明るい小学生時代から中学で急に無口に、最近は「家に引きこもりがち」…首相襲撃の木村容疑者

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和歌山市の選挙演説会場で岸田首相に爆発物が投げ込まれた事件で、威力業務妨害容疑で逮捕された無職木村隆二容疑者(24)について、家族が和歌山県警に「最近は家に引きこもりがちだった」と説明していることがわかった。
木村容疑者は調べに黙秘しており、動機や背景は判然としていない。
■父親の怒声
木村容疑者は兵庫県川西市の戸建て住宅で母親と兄と3人で暮らしていた。捜査関係者によると、母親は和歌山県警に「定職につかず、家に引きこもりがちだった」と説明。近隣住民は平日の昼間に在宅している木村容疑者を目撃していた。
近くに住む女性(65)は「数年前までは朝にバスで出かけ、夕方に帰ってきていたけど、ここ2、3年はずっと家にいたようだ」と証言する。
木村容疑者が近くの集合住宅から現住宅に引っ越してきたのは小学生だった2008年頃。当時は父親も同居していたが、5、6年前から姿が見えなくなったという。それまでは父親が家族に向かってどなる声がたびたび聞かれていた。
別の女性は「父親がいた頃は庭が荒れ放題だったが、最近は母親と一緒によく庭の手入れをしており、生活が落ち着いたと思っていた」と語る。
同級生による木村容疑者の人物像は、小学生時代と中学生時代で大きく異なる。
小学6年で同級生だった女性は「小学生の頃は明るくてリーダーシップがあったけれど、中学に入ると無口になり、誰とも話さなくなった」と話す。
中学3年で同級生だった別の女性も「教室で話しかけても目を合わさず、いつも『ほっといてくれ』という雰囲気で教室の隅っこにいた。時々、同級生からからかわれていたこともあった」と振り返る。
木村容疑者は昨年9月、自民党系の当時の川西市議が開いた市政報告会に参加し、議員の報酬について質問していた。同級生の女性は「中学生の頃は、政治に関心がある様子はなかった」と首をかしげた。
■直前に現場入り
木村容疑者宅から現場までは約80キロ離れ、電車やバスを乗り継いで3時間以上かかる。母親は県警に「14日(事件前日)は家にいたと思う」と話しており、県警は事件当日の15日朝に自宅を出たとみて、足取りの確認を進めている。
木村容疑者とみられる人物は15日午前10時半頃、南海和歌山市駅前のスーパーの防犯カメラに映っていた。駅前からバスに乗り、演説会場となった漁港近くに移動したとみられる。
その後、歩いて演説会場に向かう姿が、漁港から約100メートル離れた消防団の倉庫の防犯カメラに捉えられていた。撮影時刻は、爆発物が投げ込まれる9分前の午前11時18分頃。約40秒前には、首相を乗せたとみられる車列が会場に向かっていた。
首相の応援演説の日程は、自民候補者のツイッターで14日夕に告知されていた。首相が選挙期間中に街頭演説するのは、昨年7月以来9か月ぶりだった。県警は、木村容疑者が襲撃の機会をうかがい、演説情報を事前に調べ、直前に会場入りしたとみている。
■調べには黙秘、動機は?
木村容疑者は逮捕後、「弁護士が来たら話す」と供述した後、黙秘している。
影山任佐(じんすけ)・東京工業大名誉教授(犯罪精神病理学)は「政治家を狙うような事件では、逮捕された後、自身の主張を述べるケースが多い」と指摘する。
「報道などから社会的な背景や確固たる殺意は感じられず、自分の境遇への不満や、つながりがないことに焦り、存在感を誇示したいとの思いがあったのかもしれない」と推測。「社会に与えた影響は大きく、警察は丁寧に動機を解明することが大切だ」と話した。

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