ける人がやるので、4時くらいに職員室に戻ったら(別の教師が)『もう電話しておきました』『ありがとう』みたいな。こんなに指導が早く終わるの?(と思った)」
3クラスを5人の教師が担当することで、2人の教師が担任を外れます。この2人が書類作成や保護者対応などの雑務を分担して行うため、一人一人の負担が軽減される仕組みです。
午後0時半、土屋先生はこの週担任を務めるC組の生徒と一緒に、ランチルームで昼食。生徒の様子を見ながら食事をとります。
一方、この週の担任を外れていた加藤竜太先生は、昼食中も職員室でパソコンを使った事務作業です。こうした分担ができる事で、格段に楽になったと言います。
(加藤竜太先生)「(Q(担任の)空きの週があるのはどうですか?)最高ですね。担任の時は『とにかくまず教室に行って』みたいな感じだったんですけど。空きの週があると、この週にこの仕事をまとめてやろうとか。空いた時間が多くできるので、ありがたい」
東京の例を参考に、担任チーム制を導入した高橋幸夫校長は、この制度で生徒にも変化が起きていると言います。
(八幡中学校・高橋幸夫校長)「自分たちでクラスをつくっていこう、自分たちで行事を考えていこうという思考に生徒がなっていくので。主体的に思考することが最大のメリット」
進路相談をする先生は、学年担当の5人の中から生徒が選択できる仕組みになっています。
(3年生の生徒)「先生によって合う、合わないは、人間同士だからあるんですけど。そういうのを気にしなくてよくなったので、学校に来るのが楽しくなった」
しかし、担任チーム制にして負担を減らしたことで、あらためて浮き彫りになったこともあります。名古屋市は、教員の負担軽減の名目で部活の顧問を外部に委託しています。土屋先生はバスケット部の顧問ですが、午後4時半から会議のため、外部指導員へ引き継がなければなりません。
(土屋裕樹先生)「部活が大好きなのに、部活に来る時間を選んでしまうと仕事が回らないし、残業時間(の上限)に収まらない。授業を削れないし、学年のことも削れないから、部活を削るしかない。苦渋の選択をさせられている」
外部委託を部活の顧問ではなく、事務作業などにできないのかという思いも抱えています。
そもそも、3クラスを5人で見ること自体、仕事が多すぎることの裏返しでもあります。さらなる外部委託や、仕事量を削減することはできないのでしょうか。
(名古屋市教育委員会事務局・伊藤孝直主幹)「資料の整理、学校行事や式典の準備の補助をするスタッフを配置している。基本的に各校1人ずつで、ことしの4月から増員をしている。先生たちの業務を担える部分は、そうした方に担っていただく」
“生徒と向き合うこと”が教師本来の仕事。その基本に立ち返った学校改革が必要なのは、言うまでもありません。
CBCテレビ「チャント!」5月31日放送より