「ルフィ事件」とシンクロする“ぼったくり被害”多発の裏側 「出会い系アプリを使うのが一番効率的に稼げる」と当事者がうそぶく理由

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全国でマッチングアプリを使った“ぼったくり”被害が多発している。なかでも、その中心地とされるのが東京の新宿・歌舞伎町だ。同地に棲息するぼったくり店関係者の口から語られる、その“悪辣”手口と「ルフィ事件」との意外な共通点とは。
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【写真を見る】逮捕された20歳の女性とグルだった「ぼったくりバー」の店内風景 3月3日、警視庁新宿署は風営法違反(無許可での接待行為)の疑いで住所不詳の専門学校生・畠叶夢(はた・かなめ=20=)容疑者を逮捕。民放キー局社会部記者が解説する。

「今年2月11日、畠容疑者はマッチングアプリで知り合った20代男性と新宿駅で落ち合うと“いつも行くダーツバーに行こう”と誘って、歌舞伎町のぼったくり店Hに連れ込みました。店側は当初、“飲み放題で1人1時間5000円”と説明したが、間もなく畠容疑者が被害男性に“トランプしよう”と提案。負けたほうが“1ショットの酒を飲む”というルールで2人はカードゲームに興じますが、結局、1時間ほどで計100杯近くのショットを空ける結果になった」ぼったくり被害が多発している新宿・歌舞伎町 すると店員がやって来て「ショットは飲み放題に含まれない」と告げ、男性に40万円の料金を請求したという。「持ち合わせが1万5000円しかなかった男性は近くのコンビニに向かわされ、現金数万円を引き出しました。しかし、とても足りなかったため、コンビニまで同行した店員が“キャッシュカードでキャッシングしてカネを引き出せ”と指示。男性はキャッシングした18万円を渡して逃げようとしたものの、外で見張りをしていた別の店員らに捕まってスマホと財布も奪われました」(同)SNSで連れ込み役の女性を募集 その後、近くの交番に駆け込んだ被害男性が警察官を伴って再びHに向かうと、先ほどのコンビニから畠容疑者と別の男性が出てくるところに出くわしたという。「警察官が声をかけると、その男性も“ぼったくりに遭った”と話したことから、畠容疑者に任意同行を求め事情聴取。最終的に“Hの従業員だったことを隠して、被害男性を店に連れて行った”と容疑を認める供述をしています」(同) 実はマッチングアプリで「マイ」と名乗り、被害男性を新宿駅に誘い出したのは畠容疑者ではなく、Hの男性店員だったという。役割分担のカラクリについて、歌舞伎町の別のぼったくり店関係者がこう明かす。「待ち合わせ場所から店まで誘い込む役の女の子は、振り込め詐欺でいう“出し子”や“受け子”のようなもの。彼女たちを集めるやり方はルフィ事件と同じで、SNSで“高収入”や“即金”を謳ってカネに詰まったコたちを絡め取っていくというもの。今回、逮捕された専門学校生は被害男性が払った額の25%を報酬として受け取っていたそうだが、通常、女の子に払うのは巻き上げた額の10~20%が相場。店の男性従業員はもちろん、応募してきた女性にも“パパ活”アプリなどに登録させ、釣れる獲物は常に仲間内で物色している」(同) 普段はぼったくり店は稼働させず、被害者が訪れる時だけ急遽、営業の体裁を取るケースも多いという。お金を持ってる「パパ活」希望者を一本釣り「SNSの募集に応募してくる女の子は、住所不定や身分証を持っていない“トー横キッズ”と変わらないような20歳前後のコが多い。実際、定宿にしているマンキツ(漫画喫茶)でアプリを駆使して男を引っ掛けるコは少なくない。もともと騙す相手は出会い系アプリの登録者なので彼女たちに罪悪感はなく、上手くいけば1回で数万円を手にできる“おいしいバイト”といった感覚のようだ」(同) 報酬額と逮捕リスクを天秤にかければ、とても「割のいいバイト」とは思えないが、マッチングアプリを使った“集客”は歌舞伎町以外でも全国的に広く行われているという。その理由が“キャッチ規制”(客引き行為等の防止条例)と「これが一番ラクに稼げる方法だから」という。「歌舞伎町だけでなく、全国的に路上での客引きが難しくなっている。だからアプリを利用した連れ込みがいまの主流に取って代わった。もう一つ大きな理由は、こっちのほうが効率的に稼げるから。振り込め詐欺が面倒な騙しのトークを省いて直接、目星を付けた被害者宅へ強盗に押し入るようになったのと同じ理由。パパ活アプリに登録している男性なら、ある程度のカネは持っていると見込め、空振りのリスクは低い」(同) 意外にもぼったくり店側は、1人の客から100万や200万円といった高額を騙し取ろうとは考えていないという。「いまどき数百万円を1人の客から巻き上げるのはムリ。仮に1人から30万円を奪い、それが月に10人いれば300万円の月収になるといった計算の仕方。あと肝心なのはカードでなく、現金で払わせること。カード決済させても、逃げた後にカード会社に電話され、カードを止められるのがオチ。コンビニのATMから現金を下ろさせるか、残高がなければ限度額までキャッシングさせるのが鉄則だ」(同) ぼったくり防止条例違反での立件は「事前の料金説明の有無などの立証が必要でハードルが高い」(前出・社会部記者)というが、法律ができても取り締まれないのでは意味がない。警察当局の強い姿勢が望まれる。デイリー新潮編集部
3月3日、警視庁新宿署は風営法違反(無許可での接待行為)の疑いで住所不詳の専門学校生・畠叶夢(はた・かなめ=20=)容疑者を逮捕。民放キー局社会部記者が解説する。
「今年2月11日、畠容疑者はマッチングアプリで知り合った20代男性と新宿駅で落ち合うと“いつも行くダーツバーに行こう”と誘って、歌舞伎町のぼったくり店Hに連れ込みました。店側は当初、“飲み放題で1人1時間5000円”と説明したが、間もなく畠容疑者が被害男性に“トランプしよう”と提案。負けたほうが“1ショットの酒を飲む”というルールで2人はカードゲームに興じますが、結局、1時間ほどで計100杯近くのショットを空ける結果になった」
すると店員がやって来て「ショットは飲み放題に含まれない」と告げ、男性に40万円の料金を請求したという。
「持ち合わせが1万5000円しかなかった男性は近くのコンビニに向かわされ、現金数万円を引き出しました。しかし、とても足りなかったため、コンビニまで同行した店員が“キャッシュカードでキャッシングしてカネを引き出せ”と指示。男性はキャッシングした18万円を渡して逃げようとしたものの、外で見張りをしていた別の店員らに捕まってスマホと財布も奪われました」(同)
その後、近くの交番に駆け込んだ被害男性が警察官を伴って再びHに向かうと、先ほどのコンビニから畠容疑者と別の男性が出てくるところに出くわしたという。
「警察官が声をかけると、その男性も“ぼったくりに遭った”と話したことから、畠容疑者に任意同行を求め事情聴取。最終的に“Hの従業員だったことを隠して、被害男性を店に連れて行った”と容疑を認める供述をしています」(同)
実はマッチングアプリで「マイ」と名乗り、被害男性を新宿駅に誘い出したのは畠容疑者ではなく、Hの男性店員だったという。役割分担のカラクリについて、歌舞伎町の別のぼったくり店関係者がこう明かす。
「待ち合わせ場所から店まで誘い込む役の女の子は、振り込め詐欺でいう“出し子”や“受け子”のようなもの。彼女たちを集めるやり方はルフィ事件と同じで、SNSで“高収入”や“即金”を謳ってカネに詰まったコたちを絡め取っていくというもの。今回、逮捕された専門学校生は被害男性が払った額の25%を報酬として受け取っていたそうだが、通常、女の子に払うのは巻き上げた額の10~20%が相場。店の男性従業員はもちろん、応募してきた女性にも“パパ活”アプリなどに登録させ、釣れる獲物は常に仲間内で物色している」(同)
普段はぼったくり店は稼働させず、被害者が訪れる時だけ急遽、営業の体裁を取るケースも多いという。
「SNSの募集に応募してくる女の子は、住所不定や身分証を持っていない“トー横キッズ”と変わらないような20歳前後のコが多い。実際、定宿にしているマンキツ(漫画喫茶)でアプリを駆使して男を引っ掛けるコは少なくない。もともと騙す相手は出会い系アプリの登録者なので彼女たちに罪悪感はなく、上手くいけば1回で数万円を手にできる“おいしいバイト”といった感覚のようだ」(同)
報酬額と逮捕リスクを天秤にかければ、とても「割のいいバイト」とは思えないが、マッチングアプリを使った“集客”は歌舞伎町以外でも全国的に広く行われているという。その理由が“キャッチ規制”(客引き行為等の防止条例)と「これが一番ラクに稼げる方法だから」という。
「歌舞伎町だけでなく、全国的に路上での客引きが難しくなっている。だからアプリを利用した連れ込みがいまの主流に取って代わった。もう一つ大きな理由は、こっちのほうが効率的に稼げるから。振り込め詐欺が面倒な騙しのトークを省いて直接、目星を付けた被害者宅へ強盗に押し入るようになったのと同じ理由。パパ活アプリに登録している男性なら、ある程度のカネは持っていると見込め、空振りのリスクは低い」(同)
意外にもぼったくり店側は、1人の客から100万や200万円といった高額を騙し取ろうとは考えていないという。
「いまどき数百万円を1人の客から巻き上げるのはムリ。仮に1人から30万円を奪い、それが月に10人いれば300万円の月収になるといった計算の仕方。あと肝心なのはカードでなく、現金で払わせること。カード決済させても、逃げた後にカード会社に電話され、カードを止められるのがオチ。コンビニのATMから現金を下ろさせるか、残高がなければ限度額までキャッシングさせるのが鉄則だ」(同)
ぼったくり防止条例違反での立件は「事前の料金説明の有無などの立証が必要でハードルが高い」(前出・社会部記者)というが、法律ができても取り締まれないのでは意味がない。警察当局の強い姿勢が望まれる。
デイリー新潮編集部

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