絶滅とみられていた「幻のエビ」、1世紀ぶり採集…環境の変化緩やかな川で生き残ったか

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琵琶湖をはじめ滋賀県内の河川や池では長く生息が確認されず、「幻のエビ」とされる甲殻類ミナミヌマエビ(カワリヌマエビ属)がほぼ1世紀ぶりに採集され、県立琵琶湖博物館(草津市)で展示されている。
同館は「県内では絶滅したとみられてきただけに、生き物の生息環境の保全を考える機会に」としている。(名和川徹)
体長約2~3センチで、西日本の淡水域に広く分布するが、同館によると県内では1915年に確認されて以来、記録がなく、内湖の干拓や農薬の過剰使用などによる生息環境の変化で絶滅したと考えられていた。2000年頃からは、同じカワリヌマエビ属の外来種で、よく似た外観のシナヌマエビが多く見つかっている。
県は観賞用などとして飼育されている個体が放流されたり逃げたりして、県産と交雑し、生態系に影響することを懸念。2020年、県産のミナミヌマエビを除くカワリヌマエビ属を指定外来種に追加し、野外への放流を禁止し、飼育する際は県に届け出るよう義務づけた。
京都大理学研究科で外来種のエビの研究をしていた福家悠介さん、大貫渓介さんが、県内の複数の河川でミナミヌマエビを見つけ、昨年8月、論文が国際学術誌(電子版)に掲載された。同館は採集されたミナミヌマエビや、1915年の標本(京都大総合博物館所蔵)を展示。シナヌマエビや交雑種の生体も別の水槽で紹介している。
大貫さんは「琵琶湖では見つかっておらず、環境の変化が緩やかだった川で生き残ったのでは」と分析。展示を担当する田畑諒一学芸員は「県産のミナミヌマエビが本当に絶滅してしまわないよう、外来種の増殖や交雑に歯止めをかけねばならない」と話した。
展示は5月14日まで。月曜休館。水族展示室が閉室中の入館料は一般550円、高校・大学生300円。9日以降は通常料金に戻り、一般800円、高校・大学生450円。問い合わせは同館(077・568・4811)。

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