両陛下、英国で黒マスクご着用 「ノーマスク社会」対応に悩む宮内庁 英王室の先例踏まえ

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【ロンドン=橋本昌宗】17日夜、英ロンドン中心部のホテルに到着された天皇、皇后両陛下。
今年2月に新型コロナウイルスに関する規制が撤廃された英国では現在、多くの人がマスクなしで生活しているが、両陛下は今回、黒マスクを着用されている。両陛下が国内で黒を着けられることは珍しい。宮内庁は英王室の過去の例も踏まえ、「ノーマスク社会」の英国でどう感染防止対策を講じていくか頭を悩ませている。
「陛下!」「雅子さま!」。両陛下を乗せたお車がホテル前に到着すると周囲の沿道は人であふれた。車のドアが開き、両陛下が外へ出ると歓声が上がり、車からホテルまで約10メートルほど歩く間、両陛下はにこやかに手を振って応じられた。
英国では、両陛下が到着された際の空港のスタッフや周囲を警戒する警備、沿道の人らを含め、マスクを着用している人は少ない。一方、日本では今も多くの場面でマスク着用が推奨されており、両陛下も式典などに出席される際は必ずマスク姿だ。
日本と英国とのマスク環境の違いについては、エリザベス女王の招待による両陛下の英国ご訪問を検討してきた宮内庁にとって、かねてから「懸案」だった。ある幹部は「相手方が誰もマスクをしていない中で、両陛下だけマスクをされていると、王室の方や現地の人がどう思うだろうか」と不安を口にしていた。
女王の国葬をはじめとした今回の行事では、懸念通り各国首脳がマスクなしで出席するとみられ、「そういう場合は、一時的に両陛下にマスクを外していただくことも考えている」(別の幹部)という。
また、両陛下は国内で式典などに出席する際、白マスク姿のことが多いが、今回は黒を選ばれた。昨年4月に死去した女王の夫、フィリップ殿下の葬儀で、英王室メンバーがそろって黒を着けていたことも参考に、側近らが準備。両陛下は羽田空港を出発する際は白マスクだったが、空港到着時は黒に替えられたとみられる。この幹部は「奇異にとられない範囲でどう感染防止対策をしていくか、考えていかなければ」と話した。

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