「親に秘密で破水した」「収入ない」望まぬ妊娠をした“特定妊婦”から相次ぐSOSの声…急がれる支援の充実【news23】

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望まない妊娠や経済的な理由などで子どもを育てることが難しく、出産前からの支援が必要な妊婦のことを「特定妊婦」といいます。今月、生まれたばかりの赤ちゃんを遺棄する事件が相次ぎましたが、こうした事件をなくすためにも、出産前の妊婦をどう支援するか課題となっています。【写真を見る】「親に秘密で破水した」「収入ない」望まぬ妊娠をした“特定妊婦”から相次ぐSOSの声…急がれる支援の充実【news23】望まぬ妊娠への支援とは?「助け求められなかった」4月20日、望まぬ妊娠をした女性が5月に迫る出産について相談していました。5月出産予定 ゆいさん(仮名・20代)「『赤ちゃんの面倒を見られるか』と聞かれたんだけど、さすがに見られる精神力持っていないなって」

ここは茨城県にあるNPO法人「Babyぽけっと」の施設です。住むところや頼る人がいない妊婦たちが無料で暮らすことが出来るシェルターを運営しています。3月から住み始めた20代のゆいさん。いったい何があったのでしょうか。ゆいさんは2022年秋ごろ、会社の同僚から性暴力を受け、女の子を妊娠しました。友人にも、離れて暮らす両親にも、相談できませんでした。どうして良いのかわからないまま時は過ぎ、妊娠7か月になるまで一度も病院へ行けませんでした。ゆいさん「本当は(病院に)行かないといけないってわかっているし、どういう状況なのかも心配だったけど、どう説明したらいいかっていうのが頭の中で理解しきれていなくて、整理がつかなくて。助けも求められなかった」性暴力と望まぬ妊娠。二重のショックで仕事も辞めました。病院に行くお金はなく、生活資金も尽きかけたとき、知人を介して知ったこのシェルターに県外からお腹の赤ちゃんとともにやってきました。ぎりぎりの状況だったといいます。ゆいさん「支払いとかなんやかんやしたら、手持ちが1万ちょっとになっちゃって、必死に1万でやりくりしてるみたいな。食べていかないと子どもも育たない。生きられているのは助けてもらったおかげ」連日寄せられる「助けて」望まぬ妊娠への支援とはゆいさんのように、望まない妊娠や経済的な理由などで子どもを育てるのが難しく、出産前からの支援が必要な“特定妊婦”。NPOには連日、彼女たちの悲痛な声が寄せられています。取材中も電話が…NPO法人 Babyぽけっと岡田卓子代表「親に秘密で破水したってことで今入院するんですか?ホテルから救急車呼んだ方がいいですね」メールでも…「収入はゼロで育てられる環境もありません」このNPO法人「Babyぽけっと」では、今年(2023年)に入って約20人の妊婦を受け入れてきました。NPO法人 Babyぽけっと岡田卓子代表 「お金もなく保険証もなく、住所もなくホームレス状態の妊婦さん、言葉悪いけど、そういう人が次々相談に来ます。大勢の人が援助を得られているかって言ったら、そうではないのでは」“特定妊婦”とされる人は年々増えており、10年で約9.5倍の8327人に増加しています。ただ、これはあくまで行政が把握している人数で、ごく一部です。特定妊婦の数(厚生労働省より)▼2010年875人 ↓▼2020年8327人(10年で約9.5倍)ゆいさんは、今の経済状況では子どもを育てていくことは難しいため、出産後、赤ちゃんを養子に出すことを決めました。ゆいさん「収入がないので、子どもは不幸にさせたくない。育て親さんとかに育ててもらった方が幸せなのかな。生まれてくるなら幸せであってほしいから」岡田代表は、望まない妊娠をして悩む女性たちに寄り添うような環境の整備が急務だと指摘します。NPO法人 Babyぽけっと岡田卓子代表「(特定妊婦の人たちは)経済的にまた周りに迷惑かけるとか、お金もないのにどうしようとか、いろんなことがぐるぐる回ってくる。『最後まで誰にも言えない』って言って、どこにも繋がらないのがやっぱり遺棄(事件)になってしまう。誰にも相談できないとかフォローしてもらえない人を、私達がその分フォローしないといけない」増える「特定妊婦」望まぬ妊娠足りない支援山本恵里伽キャスター:4月18日には、生まれたばかりの赤ちゃんが遺体で見つかる事件が、同じ日に2件ありました。愛知県常滑市では、実家の庭に赤ちゃんの遺体を埋めたとして、29歳の保育士の女が逮捕されました。広島県東広島市では、ベトナム人技能実習生で19歳の女が空き地に赤ちゃんを遺棄したとして逮捕されています。また事件にならなくとも、取材に応じたゆいさん(仮名)は支援に繋がる前は、こう考えていたそうです。「自殺すれば、赤ちゃんも自分も死ぬから楽になると考えた」それだけ追い詰められていたということが言えます。こうした特定妊婦とされる人は、10年で約9.5倍になり、2020年には8327人もいるという現状があります。特定妊婦の数(厚生労働省より)▼2010年875人 ↓▼2020年8327人(10年で約9.5倍)小川彩佳キャスター:この数もわかっているだけで、という人数ですよね。支援に繋がらず埋もれてしまっている女性がいるということも指摘されていますね。山本キャスター:本当にその通りなんですよね。その理由の一つとして、特定妊婦というのは望まない妊娠で、働けなくなってしまって困窮して携帯電話が止まっているという人も少なくないそうです。受けられる支援がわからずに、支援・行政につながれないという状況があります。また、支援は民間団体に頼っているので、支援事業に手を挙げた自治体は全国で約2割にとどまっています。4月に発足した「こども家庭庁」でも、特定妊婦への支援を強化する方針を示しているんですが、具体策は何も決まっていないという状況です。小川キャスター:私も5年ほど前に、取材に応じたNPO法人「Babyぽけっと」の岡田代表にお話を伺う機会があったんですけれども、そのときも支援の必要性というのを訴えていらした。やはり支援の環境がまだまだ整っていないということはずっと変わっていないというふうに感じました。落語家 蝶花楼桃花さん:特定妊婦という言葉を私は知らなかったんですけれども、子どもの命が助かる選択肢があるということを、女性も男性も必ず知っておかなくてはいけないんだろうと思いましたね。小川キャスター: この支援の選択肢があるということ。そして、まだまだその支援を必要とする女性たち、様々な事情を抱えた女性たちがいるということも知っておかなければならないことですね。
望まない妊娠や経済的な理由などで子どもを育てることが難しく、出産前からの支援が必要な妊婦のことを「特定妊婦」といいます。今月、生まれたばかりの赤ちゃんを遺棄する事件が相次ぎましたが、こうした事件をなくすためにも、出産前の妊婦をどう支援するか課題となっています。
【写真を見る】「親に秘密で破水した」「収入ない」望まぬ妊娠をした“特定妊婦”から相次ぐSOSの声…急がれる支援の充実【news23】望まぬ妊娠への支援とは?「助け求められなかった」4月20日、望まぬ妊娠をした女性が5月に迫る出産について相談していました。5月出産予定 ゆいさん(仮名・20代)「『赤ちゃんの面倒を見られるか』と聞かれたんだけど、さすがに見られる精神力持っていないなって」

ここは茨城県にあるNPO法人「Babyぽけっと」の施設です。住むところや頼る人がいない妊婦たちが無料で暮らすことが出来るシェルターを運営しています。3月から住み始めた20代のゆいさん。いったい何があったのでしょうか。ゆいさんは2022年秋ごろ、会社の同僚から性暴力を受け、女の子を妊娠しました。友人にも、離れて暮らす両親にも、相談できませんでした。どうして良いのかわからないまま時は過ぎ、妊娠7か月になるまで一度も病院へ行けませんでした。ゆいさん「本当は(病院に)行かないといけないってわかっているし、どういう状況なのかも心配だったけど、どう説明したらいいかっていうのが頭の中で理解しきれていなくて、整理がつかなくて。助けも求められなかった」性暴力と望まぬ妊娠。二重のショックで仕事も辞めました。病院に行くお金はなく、生活資金も尽きかけたとき、知人を介して知ったこのシェルターに県外からお腹の赤ちゃんとともにやってきました。ぎりぎりの状況だったといいます。ゆいさん「支払いとかなんやかんやしたら、手持ちが1万ちょっとになっちゃって、必死に1万でやりくりしてるみたいな。食べていかないと子どもも育たない。生きられているのは助けてもらったおかげ」連日寄せられる「助けて」望まぬ妊娠への支援とはゆいさんのように、望まない妊娠や経済的な理由などで子どもを育てるのが難しく、出産前からの支援が必要な“特定妊婦”。NPOには連日、彼女たちの悲痛な声が寄せられています。取材中も電話が…NPO法人 Babyぽけっと岡田卓子代表「親に秘密で破水したってことで今入院するんですか?ホテルから救急車呼んだ方がいいですね」メールでも…「収入はゼロで育てられる環境もありません」このNPO法人「Babyぽけっと」では、今年(2023年)に入って約20人の妊婦を受け入れてきました。NPO法人 Babyぽけっと岡田卓子代表 「お金もなく保険証もなく、住所もなくホームレス状態の妊婦さん、言葉悪いけど、そういう人が次々相談に来ます。大勢の人が援助を得られているかって言ったら、そうではないのでは」“特定妊婦”とされる人は年々増えており、10年で約9.5倍の8327人に増加しています。ただ、これはあくまで行政が把握している人数で、ごく一部です。特定妊婦の数(厚生労働省より)▼2010年875人 ↓▼2020年8327人(10年で約9.5倍)ゆいさんは、今の経済状況では子どもを育てていくことは難しいため、出産後、赤ちゃんを養子に出すことを決めました。ゆいさん「収入がないので、子どもは不幸にさせたくない。育て親さんとかに育ててもらった方が幸せなのかな。生まれてくるなら幸せであってほしいから」岡田代表は、望まない妊娠をして悩む女性たちに寄り添うような環境の整備が急務だと指摘します。NPO法人 Babyぽけっと岡田卓子代表「(特定妊婦の人たちは)経済的にまた周りに迷惑かけるとか、お金もないのにどうしようとか、いろんなことがぐるぐる回ってくる。『最後まで誰にも言えない』って言って、どこにも繋がらないのがやっぱり遺棄(事件)になってしまう。誰にも相談できないとかフォローしてもらえない人を、私達がその分フォローしないといけない」増える「特定妊婦」望まぬ妊娠足りない支援山本恵里伽キャスター:4月18日には、生まれたばかりの赤ちゃんが遺体で見つかる事件が、同じ日に2件ありました。愛知県常滑市では、実家の庭に赤ちゃんの遺体を埋めたとして、29歳の保育士の女が逮捕されました。広島県東広島市では、ベトナム人技能実習生で19歳の女が空き地に赤ちゃんを遺棄したとして逮捕されています。また事件にならなくとも、取材に応じたゆいさん(仮名)は支援に繋がる前は、こう考えていたそうです。「自殺すれば、赤ちゃんも自分も死ぬから楽になると考えた」それだけ追い詰められていたということが言えます。こうした特定妊婦とされる人は、10年で約9.5倍になり、2020年には8327人もいるという現状があります。特定妊婦の数(厚生労働省より)▼2010年875人 ↓▼2020年8327人(10年で約9.5倍)小川彩佳キャスター:この数もわかっているだけで、という人数ですよね。支援に繋がらず埋もれてしまっている女性がいるということも指摘されていますね。山本キャスター:本当にその通りなんですよね。その理由の一つとして、特定妊婦というのは望まない妊娠で、働けなくなってしまって困窮して携帯電話が止まっているという人も少なくないそうです。受けられる支援がわからずに、支援・行政につながれないという状況があります。また、支援は民間団体に頼っているので、支援事業に手を挙げた自治体は全国で約2割にとどまっています。4月に発足した「こども家庭庁」でも、特定妊婦への支援を強化する方針を示しているんですが、具体策は何も決まっていないという状況です。小川キャスター:私も5年ほど前に、取材に応じたNPO法人「Babyぽけっと」の岡田代表にお話を伺う機会があったんですけれども、そのときも支援の必要性というのを訴えていらした。やはり支援の環境がまだまだ整っていないということはずっと変わっていないというふうに感じました。落語家 蝶花楼桃花さん:特定妊婦という言葉を私は知らなかったんですけれども、子どもの命が助かる選択肢があるということを、女性も男性も必ず知っておかなくてはいけないんだろうと思いましたね。小川キャスター: この支援の選択肢があるということ。そして、まだまだその支援を必要とする女性たち、様々な事情を抱えた女性たちがいるということも知っておかなければならないことですね。
4月20日、望まぬ妊娠をした女性が5月に迫る出産について相談していました。
5月出産予定 ゆいさん(仮名・20代)「『赤ちゃんの面倒を見られるか』と聞かれたんだけど、さすがに見られる精神力持っていないなって」
ここは茨城県にあるNPO法人「Babyぽけっと」の施設です。住むところや頼る人がいない妊婦たちが無料で暮らすことが出来るシェルターを運営しています。
3月から住み始めた20代のゆいさん。いったい何があったのでしょうか。
ゆいさんは2022年秋ごろ、会社の同僚から性暴力を受け、女の子を妊娠しました。友人にも、離れて暮らす両親にも、相談できませんでした。どうして良いのかわからないまま時は過ぎ、妊娠7か月になるまで一度も病院へ行けませんでした。
ゆいさん「本当は(病院に)行かないといけないってわかっているし、どういう状況なのかも心配だったけど、どう説明したらいいかっていうのが頭の中で理解しきれていなくて、整理がつかなくて。助けも求められなかった」
性暴力と望まぬ妊娠。二重のショックで仕事も辞めました。病院に行くお金はなく、生活資金も尽きかけたとき、知人を介して知ったこのシェルターに県外からお腹の赤ちゃんとともにやってきました。ぎりぎりの状況だったといいます。
ゆいさん「支払いとかなんやかんやしたら、手持ちが1万ちょっとになっちゃって、必死に1万でやりくりしてるみたいな。食べていかないと子どもも育たない。生きられているのは助けてもらったおかげ」
ゆいさんのように、望まない妊娠や経済的な理由などで子どもを育てるのが難しく、出産前からの支援が必要な“特定妊婦”。NPOには連日、彼女たちの悲痛な声が寄せられています。取材中も電話が…
NPO法人 Babyぽけっと岡田卓子代表「親に秘密で破水したってことで今入院するんですか?ホテルから救急車呼んだ方がいいですね」
メールでも…「収入はゼロで育てられる環境もありません」
このNPO法人「Babyぽけっと」では、今年(2023年)に入って約20人の妊婦を受け入れてきました。
NPO法人 Babyぽけっと岡田卓子代表 「お金もなく保険証もなく、住所もなくホームレス状態の妊婦さん、言葉悪いけど、そういう人が次々相談に来ます。大勢の人が援助を得られているかって言ったら、そうではないのでは」
“特定妊婦”とされる人は年々増えており、10年で約9.5倍の8327人に増加しています。ただ、これはあくまで行政が把握している人数で、ごく一部です。
特定妊婦の数(厚生労働省より)▼2010年875人 ↓▼2020年8327人(10年で約9.5倍)
ゆいさんは、今の経済状況では子どもを育てていくことは難しいため、出産後、赤ちゃんを養子に出すことを決めました。
ゆいさん「収入がないので、子どもは不幸にさせたくない。育て親さんとかに育ててもらった方が幸せなのかな。生まれてくるなら幸せであってほしいから」
岡田代表は、望まない妊娠をして悩む女性たちに寄り添うような環境の整備が急務だと指摘します。
NPO法人 Babyぽけっと岡田卓子代表「(特定妊婦の人たちは)経済的にまた周りに迷惑かけるとか、お金もないのにどうしようとか、いろんなことがぐるぐる回ってくる。『最後まで誰にも言えない』って言って、どこにも繋がらないのがやっぱり遺棄(事件)になってしまう。誰にも相談できないとかフォローしてもらえない人を、私達がその分フォローしないといけない」
山本恵里伽キャスター:4月18日には、生まれたばかりの赤ちゃんが遺体で見つかる事件が、同じ日に2件ありました。愛知県常滑市では、実家の庭に赤ちゃんの遺体を埋めたとして、29歳の保育士の女が逮捕されました。広島県東広島市では、ベトナム人技能実習生で19歳の女が空き地に赤ちゃんを遺棄したとして逮捕されています。
また事件にならなくとも、取材に応じたゆいさん(仮名)は支援に繋がる前は、こう考えていたそうです。「自殺すれば、赤ちゃんも自分も死ぬから楽になると考えた」
それだけ追い詰められていたということが言えます。こうした特定妊婦とされる人は、10年で約9.5倍になり、2020年には8327人もいるという現状があります。
特定妊婦の数(厚生労働省より)▼2010年875人 ↓▼2020年8327人(10年で約9.5倍)
小川彩佳キャスター:この数もわかっているだけで、という人数ですよね。支援に繋がらず埋もれてしまっている女性がいるということも指摘されていますね。
山本キャスター:本当にその通りなんですよね。その理由の一つとして、特定妊婦というのは望まない妊娠で、働けなくなってしまって困窮して携帯電話が止まっているという人も少なくないそうです。受けられる支援がわからずに、支援・行政につながれないという状況があります。
また、支援は民間団体に頼っているので、支援事業に手を挙げた自治体は全国で約2割にとどまっています。4月に発足した「こども家庭庁」でも、特定妊婦への支援を強化する方針を示しているんですが、具体策は何も決まっていないという状況です。
小川キャスター:私も5年ほど前に、取材に応じたNPO法人「Babyぽけっと」の岡田代表にお話を伺う機会があったんですけれども、そのときも支援の必要性というのを訴えていらした。やはり支援の環境がまだまだ整っていないということはずっと変わっていないというふうに感じました。
落語家 蝶花楼桃花さん:特定妊婦という言葉を私は知らなかったんですけれども、子どもの命が助かる選択肢があるということを、女性も男性も必ず知っておかなくてはいけないんだろうと思いましたね。

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