子猫と勘違い?タヌキの赤ちゃんの“誤認保護”が増加「そのままにして」…注意喚起した神奈川県自然環境保全センターに聞いた

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子猫のような鳴き声をする動物の赤ちゃんを見かけても触らずにそのままにしてほしい。そんな呼びかけをした神奈川県自然環境保全センターのツイートが大きな反響を呼んでいる。仔ダヌキの#誤認保護の事案が増えています。 側溝の中で仔ネコのような声が聞こえ、真っ黒な動物の赤ちゃんを保護してしまうというケースです。でも、ちょっと待って!親ダヌキは戻ってきます。 (つづく)投稿ではまず、子ダヌキの「誤認保護」事案が増えていると紹介。子ネコのような鳴き声がすることから保護してしまうケースがあるというのだ。

文章と一緒に投稿された画像を見ると、まだ赤ちゃんのため、たしかに素人ではどんな動物なのかは判別しづらい。鳴き声から子猫と思ってしまうこともありそうだ。しかし、このような場面に遭遇しても、保護するのは待ってほしいのだという。近くに親ダヌキがいる可能性も理由は、親ダヌキがエサを取りに行っていたり、子ダヌキを一匹ずつ移動させている途中の可能性があり、親ダヌキが戻ってくるかもしれないから。ここで人間が保護してしまうと親子が引き離され、子ダヌキが自然界で生きていく機会を奪ってしまうことになるそうだ。また、親ダヌキがいない間に人間が子ダヌキに触れてしまうと、人間の匂いが移ってしまい、親ダヌキが警戒して育児放棄してしまう可能性もあるというのだ。そんな事情もあり、神奈川県自然環境保全センターは、子ダヌキの誤認保護に関する三つのツイートの最後で「見つけても触らず、そのままにしてください!」と呼びかけ、「#きっと親ダヌキは悲しんでいる」という一文で結んだ。投稿を読んだユーザーからは、「犬とか猫の赤ちゃんにそっくりじゃん…(混乱)」「見分け方とかないのか?」「ケガとかしてた場合はどうしたら良いですか?普段見かける機会がなくて衝動的に保護してしまいそうな気がするので」など多くの反響や疑問が寄せられた。この投稿は話題となり、保護されたタヌキの赤ちゃんの写真とともに投稿された最初のツイートには、14000件のリツイートと26000件のいいねがついている(5月18日時点)こういった誤認保護のケースが増えているのだろうか?また、実際にタヌキか判別しづらい赤ちゃんを見つけた時にはどう対応するのが良いのだろうか。神奈川県自然環境保全センターに聞いた。4月・5月で6頭の誤認保護――ツイートをした背景にはどんな事情があった?当センターでは、県民の方が弱ったタヌキを発見した場合に、まず電話相談をいただき、状況を確認して保護が必要と判断した場合に受け入れをしています。タヌキは年間を通じて疥癬症や交通事故などで持ち込まれるケースがあり、例年1年間に20~40頭程度(仔ダヌキ含む)を保護しています。現在いる仔ダヌキ6頭については、いずれも県民の方から事前相談の電話があり、保護するに至ったケースです。いずれも「誤認保護」とみられましたが、相談の結果、親ダヌキが戻ってくる可能性が低いと考えられる状況でしたので、当センターで受け入れ保護しました。4月上旬に1頭が持ち込まれ、ゴールデンウィーク明けの1週間で相次いで5頭が持ち込まれました。例年、仔ダヌキの保護が増えるのは子育て時期のちょうど今頃(4~5月くらい)となります(早春に交尾し、2カ月ほどの妊娠期間を経て初夏に出産すると言われています)。仔ダヌキの保護は毎年行っていますので、保護することは珍しくはありませんが、今年のように短期間で複数の仔ダヌキが持ち込まれることは珍しいことでしたので、ツイッターで広報・注意喚起させていただきました。 ――なぜ、短期間で子ダヌキの誤認保護が増えたと考えられる? 原因はわかりません。たまたま県民の方の発見が重なったととらえています 。タヌキは、思っているより街中にいることも多い――子ダヌキが保護されるのはどのエリアが多い?人目につく場所や側溝で見つかるケースが多いです。タヌキは神奈川県全域に生息しており、一般に思われているよりも街中にいることも多くあります。街中でもちょっとしたまとまった緑(大規模公園や緑地など)があれば、例えば横浜のみなとみらいでもタヌキが生息している可能性があるとみてよいと思います。 ――保護された子ダヌキは、その後どうなる? 仔ダヌキに限らず、当センターで保護した野生動物は、野生復帰に向けて治療・飼養・リハビリし、自立して生活できる状況になりましたら、自然に返しています(放野といいます)。 タヌキか犬猫と判別がつかない場合の対応――子ダヌキか子猫、子犬かわからない赤ちゃんを見つけた場合、どうするべき?確実に仔犬や仔猫である場合は愛護センター等に連絡し、不明な場合はすぐに保護するのではなく、十分に様子をうかがってください。仔ダヌキはまだ餌の取り方や危険からの身の守り方などを学んでいません。人間は、保護したタヌキに餌をやり、体を大きくすることはできても、タヌキが野生で生きていくために必要な術を教えることまではできません。当センターでは、野生に返すことを前提に保護し飼養していますが、人間に育てられたタヌキが野生で生きていく厳しさは想像に難くありません。やはり、親から離さずに見守るのが最初の選択と考えます。仔ダヌキを発見しても、まずはそっと見守ってください。そのうえで、何かご相談事があれば、神奈川県内の方は当センターや横浜市・川崎市の動物園に電話やメールでご連絡ください。県外の方は、お住まいの都道府県の野生動物担当部署に相談してください。――子ダヌキが、けがをしていても見守るべき?当センターの基本的な考え方としては、けがをしていても見守りをお願いしています。ただし、そのけがが、交通事故など人間の活動に起因する場合は保護するべきだと考えています。――「人間のにおいが付くと親が警戒して子育てを放棄してしまう可能性もあります」とツイートしていたが、そのようなケースがあった?以前、一度保護してしまった後に元の場所に戻した際、親が迎えに来なかったケースが何度かありました。タヌキは嗅覚が優れているため、においが原因ではないかといわれています。 ――子ダヌキを見分けるポイントはある?一般に、仔ダヌキの写真(当センターのホームページにも掲載)と実物を見比べることで判別することが基本ですが、実際には仔犬や仔猫と見分けがつかないことが多くあります。神奈川県の場合、当センターや横浜市・川崎市の動物園も同様にタヌキの保護を行っていますので、電話で相談し、メールで写真を送っていただくなどすれば判別のアドバイスができます。 ――ちなみに野生のタヌキを触ることによって人間に感染する病気はある? 人間に感染する人獣共通感染症は様々ありますが、身近なものにヒゼンダニを介して感染する疥癬症、レプトスピラという細菌によるレプトスピラ症があります。野生動物なので、病原体になりうるどんなウイルス、細菌、寄生虫等を持っているか分からないため、未知の病気もあるかもしれません。 子ダヌキらしき野生動物の赤ちゃんを見かけたら、触らずに、住んでいる都道府県の野生動物担当部署に連絡してほしい。そして、野生動物の生態や感染症の可能性も頭に入れておくことも忘れないでほしい。
子猫のような鳴き声をする動物の赤ちゃんを見かけても触らずにそのままにしてほしい。そんな呼びかけをした神奈川県自然環境保全センターのツイートが大きな反響を呼んでいる。
仔ダヌキの#誤認保護の事案が増えています。 側溝の中で仔ネコのような声が聞こえ、真っ黒な動物の赤ちゃんを保護してしまうというケースです。でも、ちょっと待って!親ダヌキは戻ってきます。 (つづく)
投稿ではまず、子ダヌキの「誤認保護」事案が増えていると紹介。子ネコのような鳴き声がすることから保護してしまうケースがあるというのだ。
文章と一緒に投稿された画像を見ると、まだ赤ちゃんのため、たしかに素人ではどんな動物なのかは判別しづらい。鳴き声から子猫と思ってしまうこともありそうだ。
しかし、このような場面に遭遇しても、保護するのは待ってほしいのだという。
理由は、親ダヌキがエサを取りに行っていたり、子ダヌキを一匹ずつ移動させている途中の可能性があり、親ダヌキが戻ってくるかもしれないから。ここで人間が保護してしまうと親子が引き離され、子ダヌキが自然界で生きていく機会を奪ってしまうことになるそうだ。
また、親ダヌキがいない間に人間が子ダヌキに触れてしまうと、人間の匂いが移ってしまい、親ダヌキが警戒して育児放棄してしまう可能性もあるというのだ。
そんな事情もあり、神奈川県自然環境保全センターは、子ダヌキの誤認保護に関する三つのツイートの最後で「見つけても触らず、そのままにしてください!」と呼びかけ、「#きっと親ダヌキは悲しんでいる」という一文で結んだ。
投稿を読んだユーザーからは、「犬とか猫の赤ちゃんにそっくりじゃん…(混乱)」「見分け方とかないのか?」「ケガとかしてた場合はどうしたら良いですか?普段見かける機会がなくて衝動的に保護してしまいそうな気がするので」など多くの反響や疑問が寄せられた。
この投稿は話題となり、保護されたタヌキの赤ちゃんの写真とともに投稿された最初のツイートには、14000件のリツイートと26000件のいいねがついている(5月18日時点)
こういった誤認保護のケースが増えているのだろうか?また、実際にタヌキか判別しづらい赤ちゃんを見つけた時にはどう対応するのが良いのだろうか。神奈川県自然環境保全センターに聞いた。
――ツイートをした背景にはどんな事情があった?
当センターでは、県民の方が弱ったタヌキを発見した場合に、まず電話相談をいただき、状況を確認して保護が必要と判断した場合に受け入れをしています。タヌキは年間を通じて疥癬症や交通事故などで持ち込まれるケースがあり、例年1年間に20~40頭程度(仔ダヌキ含む)を保護しています。
現在いる仔ダヌキ6頭については、いずれも県民の方から事前相談の電話があり、保護するに至ったケースです。いずれも「誤認保護」とみられましたが、相談の結果、親ダヌキが戻ってくる可能性が低いと考えられる状況でしたので、当センターで受け入れ保護しました。
4月上旬に1頭が持ち込まれ、ゴールデンウィーク明けの1週間で相次いで5頭が持ち込まれました。例年、仔ダヌキの保護が増えるのは子育て時期のちょうど今頃(4~5月くらい)となります(早春に交尾し、2カ月ほどの妊娠期間を経て初夏に出産すると言われています)。
仔ダヌキの保護は毎年行っていますので、保護することは珍しくはありませんが、今年のように短期間で複数の仔ダヌキが持ち込まれることは珍しいことでしたので、ツイッターで広報・注意喚起させていただきました。
――なぜ、短期間で子ダヌキの誤認保護が増えたと考えられる?
原因はわかりません。たまたま県民の方の発見が重なったととらえています 。
――子ダヌキが保護されるのはどのエリアが多い?
人目につく場所や側溝で見つかるケースが多いです。タヌキは神奈川県全域に生息しており、一般に思われているよりも街中にいることも多くあります。街中でもちょっとしたまとまった緑(大規模公園や緑地など)があれば、例えば横浜のみなとみらいでもタヌキが生息している可能性があるとみてよいと思います。
――保護された子ダヌキは、その後どうなる?
仔ダヌキに限らず、当センターで保護した野生動物は、野生復帰に向けて治療・飼養・リハビリし、自立して生活できる状況になりましたら、自然に返しています(放野といいます)。
――子ダヌキか子猫、子犬かわからない赤ちゃんを見つけた場合、どうするべき?
確実に仔犬や仔猫である場合は愛護センター等に連絡し、不明な場合はすぐに保護するのではなく、十分に様子をうかがってください。
仔ダヌキはまだ餌の取り方や危険からの身の守り方などを学んでいません。人間は、保護したタヌキに餌をやり、体を大きくすることはできても、タヌキが野生で生きていくために必要な術を教えることまではできません。
当センターでは、野生に返すことを前提に保護し飼養していますが、人間に育てられたタヌキが野生で生きていく厳しさは想像に難くありません。やはり、親から離さずに見守るのが最初の選択と考えます。
仔ダヌキを発見しても、まずはそっと見守ってください。そのうえで、何かご相談事があれば、神奈川県内の方は当センターや横浜市・川崎市の動物園に電話やメールでご連絡ください。
県外の方は、お住まいの都道府県の野生動物担当部署に相談してください。
――子ダヌキが、けがをしていても見守るべき?
当センターの基本的な考え方としては、けがをしていても見守りをお願いしています。ただし、そのけがが、交通事故など人間の活動に起因する場合は保護するべきだと考えています。
――「人間のにおいが付くと親が警戒して子育てを放棄してしまう可能性もあります」とツイートしていたが、そのようなケースがあった?
以前、一度保護してしまった後に元の場所に戻した際、親が迎えに来なかったケースが何度かありました。タヌキは嗅覚が優れているため、においが原因ではないかといわれています。
――子ダヌキを見分けるポイントはある?
一般に、仔ダヌキの写真(当センターのホームページにも掲載)と実物を見比べることで判別することが基本ですが、実際には仔犬や仔猫と見分けがつかないことが多くあります。
神奈川県の場合、当センターや横浜市・川崎市の動物園も同様にタヌキの保護を行っていますので、電話で相談し、メールで写真を送っていただくなどすれば判別のアドバイスができます。
――ちなみに野生のタヌキを触ることによって人間に感染する病気はある?
子ダヌキらしき野生動物の赤ちゃんを見かけたら、触らずに、住んでいる都道府県の野生動物担当部署に連絡してほしい。そして、野生動物の生態や感染症の可能性も頭に入れておくことも忘れないでほしい。

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