47歳母も絶句した…総額「240万円」もの塾代を搾り取った大学受験塾の「ヤバい営業トーク」

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大学入試が一段落した3月下旬、筆者が運営する大学受験塾に、浪人が決まった上田武史くん(仮名・18歳)と母の美恵子さん(仮名・47歳)が面談に訪れた。武史くんは高2の夏から個別指導塾に通い真面目に勉強していたが、成績は一向に伸びなかったという。いったい何が問題だったのか、前編記事『「このままじゃ志望大学に落ちますよ」塾講師の一言で、受験生親子がハマった「地獄の無限ループ」』に続き紹介しよう。
「受験の天王山」とも呼ばれる高3の夏が終わったが、秋の模試で事態はさらに悪化する。
「9月頃に模試を受けました。その結果がもう驚きで、夏前の模試よりも偏差値が下がっていたんです。息子もあんなに頑張っていたから、少しでも伸びていてほしかった。でもまさか、上がるどころか下がるなんて思ってもみませんでした」
美恵子さんは心配になり、塾に電話をかけた。もしかすると、息子は夏の間、塾をサボって遊んでいたのではないか。そんな疑念が頭をもたげていた。毎日塾で一生懸命勉強しているのに、成績が下がるなんてありえないと思われたのだ。
「校舎長さんが対応してくれたんですが、息子の出欠データを確認してもらったところ、サボっていたようすはありませんでした。むしろ、毎日真面目で、休んだことはなかったそうです。
『それでは、どうして成績が下がったのか』と尋ねると、『夏期講習の効果が出てくるまでもう少し時間がかかるから、しばらくは我慢して見守るべきだ』とのことでした。それを聞いて、本当かと疑わしく思いましたが、たしかに私が勝手に期待を膨らませすぎていたところもあったのかな、と少し反省しました」
Photo by gettyimages
校舎長からの話には、さらに続きがあった。「『もし不安なら、授業のコマ数をもう少し増やしたほうがいい』と言われたんです。『武史君は夏にあれだけ頑張れたのだから、新学期が始まって負担が増えるこの時期にコマ数を増やしたとしても、学校の授業と両立してしっかり頑張れる子だ』って……。私はその話を聞いて、息子を褒められた気がして嬉しかったんです。それで、希望を持ってしまって……」その夜、美恵子さんは武史くんにどうしたいのかを聞いてみた。すると、模試で成績が下がって落ち込んでいた武史くん本人も、「コマ数を増やして頑張りたい」と答えたという。そこで秋からは、これまで週3回だった通常授業を週5回に増やした。武史くんはひたすら塾に通い続けたが、その時点で塾の月謝は約15万円にまで達していた。授業を増やせばそれでいいのか筆者はここまで話を聞いて、「夏期講習中とか、コマ数を増やした秋頃には、復習の時間をどれぐらいとれていたのか?」と、武史くんに質問を投げかけてみた。すると武史くんはちらっとこちらを見て、小さな声で答えてくれた。「授業と、その準備をこなすのに精一杯で、復習らしい復習はできていませんでした」これが塾の営業の毒牙にかかった受験生の末路である。受験生も保護者も、「授業のコマ数を増やせば、その分だけ力がつく」と勘違いしている人が非常に多い。しかし、ここでみなさんも思い浮かべてみてほしいのだが、英文法の決まりごとや歴史の年号を、授業中に瞬間的に覚えることができるだろうか? 理科や数学の反復演習は、授業中に完了できるものだろうか? 答えはすべて「ノー」である。Photo by gettyimages こうした暗記作業や反復作業は、授業をすべて受け終わった後に行って、復習として自分の頭に叩き込んだり、解き方が再現できるか練習したりしなければ、身につかないのである。つまり、復習なくして知識や実力が向上することはないのだ。武史くんは大量の授業を受けることに必死で、最も大事な復習の時間を確保できなくなってしまっていたわけである。授業内容を自分のモノとするためにしかし、美恵子さんと武史くんはそのことにはまったく気がついていなかった。面談の場で、筆者は言葉を選んで次のように話しかけた。「お母さん、武史くんは必死に頑張っていたんだと思います。でも、頑張りどころがわかっていなかった。もっと言えば、頑張りどころをきちんと教えてくれる人が近くにいなかっただけだと思います」その筆者の言葉を聞くや否や、美恵子さんの目に溜まっていた涙は、ついに頬を伝って流れ始めた。秋の模試で偏差値が下がった理由も、筆者には容易に推測できる。勉強の方向性が間違っていて、そして周囲の成績が武史くんよりも伸びていたというだけだ。もちろん、武史くんも知識が増えて成長していただろうが、ライバルとの相対値である偏差値において、数値が下がってしまったということだろう。Photo by gettyimages 2年間の総額は240万円に武史くんの悲劇はそれだけでは終わらなかった。勉強しているのに成績が伸びず、追い込まれた彼は、結局高3の冬休みにも大量の冬期講習をとることに決めたのである。泣きながら筆者に話してくれた美恵子さんによると、このときもやはり塾からのセールストークは、「このままだと受験に間に合わないので」だったそうだ。そして、美恵子さんは、武史くんが高3になってからの1年間で合計約180万円、高2の夏から合算すれば約240万円程度をその塾に納めることとなった。これは、入塾前に説明を受けた想定費用の2倍の額だった。「息子には、本当に申し訳ないことをしました。私が塾の先生方の話を聞いて不安になったばかりに、息子を追い込むようなかたちで授業を増やしてしまったんです。あんなに頑張っていたのにそれが報われず、夫にも塾費用の工面で迷惑をかけてしまって、もうどうしたらいいのか……」受験はまず「環境整備」からこれは2年前の話である。その後、筆者の塾で浪人生活を迎えた武史くんは復習を重んじた勉強スタイルで、驚くほどスムーズに成績を伸ばしていった。本人も自分の成長を肌で感じて自信を取り戻し、見事MARCHの一角に合格することができた。そのときは、美恵子さんの嬉し涙を見ることができて、筆者も安堵した記憶がある。受験勉強においては、その内容や方法もさることながら「環境」をしっかりと整えることが重要である。自分の性格や学力に合った塾を選ぶ、信頼できるアドバイザーを見つけるなど、環境で合否が決まると言っても過言ではない。Photo by gettyimages 多くの家庭において、子どもの大学受験は、1度や2度しか経験しないものである。それゆえ、ある意味で全家庭が受験の素人であるという認識をしっかり持っておいてほしい。さらに気をつけていただきたいのは、たとえ親自身が大学受験の経験者であっても、当時とは塾も受験も大きく様変わりしているということである。しっかりと情報を集め、比較し、知識で武装してから、候補の塾に話を聞きに行くことが不可欠であるただし、もしかするとあなたの前に出てくる塾スタッフや講師は、受験生の成績向上よりも授業料収入の向上に必死かもしれないないから、その視点を忘れずに彼らを冷静に観察し、話を聞くことをお勧めする。塾講師のうつ病の一因にも筆者には塾業界の知り合いが仕事柄多いが、中には、大手塾の新入社員がうつ病になって退職したケースも多い。その理由として多いのが、「営業ばかりさせられることに疲れた」というものである。塾講師を目指す人は、人に教えることが好きで、目の前の生徒に貢献したいという真摯な想いを持った純粋なタイプが多い。しかし実際に塾を運営する企業に入社すると、宣伝のビラ配りばかりやらされたり、いかに多くの授業を生徒にとらせるかという面談のロールプレイングをやらされたり、保護者への電話営業を強いられたりする。Photo by gettyimages 思い描いていた理想の職務内容とのギャップに苦しみ、何よりも目の前の生徒に貢献できない悔しさから、精神を病んでしまうようだ。塾も営利企業である以上、利益を追い求めるのは仕方のないことであるが、生徒の成績向上に真剣な塾講師と、自分の成績向上に一生懸命な受験生が出会えるケースが増えることを、筆者は切に願っている。
校舎長からの話には、さらに続きがあった。
「『もし不安なら、授業のコマ数をもう少し増やしたほうがいい』と言われたんです。『武史君は夏にあれだけ頑張れたのだから、新学期が始まって負担が増えるこの時期にコマ数を増やしたとしても、学校の授業と両立してしっかり頑張れる子だ』って……。私はその話を聞いて、息子を褒められた気がして嬉しかったんです。それで、希望を持ってしまって……」
その夜、美恵子さんは武史くんにどうしたいのかを聞いてみた。すると、模試で成績が下がって落ち込んでいた武史くん本人も、「コマ数を増やして頑張りたい」と答えたという。そこで秋からは、これまで週3回だった通常授業を週5回に増やした。武史くんはひたすら塾に通い続けたが、その時点で塾の月謝は約15万円にまで達していた。
筆者はここまで話を聞いて、「夏期講習中とか、コマ数を増やした秋頃には、復習の時間をどれぐらいとれていたのか?」と、武史くんに質問を投げかけてみた。すると武史くんはちらっとこちらを見て、小さな声で答えてくれた。
「授業と、その準備をこなすのに精一杯で、復習らしい復習はできていませんでした」
これが塾の営業の毒牙にかかった受験生の末路である。受験生も保護者も、「授業のコマ数を増やせば、その分だけ力がつく」と勘違いしている人が非常に多い。
しかし、ここでみなさんも思い浮かべてみてほしいのだが、英文法の決まりごとや歴史の年号を、授業中に瞬間的に覚えることができるだろうか? 理科や数学の反復演習は、授業中に完了できるものだろうか? 答えはすべて「ノー」である。
Photo by gettyimages
こうした暗記作業や反復作業は、授業をすべて受け終わった後に行って、復習として自分の頭に叩き込んだり、解き方が再現できるか練習したりしなければ、身につかないのである。つまり、復習なくして知識や実力が向上することはないのだ。武史くんは大量の授業を受けることに必死で、最も大事な復習の時間を確保できなくなってしまっていたわけである。授業内容を自分のモノとするためにしかし、美恵子さんと武史くんはそのことにはまったく気がついていなかった。面談の場で、筆者は言葉を選んで次のように話しかけた。「お母さん、武史くんは必死に頑張っていたんだと思います。でも、頑張りどころがわかっていなかった。もっと言えば、頑張りどころをきちんと教えてくれる人が近くにいなかっただけだと思います」その筆者の言葉を聞くや否や、美恵子さんの目に溜まっていた涙は、ついに頬を伝って流れ始めた。秋の模試で偏差値が下がった理由も、筆者には容易に推測できる。勉強の方向性が間違っていて、そして周囲の成績が武史くんよりも伸びていたというだけだ。もちろん、武史くんも知識が増えて成長していただろうが、ライバルとの相対値である偏差値において、数値が下がってしまったということだろう。Photo by gettyimages 2年間の総額は240万円に武史くんの悲劇はそれだけでは終わらなかった。勉強しているのに成績が伸びず、追い込まれた彼は、結局高3の冬休みにも大量の冬期講習をとることに決めたのである。泣きながら筆者に話してくれた美恵子さんによると、このときもやはり塾からのセールストークは、「このままだと受験に間に合わないので」だったそうだ。そして、美恵子さんは、武史くんが高3になってからの1年間で合計約180万円、高2の夏から合算すれば約240万円程度をその塾に納めることとなった。これは、入塾前に説明を受けた想定費用の2倍の額だった。「息子には、本当に申し訳ないことをしました。私が塾の先生方の話を聞いて不安になったばかりに、息子を追い込むようなかたちで授業を増やしてしまったんです。あんなに頑張っていたのにそれが報われず、夫にも塾費用の工面で迷惑をかけてしまって、もうどうしたらいいのか……」受験はまず「環境整備」からこれは2年前の話である。その後、筆者の塾で浪人生活を迎えた武史くんは復習を重んじた勉強スタイルで、驚くほどスムーズに成績を伸ばしていった。本人も自分の成長を肌で感じて自信を取り戻し、見事MARCHの一角に合格することができた。そのときは、美恵子さんの嬉し涙を見ることができて、筆者も安堵した記憶がある。受験勉強においては、その内容や方法もさることながら「環境」をしっかりと整えることが重要である。自分の性格や学力に合った塾を選ぶ、信頼できるアドバイザーを見つけるなど、環境で合否が決まると言っても過言ではない。Photo by gettyimages 多くの家庭において、子どもの大学受験は、1度や2度しか経験しないものである。それゆえ、ある意味で全家庭が受験の素人であるという認識をしっかり持っておいてほしい。さらに気をつけていただきたいのは、たとえ親自身が大学受験の経験者であっても、当時とは塾も受験も大きく様変わりしているということである。しっかりと情報を集め、比較し、知識で武装してから、候補の塾に話を聞きに行くことが不可欠であるただし、もしかするとあなたの前に出てくる塾スタッフや講師は、受験生の成績向上よりも授業料収入の向上に必死かもしれないないから、その視点を忘れずに彼らを冷静に観察し、話を聞くことをお勧めする。塾講師のうつ病の一因にも筆者には塾業界の知り合いが仕事柄多いが、中には、大手塾の新入社員がうつ病になって退職したケースも多い。その理由として多いのが、「営業ばかりさせられることに疲れた」というものである。塾講師を目指す人は、人に教えることが好きで、目の前の生徒に貢献したいという真摯な想いを持った純粋なタイプが多い。しかし実際に塾を運営する企業に入社すると、宣伝のビラ配りばかりやらされたり、いかに多くの授業を生徒にとらせるかという面談のロールプレイングをやらされたり、保護者への電話営業を強いられたりする。Photo by gettyimages 思い描いていた理想の職務内容とのギャップに苦しみ、何よりも目の前の生徒に貢献できない悔しさから、精神を病んでしまうようだ。塾も営利企業である以上、利益を追い求めるのは仕方のないことであるが、生徒の成績向上に真剣な塾講師と、自分の成績向上に一生懸命な受験生が出会えるケースが増えることを、筆者は切に願っている。
こうした暗記作業や反復作業は、授業をすべて受け終わった後に行って、復習として自分の頭に叩き込んだり、解き方が再現できるか練習したりしなければ、身につかないのである。つまり、復習なくして知識や実力が向上することはないのだ。
武史くんは大量の授業を受けることに必死で、最も大事な復習の時間を確保できなくなってしまっていたわけである。
しかし、美恵子さんと武史くんはそのことにはまったく気がついていなかった。面談の場で、筆者は言葉を選んで次のように話しかけた。
「お母さん、武史くんは必死に頑張っていたんだと思います。でも、頑張りどころがわかっていなかった。もっと言えば、頑張りどころをきちんと教えてくれる人が近くにいなかっただけだと思います」
その筆者の言葉を聞くや否や、美恵子さんの目に溜まっていた涙は、ついに頬を伝って流れ始めた。
秋の模試で偏差値が下がった理由も、筆者には容易に推測できる。勉強の方向性が間違っていて、そして周囲の成績が武史くんよりも伸びていたというだけだ。もちろん、武史くんも知識が増えて成長していただろうが、ライバルとの相対値である偏差値において、数値が下がってしまったということだろう。
Photo by gettyimages
2年間の総額は240万円に武史くんの悲劇はそれだけでは終わらなかった。勉強しているのに成績が伸びず、追い込まれた彼は、結局高3の冬休みにも大量の冬期講習をとることに決めたのである。泣きながら筆者に話してくれた美恵子さんによると、このときもやはり塾からのセールストークは、「このままだと受験に間に合わないので」だったそうだ。そして、美恵子さんは、武史くんが高3になってからの1年間で合計約180万円、高2の夏から合算すれば約240万円程度をその塾に納めることとなった。これは、入塾前に説明を受けた想定費用の2倍の額だった。「息子には、本当に申し訳ないことをしました。私が塾の先生方の話を聞いて不安になったばかりに、息子を追い込むようなかたちで授業を増やしてしまったんです。あんなに頑張っていたのにそれが報われず、夫にも塾費用の工面で迷惑をかけてしまって、もうどうしたらいいのか……」受験はまず「環境整備」からこれは2年前の話である。その後、筆者の塾で浪人生活を迎えた武史くんは復習を重んじた勉強スタイルで、驚くほどスムーズに成績を伸ばしていった。本人も自分の成長を肌で感じて自信を取り戻し、見事MARCHの一角に合格することができた。そのときは、美恵子さんの嬉し涙を見ることができて、筆者も安堵した記憶がある。受験勉強においては、その内容や方法もさることながら「環境」をしっかりと整えることが重要である。自分の性格や学力に合った塾を選ぶ、信頼できるアドバイザーを見つけるなど、環境で合否が決まると言っても過言ではない。Photo by gettyimages 多くの家庭において、子どもの大学受験は、1度や2度しか経験しないものである。それゆえ、ある意味で全家庭が受験の素人であるという認識をしっかり持っておいてほしい。さらに気をつけていただきたいのは、たとえ親自身が大学受験の経験者であっても、当時とは塾も受験も大きく様変わりしているということである。しっかりと情報を集め、比較し、知識で武装してから、候補の塾に話を聞きに行くことが不可欠であるただし、もしかするとあなたの前に出てくる塾スタッフや講師は、受験生の成績向上よりも授業料収入の向上に必死かもしれないないから、その視点を忘れずに彼らを冷静に観察し、話を聞くことをお勧めする。塾講師のうつ病の一因にも筆者には塾業界の知り合いが仕事柄多いが、中には、大手塾の新入社員がうつ病になって退職したケースも多い。その理由として多いのが、「営業ばかりさせられることに疲れた」というものである。塾講師を目指す人は、人に教えることが好きで、目の前の生徒に貢献したいという真摯な想いを持った純粋なタイプが多い。しかし実際に塾を運営する企業に入社すると、宣伝のビラ配りばかりやらされたり、いかに多くの授業を生徒にとらせるかという面談のロールプレイングをやらされたり、保護者への電話営業を強いられたりする。Photo by gettyimages 思い描いていた理想の職務内容とのギャップに苦しみ、何よりも目の前の生徒に貢献できない悔しさから、精神を病んでしまうようだ。塾も営利企業である以上、利益を追い求めるのは仕方のないことであるが、生徒の成績向上に真剣な塾講師と、自分の成績向上に一生懸命な受験生が出会えるケースが増えることを、筆者は切に願っている。
武史くんの悲劇はそれだけでは終わらなかった。勉強しているのに成績が伸びず、追い込まれた彼は、結局高3の冬休みにも大量の冬期講習をとることに決めたのである。泣きながら筆者に話してくれた美恵子さんによると、このときもやはり塾からのセールストークは、「このままだと受験に間に合わないので」だったそうだ。
そして、美恵子さんは、武史くんが高3になってからの1年間で合計約180万円、高2の夏から合算すれば約240万円程度をその塾に納めることとなった。これは、入塾前に説明を受けた想定費用の2倍の額だった。
「息子には、本当に申し訳ないことをしました。私が塾の先生方の話を聞いて不安になったばかりに、息子を追い込むようなかたちで授業を増やしてしまったんです。あんなに頑張っていたのにそれが報われず、夫にも塾費用の工面で迷惑をかけてしまって、もうどうしたらいいのか……」
これは2年前の話である。その後、筆者の塾で浪人生活を迎えた武史くんは復習を重んじた勉強スタイルで、驚くほどスムーズに成績を伸ばしていった。本人も自分の成長を肌で感じて自信を取り戻し、見事MARCHの一角に合格することができた。そのときは、美恵子さんの嬉し涙を見ることができて、筆者も安堵した記憶がある。
受験勉強においては、その内容や方法もさることながら「環境」をしっかりと整えることが重要である。自分の性格や学力に合った塾を選ぶ、信頼できるアドバイザーを見つけるなど、環境で合否が決まると言っても過言ではない。
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多くの家庭において、子どもの大学受験は、1度や2度しか経験しないものである。それゆえ、ある意味で全家庭が受験の素人であるという認識をしっかり持っておいてほしい。さらに気をつけていただきたいのは、たとえ親自身が大学受験の経験者であっても、当時とは塾も受験も大きく様変わりしているということである。しっかりと情報を集め、比較し、知識で武装してから、候補の塾に話を聞きに行くことが不可欠であるただし、もしかするとあなたの前に出てくる塾スタッフや講師は、受験生の成績向上よりも授業料収入の向上に必死かもしれないないから、その視点を忘れずに彼らを冷静に観察し、話を聞くことをお勧めする。塾講師のうつ病の一因にも筆者には塾業界の知り合いが仕事柄多いが、中には、大手塾の新入社員がうつ病になって退職したケースも多い。その理由として多いのが、「営業ばかりさせられることに疲れた」というものである。塾講師を目指す人は、人に教えることが好きで、目の前の生徒に貢献したいという真摯な想いを持った純粋なタイプが多い。しかし実際に塾を運営する企業に入社すると、宣伝のビラ配りばかりやらされたり、いかに多くの授業を生徒にとらせるかという面談のロールプレイングをやらされたり、保護者への電話営業を強いられたりする。Photo by gettyimages 思い描いていた理想の職務内容とのギャップに苦しみ、何よりも目の前の生徒に貢献できない悔しさから、精神を病んでしまうようだ。塾も営利企業である以上、利益を追い求めるのは仕方のないことであるが、生徒の成績向上に真剣な塾講師と、自分の成績向上に一生懸命な受験生が出会えるケースが増えることを、筆者は切に願っている。
多くの家庭において、子どもの大学受験は、1度や2度しか経験しないものである。それゆえ、ある意味で全家庭が受験の素人であるという認識をしっかり持っておいてほしい。
さらに気をつけていただきたいのは、たとえ親自身が大学受験の経験者であっても、当時とは塾も受験も大きく様変わりしているということである。しっかりと情報を集め、比較し、知識で武装してから、候補の塾に話を聞きに行くことが不可欠である
ただし、もしかするとあなたの前に出てくる塾スタッフや講師は、受験生の成績向上よりも授業料収入の向上に必死かもしれないないから、その視点を忘れずに彼らを冷静に観察し、話を聞くことをお勧めする。
筆者には塾業界の知り合いが仕事柄多いが、中には、大手塾の新入社員がうつ病になって退職したケースも多い。その理由として多いのが、「営業ばかりさせられることに疲れた」というものである。
塾講師を目指す人は、人に教えることが好きで、目の前の生徒に貢献したいという真摯な想いを持った純粋なタイプが多い。しかし実際に塾を運営する企業に入社すると、宣伝のビラ配りばかりやらされたり、いかに多くの授業を生徒にとらせるかという面談のロールプレイングをやらされたり、保護者への電話営業を強いられたりする。
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思い描いていた理想の職務内容とのギャップに苦しみ、何よりも目の前の生徒に貢献できない悔しさから、精神を病んでしまうようだ。塾も営利企業である以上、利益を追い求めるのは仕方のないことであるが、生徒の成績向上に真剣な塾講師と、自分の成績向上に一生懸命な受験生が出会えるケースが増えることを、筆者は切に願っている。
思い描いていた理想の職務内容とのギャップに苦しみ、何よりも目の前の生徒に貢献できない悔しさから、精神を病んでしまうようだ。塾も営利企業である以上、利益を追い求めるのは仕方のないことであるが、生徒の成績向上に真剣な塾講師と、自分の成績向上に一生懸命な受験生が出会えるケースが増えることを、筆者は切に願っている。

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