土佐市カフェ騒動で3者会談へ 地方移住の闇…役所に全国から「非通知」苦情

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高知県土佐市で移住者が始めたカフェを巡る騒動が起きて約1か月が経とうとしている。カフェの告発がSNSで話題になると全国から土佐市役所に苦情の電話が殺到。中には「死ね」「殺すぞ」といった過激な発言もあったといい、多くが非通知だった。土佐市長は問題解決に向け関係者による協議をする意向だが、解決にはもう少し時間がかかりそうだ。
板原啓文市長は5日に市役所サイトで声明を発表し、「本件に関し、市民の皆様をはじめ多くの組織団体の皆様にご迷惑ご心労をお掛けしたことに対しまして、大変申し訳なく思っています」と謝罪した。
騒動を振り返ろう。舞台となる同市の新居地区はサーフィンを楽しむ人に知られ、海がきれいだと評判の場所。そこには市が所有する観光交流施設「南風(まぜ)」という建物があり、2階で7年ほど営業しているカフェが人気を博していた。
そのカフェが先月10日に窮状を訴えたのだ。カフェ店長はツイッターで「田舎はどこもこうなんですか? 地域おこし協力隊として東京から高知に移住したのに、地元の有力者に従わなかったら出ていけと言われました。市役所も言う通りにしろと言います」とカフェの運営を巡るトラブルを告発。狠聾気陵力者瓩任△詁酩の指定管理者であるNPO法人の理事長から一方的な退去通告を受けたと主張し、市の対応にも疑問を呈していた。
都会からの移住者と、もともとその土地に住んでいる住民とのイザコザは多くの人の共感を得やすい、日本全国どこにでもあり得そうな話題だけに瞬く間にSNSで告発は拡散。ネットは「カフェがかわいそうだ」と、NPO法人と同市役所への批判で炎上した。
同市役所には苦情の電話とメールが殺到。同市建設課担当者によると、「ツイートのあった翌日は電話が鳴りっぱなしで、ほかの課と分担して対応しました。無言電話や職員に対してきつい言葉もありました。メールはこれまでに1200件を超えています。ほぼ苦情でした」という。
電話では「死ね」「殺すぞ」といった過激な言葉もあった。暴言を吐かれた市職員には精神的な負担になったという。
「暴言の電話は非通知が多かったです。名前を聞いても言わないし、電話番号も言わない。相手が特定できないので被害届を出すこともできないでしょう」(同)
最近はようやく電話も落ち着いてきたという。
板原氏の声明によると、NPO法人とカフェは「年数が経過するにつれ、当該NPO法人と飲食店双方におきましてお互いが目指す方向が少しずつずれて」いったという。
「その都度、飲食店からの相談やNPO法人への指導等を行ってきたところでありますが、解決に至らず、今回のSNSによる拡散に繋がったものと考えております。市の施設でこのような事態が発生したことは、市にも責任の一端があると痛感しております」(声明から)
板原氏は市とNPO法人、カフェの3者協議を開催したい意向だ。これに対してカフェ店長は6日夜にツイッターでこれまでにも協議を提案してきたとし、「早期の解決に向けて話し合いの場を設けてほしいと切に願い行動しています」と、やりとりのスピードが上がることを期待。前出の建設課担当者も「早期にやりたい。それぞれ主張があると思いますのでテーマはまだ決まっていません」と話していた。
現在、カフェは休業している状況だ。カフェ店長は先月24日に「退去通知がきており、再開の見通しも立っておりません。(中略)店としての幕引きをきちんとさせていただきたいです」とツイートしている。
前出の建設課担当者は「すぐ再開できるという状況ではないでしょう。その前に3者協議となるのではないか」と話した。都会からの移住者と元から住んでいる人たちとのトラブルが減るような教訓が得られる協議結果が望まれる。

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