上皇さまご提案で交配の「ヒレナガニシキゴイ」、天皇陛下のインドネシア訪問で注目

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17日からの天皇、皇后両陛下のインドネシア公式訪問をきっかけに、上皇さまのご提案で日本とインドネシアのコイを交配させて生まれた「ヒレナガニシキゴイ」に注目が集まっている。
両国の交流の象徴とも言えるコイの誕生には、埼玉県加須市の県水産試験場(現・県水産研究所)が大きな役割を担った。(宮川徹也)
魚類研究が専門の上皇さまは皇太子時代の1962年、インドネシアを訪問した際にヒレの長い現地の「ヒレナガゴイ」に関心を持たれた。その後、77年7月13日に県水産試験場を視察された際、「インドネシアにヒレの長いコイがいるので、日本のニシキゴイと交配させて新種ができないか」と提案された。
ご提案を受けた県水産試験場は80年、インドネシアの国立淡水研究所からヒレナガゴイ50匹を取り寄せ、82年にニシキゴイと交配させた。試行錯誤を重ね、ニシキゴイより胸びれや尾びれが2倍ほど長く、優美に泳ぐ姿が特徴のヒレナガニシキゴイが生まれた。
上皇さまは天皇即位後の91年、インドネシアを再訪した際にヒレナガニシキゴイを50匹贈られ、皇居・東御苑の二の丸池にも数回放流された。2015年には、来日したインドネシアのジョコ大統領夫妻が池で皇太子時代の天皇陛下と餌やりをした。県水産研究所の山口光太郎副所長は「上皇さまにご提案いただいたことが日本とインドネシアの懸け橋になり、感謝している」と話す。
ヒレナガニシキゴイは、1986年から県内の養殖業者に分譲されるようになり、現在はペットショップでも販売されている。加須市でニシキゴイの生産販売を行う「栗原養魚場」は年間約1万5000匹~2万匹を生産し、アメリカやカナダなどに輸出もしている。来日したタイ王室のチュラポン王女は昨年12月と今年4月の2回、自ら養魚場に足を運んで購入したという。栗原幹典代表(54)は「ヒレナガニシキゴイは、国を超えて人々を楽しませている。今回の天皇陛下のご訪問を契機に、さらに多くの人に知ってもらいたい」と話した。

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