放心状態だった容疑者、現場で何が 大阪の病院突っ込み

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穏やかな午後の昼下がり、周囲に鈍い衝撃音と悲鳴が響き渡った。
大阪市生野区の生野愛和病院に1日、白い乗用車が突っ込み、歩道を歩いていた女性2人が死亡した事故。病院の壁に衝突した車のボンネットは外れ、部品は散乱。事故を起こした容疑者は呆然と立っていた。「車通りの多い場所だが、こんな事故が起こるなんて怖い」。住民は不安そうに話した。
現場近くの防犯カメラには国道を逆走中とみられる車が、歩道を勢いよく走り、病院に向かって突進していく様子が写っていた。 「内臓にまで響く音だった」。衝突音を聞いて駆けつけた近隣の女性(53)はこう証言する。
女性によると、歩道脇の花壇に乗り上げた車は「衝突後もアクセルを踏んでいたのか、タイヤがギュルギュルと回っていた」。運転席にいた呉昌樹容疑者(71)=自動車運転処罰法違反(過失運転致死)容疑で逮捕=は、衝突後も車を動かそうとしていたとみられ「とても危険な状況だった」と声を震わせた。
近くの商店の男性店主(70)は、消防隊員が「車のエンジンを切れ」と叫ぶ声を聞いたほか、全身に布をかぶせられた人が担架で運ばれていく様子を見た。周囲には花壇のれんがや車体の一部が散乱。車内ではエアバッグが開いていた。
病院からは職員たちが駆け付け、周囲は騒然となったが、車のそばで呉容疑者は放心状態で立ち尽くしていたという。現場近くのガソリンスタンドで働く男性(40)は「(容疑者は)状況を理解できていないようだった」と話した。近くに住む主婦(53)は、男性数人が容疑者のところに駆け寄る様子を見ていた。「(容疑者が)『大丈夫ですよ』というサインなのか、右手を上に挙げていた」と振り返った。

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