歯列矯正詐欺に遭わないために…歯科医が指摘 最初にお金を支払わせるのは異常

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日本では詐欺が身近になっている。特殊詐欺グループの国際的逮捕劇が連日報道され、オレオレ詐欺も珍しくなくなった。最近は歯科の矯正治療をめぐる詐欺まがいのトラブルもあった。事件に関し、歯科医の立場からの警告と、詐欺にかからないためのアドバイスを聞いた。
【実質無料と勧誘】
詐欺の手口は巧妙化している。歯科医の世界でも、マウスピース矯正を口実に多額の金をだまし取られる事件が発生した。
「詐欺と断定まではできないのですが、歯列矯正を実質無料でできると言ってモニターモデルになるように勧誘し、宣伝に協力すれば後ほど全額返金するとして150万円ほどを前払いさせるのです。返金されずにトラブルとなり、被害者は1000人以上。総額10億円以上をだまし取られているそうです」と語るのは歯列矯正やインプラントなど審美的な歯科治療に定評がある海老沢聡・海老沢歯科医院(東京都杉並区)院長だ。
問題となった歯科医院はデンタルオフィスXという多店舗展開していた歯科医院グループだ。すでに閉院してしまっているが、連携するコンサルティング会社2社も患者の勧誘と、患者の入金額から運転資金を差し引いた残額の投資運用を担当していた。運用益で患者への返金を賄うもくろみだったとされている。
だが実態は自転車操業で、新規患者からの入金をそれまでの患者への返金に充てたとみられている。グループは新規診療所をオープンして事業が順調に回っていると見せかけ、新規患者の入金をだまし取っていたのだ。
被害者の多くは当初の支払い時に組んだローンの残額が残る金銭トラブルに巻き込まれ、歯科医院も閉院して治療も継続されなくなっている。
デンタルオフィスXの総売上額27億円のうちモニターモデルへの返金に充てられたのは10億円ほどで、差額の17億円は診療所の開設費や歯列矯正器具の仕入れ代金などだけでなく、歯科医院やコンサルティング会社スタッフのキャバクラ代など怪しげな使途に消えたとされる。
【歯科医が感じた違和感とは?】
歯列矯正では治療に2年くらいかかるので、治療開始時に全額払いするケースが多い。当初に100万円前後の治療費を払ってもらうのだそうだ。しかし海老沢院長は「後から返金するから実質無料になると言って最初にお金を支払わせるのはおかしいと感じました」と言うのである。
募集する側の理屈は、モニターを途中でやってくれなくなる人がいるから宣伝をしてくれてから支払うのだと言う。だが「後で返金する」と誘って多額のローンを組ませるのだから、その前払いが金銭トラブルの元凶なのだ。
モニターになれば実質無料というキャンペーン手法は美容エステなど他業界では多く存在する。「だから被害者の患者さんたちは初めに支払って後で返金されるという話に抵抗を感じなかったのでしょうが、歯科治療ではなじみがありません。その違和感が的中していました」と海老沢院長は語る。
では、こうした詐欺的手口に、どう対処すればいいのか。次回は、その点を尋ねる。

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