便利なはずの宅配ボックスで…住民悩ます「満杯問題」 宅配大手3社&メーカーの見解は

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荷物の再配達削減で注目されている「宅配ボックス」。利用者にとっても受け取る手段が増える便利な設備で、集合住宅などで導入が進んでいる。
一方、SNSでは「もう何ヶ月もマンションの宅配ボックス満杯のままで不便すぎる」「最近『宅配ボックスの空きが無い』って不在票が頻繁に入ってる」といった不満を訴える書き込みが散見される。
宅配ボックスメーカーによれば、「満杯問題」は業界の課題となっている。
宅配ドライバーの大きな負担となっている再配達。その解決策として置き配などとともに宅配ボックスが注目されている。
宅配ボックスなどを販売する「ナスタ」の2022年11月の調査(1000人対象)では、「戸建て住宅」への設置率は26.6%、「マンション」へは62.2%、「アパート」へは30.8%だった。
利用者にとっても、不在時の受け取り方法が増えるためメリットがある。大手賃貸情報サイトでは軒並み宅配ボックスの有無で物件を絞り込みができ、一定のニーズはありそうだ。
一方で、ツイッターでは「満杯問題」を訴える投稿が複数見つかる。「マンションの宅配ボックス占領してるのどうにかして欲しい…」「宅配ボックス放置物を管理会社の判断で廃棄できるようにしてほしい」とトラブルの火種になっている。
ある配達員も「宅配ボックスへの配達を希望されても、一向に荷物が取り出されずに入れられないケースがある。管理人に対応を求めても、聞き入れてもらえなかった」と記者に話す。
国土交通省の2023年4月の調査(1150人対象)では、宅配便が再配達となった理由に「『宅配ボックス』に入れてもらえなかった(一杯だった、サイズが大きかったなど)」と答えた人は7.3%いた。
マンション管理の「シノケンファシリティーズ」は自社サイトの「お知らせ」欄で、「弊社に管理変更をご相談いただいた際、よくある問題の一つが宅配ボックスの『満杯』問題です(中略)信じられない話かもしれませんが、なかには数年前に配達された荷物がそのまま入っている場合もあります」と内情を明かしており、適正利用を呼びかけている。
同社では、長期間放置された荷物は「暗証番号の再設定」をし、対象者には「荷物のお知らせ・撤去の予告」を投函するという。
宅配便大手3社(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)に「満杯問題」の見解を聞くと、次の回答だった。
宅配ボックスメーカーの「日本宅配システム」は取材に、満杯問題について「決して弊社製品の使用においてということではなく業界全体の課題としてではありますが」と前置きして「提案先から得る各物件の情報や宅配に関するニュース・SNSなどから増加を実感しています。特にコロナ流行の過去3年の間に増えたと感じています」と答えた。
増加の背景については「通常、宅配ボックスは鋼板製ということもあり、しっかりした製品であれば20年程度使用することが可能です。そのため、今から10年前の宅配個数に合わせてボックス数を決定し設置していた物件が、現在の必要数に対応しきれなくなっていることが何よりの原因と考えています」と分析する。
改善のためには「宅配ボックスに自分の荷物が入っていることを最短で気づき、外出時間帯の通知であれば帰宅途中に取り出すこと、そしてそれを管理組合などで周知いただくことです。弊社製品はタッチパネル機能を持つ電気式宅配ボックスですので、タッチパネルへの着荷表示やメール、ポスト一体型の機種ではポストを開けた時に宅配お届けサインが出る機能もあります。また一部内覧会のサービスとして、製品取説をスマホからいつでも閲覧できる機能も提供しておりますので利用方法について理解を深めていただく工夫を施しています。それらの情報を掲示板に共有設備の使い方として掲出し、荷物の長期滞留防止を各世帯にお願いすることも可能かと思います」としている。
日本宅配システムでは、満杯問題に対応するため、各戸の玄関横に設置する戸別宅配ボックスも販売している。

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