安倍昭恵さんも視察…歌舞伎町タワーの「ジェンダーレストイレ」パーテーションできて有名無実化

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歌舞伎町タワーのジェンダーレストイレの様子
新宿・歌舞伎町の新たなシンボルとして、4月14日にオープンした「東急歌舞伎町タワー」。しかし、肝心のタワーそっちのけで、オープン直後から問題点ばかりが指摘されてきたのが、横丁形式の飲食店が立ち並ぶ2階フロアに設置されたジェンダーレストイレだ。
ジェンダーレストイレの入口は左右にわかれており、入口の案内図には左手が「男性用トイレ」(いわゆる男性用の小便トイレ)、右手が「男性用トイレ」「女性用トイレ」「多目的トイレ」「誰でもトイレ」と表示されており、右手の共用トイレのスペースは男女が普通に鉢合わせすることもある構造だ。
共用トイレ、誰でもトイレといえば聞こえはいいが、オープン当初からSNSでは、
《普通に女子トイレが無くなっただけで、何をどう考えて女性が割を食うわけ!?》
《そもそもジェンダーレストイレなんて言い方がしゃらくせぇわ。昭和前半の「共同便所」だろうがよ。退化してんだよ》
など苦言を呈する声や批判が殺到。4月19日には歌舞伎町タワーが公式サイトに「東急歌舞伎町タワー2F 個室トイレについて」との文書を掲載し、防犯カメラによるトイレ共用部の常時監視や、警備員による立哨警備(不審者がいないか立ったまま監視する警備)などの防犯対策を発表した。
しかし、本誌記者が4月22日に現場を訪れた際は、入口に警備員すらおらず、誰でもすんなり中に入れてしまう状態だった。
洗面台エリアに女性が数人いるにもかかわらず、男性2人組が物珍しそうに見学して回るなど、使用する女性にとってはなんとも落ち着かないだろうことは明白だった。
実際に記者も利用してみたが、男性用トイレは別とはいえ、女性と一緒の空間でトイレを待ったり、トイレを使用することには恥ずかしさと同時に違和感しか覚えなかった。
すんなり定着するとは思えなかったジェンダーレストイレだが、5月4日のFRIDAYデジタルの記事によれば、なんと一部のトー横キッズたちの間で「パパ活現場」にまでなっているという。
歌舞伎町を知る人間からすればある程度予測できた事態ともいえるが……騒動は一向に収まる気配が見えない。5月18日には安倍昭恵氏が、ジャーナリストの有本香氏とともにトイレを視察したことをTwitterで報告したほどだ。
そんななか、SNSでは、女性用トイレがパーテーションで区切られたらしい、という話が広がっていた。そこで、5月19日、本誌記者は再度、現地へと赴いた。記者が共用トイレに入れなかった場合も想定して、歌舞伎町で長年、飲食業を営む知人のママにも同伴してもらった。
トイレの入口には高齢の警備員が1人。記者は「大の使用か否か」を確認されただけで、「大を使いたい」と言うと、「男性トイレはこちらです」と言われただけにとどまった。
共用スペースに足を踏み入れると、2台ずつある男性用トイレと誰でもトイレを除き、8台ある女性用トイレはすべてパーテーションで仕切られている。
もちろん知人のママは普通に女性用トイレに入っていったが、そのさなか、若者の男性2人が「おい、お前、何やってんだよー!」などと騒ぎながら、共用スペースどころか、パーテーションのなかにまで入っていった。
トイレに入った連れの女性に向けての発言だったようだが、ママを含め、ほかの女性客もいるなかで、さぞ驚いた女性も多かったはず。しかも、警備員が彼らに声をかけている様子もいっさいなかった。人を見て声をかけている様子がアリアリだ。
実際にトイレを利用した印象をママが語る。
「トイレ自体は、確かに新しくてキレイでした。だけど、ここは歌舞伎町で、すぐ真横では四六時中、トー横キッズのバカ騒ぎが起きている場所なんですよ。
そんな環境下にあるのに、共同で使えるトイレって時点で、トラブルの匂いしかしないでしょう。常識ある大人の女性だったらここを使おうとは思わないはず。
海外や地方から出てきた観光目的の人たちなら、物珍しさで行きたいと思うかもしれないけれど、私なら別の階に上がってでも普通のトイレを使います」
東急歌舞伎町タワーの説明によれば、《国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念でもある『誰一人取り残さない』ことに配慮し、新宿歌舞伎町の多様性を認容する街づくり》のために導入されたジェンダーレストイレ。
もはや有名無実化しているのは間違いないが、わずか2カ月でこれだけ問題が起こるトイレを、このまま “持続” させる意味はあるのだろうか――。

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