40メートル先に破損した筒 自作パイプ爆弾の一部か 首相襲撃

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岸田文雄首相が和歌山市の衆院補選の応援演説会場で爆発物を投げつけられた事件で、破損した筒が現場から約40メートル離れた倉庫付近で発見されていたことが捜査関係者への取材で判明した。この筒が聴衆の間をすり抜けていた可能性があり、倉庫の壁には何かがめり込んだような形跡が確認された。演説台の周辺でも複数の破片が散乱していたことが明らかになった。
地元漁師「背中に何か当たった」 全治1週間のけが 和歌山県警は木村隆二容疑者(24)=威力業務妨害容疑で逮捕=が自作したパイプ爆弾を持ち込んだとみて、殺人未遂容疑の適用を視野に威力や製造方法について調べている。

県警は16日未明から約8時間、兵庫県川西市の木村容疑者の自宅を家宅捜索。室内から火薬の原料とみられる粉末や鋼管、工具などを押収した。現場周辺で回収された筒とともに成分や構造の分析を進める。 木村容疑者は15日午前11時25分ごろ、衆院和歌山1区補選の自民党候補の演説会場だった和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、演説台の近くで待機中だった首相に向かって金属製とされる銀色の筒状の爆発物を投げつけ、応援演説を妨害した疑いがある。 爆発物は約50秒後に破裂。首相は警護員らと避難して無事だったが、警戒中だった男性警察官が左腕を切るけがをしたほか、聴衆の一人だった70代男性も背中に擦り傷が確認された。 捜査関係者などによると、木村容疑者は事件当時、演説会場で聴衆に紛れるような形で立ち、首相の動きを確認していたとみられる。首相との距離は約10メートルで、爆発物を投げ込んだ直後に地元漁師や警察官らに取り押さえられ、別の筒とライターを所持していたことも分かった。ライターで着火した可能性がある。 県警はこの筒を回収するとともに現場検証を実施した結果、爆発物が投げ込まれた現場から南東約40メートル先のいけす(高さ約3メートル)の網の上に破損した長さ約15センチの筒があるのを発見。いけすの南東側にある倉庫の壁にへこみも確認された。現場と倉庫の間のスペースには事件当時、約200人の聴衆がいた。演説台周辺にも「ナットなどの破片」 検証に同行した雑賀崎漁業協同組合の幹部は取材に「演説台の周辺でも爆発物の一部とみられる6、7個のナットや、キャップのような破片が見つかったようだ」と証言した。 一方、木村容疑者は現場を訪れた際、グレーのリュックサックと手提げかばんを持参し、かばんの中に刃渡り約13センチの果物ナイフを隠していたことも判明した。リュックサックには爆発物とみられる複数の筒が残されていたことも分かっており、県警は首相を確実に襲撃する目的で周到に準備を進めていた疑いが強いとみている。 県警によると、木村容疑者は今も容疑の認否を含めて黙秘し、雑談にも応じない状況が続いている。職業はこれまで不詳としていたが、家族への聴取などを踏まえ「無職」と判断した。 県警は17日朝、木村容疑者を送検。捜査車両の後部座席に座った木村容疑者はマスク姿で、真正面を見つめたままだった。【駒木智一、大塚愛恵、戸田紗友莉】
和歌山県警は木村隆二容疑者(24)=威力業務妨害容疑で逮捕=が自作したパイプ爆弾を持ち込んだとみて、殺人未遂容疑の適用を視野に威力や製造方法について調べている。
県警は16日未明から約8時間、兵庫県川西市の木村容疑者の自宅を家宅捜索。室内から火薬の原料とみられる粉末や鋼管、工具などを押収した。現場周辺で回収された筒とともに成分や構造の分析を進める。
木村容疑者は15日午前11時25分ごろ、衆院和歌山1区補選の自民党候補の演説会場だった和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、演説台の近くで待機中だった首相に向かって金属製とされる銀色の筒状の爆発物を投げつけ、応援演説を妨害した疑いがある。
爆発物は約50秒後に破裂。首相は警護員らと避難して無事だったが、警戒中だった男性警察官が左腕を切るけがをしたほか、聴衆の一人だった70代男性も背中に擦り傷が確認された。
捜査関係者などによると、木村容疑者は事件当時、演説会場で聴衆に紛れるような形で立ち、首相の動きを確認していたとみられる。首相との距離は約10メートルで、爆発物を投げ込んだ直後に地元漁師や警察官らに取り押さえられ、別の筒とライターを所持していたことも分かった。ライターで着火した可能性がある。
県警はこの筒を回収するとともに現場検証を実施した結果、爆発物が投げ込まれた現場から南東約40メートル先のいけす(高さ約3メートル)の網の上に破損した長さ約15センチの筒があるのを発見。いけすの南東側にある倉庫の壁にへこみも確認された。現場と倉庫の間のスペースには事件当時、約200人の聴衆がいた。
演説台周辺にも「ナットなどの破片」
検証に同行した雑賀崎漁業協同組合の幹部は取材に「演説台の周辺でも爆発物の一部とみられる6、7個のナットや、キャップのような破片が見つかったようだ」と証言した。
一方、木村容疑者は現場を訪れた際、グレーのリュックサックと手提げかばんを持参し、かばんの中に刃渡り約13センチの果物ナイフを隠していたことも判明した。リュックサックには爆発物とみられる複数の筒が残されていたことも分かっており、県警は首相を確実に襲撃する目的で周到に準備を進めていた疑いが強いとみている。
県警によると、木村容疑者は今も容疑の認否を含めて黙秘し、雑談にも応じない状況が続いている。職業はこれまで不詳としていたが、家族への聴取などを踏まえ「無職」と判断した。
県警は17日朝、木村容疑者を送検。捜査車両の後部座席に座った木村容疑者はマスク姿で、真正面を見つめたままだった。【駒木智一、大塚愛恵、戸田紗友莉】

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