人間なら「120歳」のコアラ、「みどり」おばあちゃん長寿の秘密

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愛くるしい姿がどこでも人気のコアラ。
兵庫県南あわじ市の観光施設「淡路ファームパーク・イングランドの丘」で暮らす雌の「みどり」は25歳。人間でいえばなんと120歳を超えるおばあちゃんで、飼育下では世界最高齢だ。平均15歳で天寿をまっとうするコアラだが、なぜこんなに長寿なのだろうか。(近藤修史)
止まり木の上に、あごをちょこんとのせ、眠たそう。みどりは、50センチほどの高さに座るのが定位置だ。
コアラ館の天井には4台のカメラがあり、飼育の6頭を見守る。うち1台はみどりだけを映し、異変を見逃さないように24時間撮影し、飼育員が動画をすべてチェックしている。
そんな人間の心配をよそに、みどりの食欲は旺盛で、若いコアラと変わらずユーカリの葉を1日に300~400グラム食べる。高齢になれば、前歯や奥歯などがすり減って食べられなくなるはずが、歯はしっかり残り、「かみ合わせも良好で、木につかまる握力もある」と飼育員も不思議顔だ。
みどりは1997年2月、県と姉妹提携する豪・西オーストラリア州で生まれ、2003年に淡路島にやってきた。大病もせず、21年にギネスワールドレコーズ(英国)から飼育下のコアラで「史上最高齢」と「存命中の最高齢」の二つの記録に認定された。
コアラが食べるのはユーカリだけ。イングランドの丘は園内で10種類を栽培し、島内3か所の農家や、冬場に備えて鹿児島県内の農家とも栽培を契約している。
やっかいなのはみどりの好みがコロコロ変わること。食べる様子を見ながら、与える種類を変えているという。
まだ食欲はあるものの、以前に比べて量は減っているという。飼育員に葉をちぎってもらい、口元に運んでもらって食べている。
コアラは盲腸が長く、悩みは便秘。飼育員はおなかを10~15分かけてマッサージし、消化を促している。みどりはマッサージ中、気持ちよさそうな顔をするという。
みどり来園時から担当する後藤敦さん(40)は「生命力の強さに驚かされてきた。みどりがいなくなることは想像できず、できる限り長生きしてほしい」と望んでいる。
みどりのほか、雌の「のぞみ」が14歳で国内3位の高齢、雄の「ゆうき」が13歳と長寿のコアラが施設で暮らす。温暖な気候とともに、えさの手渡しなど熱心な飼育でストレスを抱えていないことが良い影響を与えているとみられる。
◆コアラ=血統を管理する東山動植物園(名古屋市)によると、国内では7園で61頭(7月12日現在)が飼育されている。1997年には96頭いたが、日本に初めてきた84年から各園で飼育できる上限の頭数まで増やし、それ以上繁殖させられなくなった結果、生まれる赤ちゃんが減り、頭数も減っているという。

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