ガーシー議員が「帰国して陳謝」の意向を示した“揺れる気持ち”を心理士が分析

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臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、2022年7月の参議院議員選挙もアラブ首長国連邦ドバイ在住のまま、当選から一度も登院しないため懲罰が科せられることになったガーシー議員(51才)について。
【写真】鈴木宗男・懲罰委員会委員長 * ** 当選後、国会に一度も出席していないガーシー参院議員に、懲罰委員会から「議場での陳謝」の処分が決定した「国会に行かないこと」を公約として掲げて当選したガーシー議員の成り行きに注目が集まっている。

当初は国会には出席しない、帰国もしないと話していたガーシー議員だが、ここにきて滞在先から帰国し、陳謝を受け入れる意向を示していると複数のメディアが報じた。このところYouTubeやインスタグラムで見せてきた顔と違い、オンラインによるFNNの単独インタビューではまじめな表情だった。 懲罰委員会では委員長を務める日本維新の会の鈴木宗男議員(75才)が、ガーシー議員のもと、「議場での陳謝」という懲罰案を全会一致で可決、続けて参議院本会議で可決された。 鈴木委員長といえば、20年ほど前、国後島にある「日本人とロシア人の友好の家」通称ムネオハウスと呼ばれたこの建物の不正入札を端に受託収賄などの罪で有罪判決を受けた人物だけに、ガーシー議員はこれを揶揄。「オレを辞めさせられるのはムネオハウスやなく、オレに票を入れてくれた有権者だけやと!」反発した。国会議員という地位は保全したいのだ。 このインタビューでは「帰国する意思はあります。30万人近くの票を入れてくれた人たちがいる。その人たちに対しての陳謝です」、そうガーシー議員は答えていた。フジテレビ系の『Live Newsイット!』では、票を入れてくれた人に対して「かっこ悪いことしてごめんなという気持ちです」と強調していた。ここまで様々突っぱねてきたガーシー議員にとっては、陳謝を受け入れ帰国するのはかっこ悪いことなのだろう。 国会には出席したくないが、出席しないと議員ではいられない。議員でいるためにはまず、帰国しないといけないが、帰国すると警察に拘束されるかもしれない。ガーシー議員の胸中は今、「認知的不協和」の状態だろう。認知的不協和とは、相互に関連する2つの認知の間に矛盾や不一致が生じることであり、人はこれによる不快感や緊張感を解消しようと認知を操作しようとする。ガーシー議員の認知は、有権者のために陳謝する。そのために帰国するということで、この不協和状態をなんとか解消しようとしていると思われる。 彼が国会を欠席してきた理由の1つは「このような腐った権力者がいる日本に帰ってくると、不当な罪を着せられる恐れがある」ということらしい。国会議員には不逮捕特権があるため、帰国したからといってすぐに逮捕されることはないといわれる。だが国会議員でなくなれば、この特権はなくなる。警視庁が脅迫や誹謗中傷したとされる行為で捜査しているといわれているだけに、これを心配する気持ちはわかる。 だがNHK党の立花孝志党首(55才)は、彼の国会議員としての主な仕事について「国会議員の不正、経済界の不祥事を暴いていくこと」であり、それによって辞任などの成果を出すというものだと説明していた。だとしたら、本当に不当な罪を着せられる恐れがあるのか、ここは身をもって証明し、いざとなればガーシー議員が主張する腐った権力をリアルにライブで暴くというはいかがだろうか。これだけ立花党首のいう彼の国会議員としての主な仕事に則している気がする。 一方、帰国の意思を見せた『Live Newsイット!』では、「自分の身の保全が一番大事なので。わざわざ拘束されるために帰るつもりはないし、誰が自分の身に危険が及ぶのに帰るんですか?という話なんです」と主張している。だが他人のスキャンダルをあれこれ暴露するよりも、暴露系YouTuberとして、彼自身の身に起きるこれからをリアリティ番組のように暴露してもらうというのはどうだろう。予測不可能で困難な状況がこれから現実に起ころうとしているなら、国会議員として彼がそれにどう直面し、どう対応していくのか。今、これができるのはガーシー議員しかいない。 ガーシー議員は本当に帰国するのか、その返答期限は27日だ。
* ** 当選後、国会に一度も出席していないガーシー参院議員に、懲罰委員会から「議場での陳謝」の処分が決定した「国会に行かないこと」を公約として掲げて当選したガーシー議員の成り行きに注目が集まっている。
当初は国会には出席しない、帰国もしないと話していたガーシー議員だが、ここにきて滞在先から帰国し、陳謝を受け入れる意向を示していると複数のメディアが報じた。このところYouTubeやインスタグラムで見せてきた顔と違い、オンラインによるFNNの単独インタビューではまじめな表情だった。
懲罰委員会では委員長を務める日本維新の会の鈴木宗男議員(75才)が、ガーシー議員のもと、「議場での陳謝」という懲罰案を全会一致で可決、続けて参議院本会議で可決された。
鈴木委員長といえば、20年ほど前、国後島にある「日本人とロシア人の友好の家」通称ムネオハウスと呼ばれたこの建物の不正入札を端に受託収賄などの罪で有罪判決を受けた人物だけに、ガーシー議員はこれを揶揄。「オレを辞めさせられるのはムネオハウスやなく、オレに票を入れてくれた有権者だけやと!」反発した。国会議員という地位は保全したいのだ。
このインタビューでは「帰国する意思はあります。30万人近くの票を入れてくれた人たちがいる。その人たちに対しての陳謝です」、そうガーシー議員は答えていた。フジテレビ系の『Live Newsイット!』では、票を入れてくれた人に対して「かっこ悪いことしてごめんなという気持ちです」と強調していた。ここまで様々突っぱねてきたガーシー議員にとっては、陳謝を受け入れ帰国するのはかっこ悪いことなのだろう。
国会には出席したくないが、出席しないと議員ではいられない。議員でいるためにはまず、帰国しないといけないが、帰国すると警察に拘束されるかもしれない。ガーシー議員の胸中は今、「認知的不協和」の状態だろう。認知的不協和とは、相互に関連する2つの認知の間に矛盾や不一致が生じることであり、人はこれによる不快感や緊張感を解消しようと認知を操作しようとする。ガーシー議員の認知は、有権者のために陳謝する。そのために帰国するということで、この不協和状態をなんとか解消しようとしていると思われる。
彼が国会を欠席してきた理由の1つは「このような腐った権力者がいる日本に帰ってくると、不当な罪を着せられる恐れがある」ということらしい。国会議員には不逮捕特権があるため、帰国したからといってすぐに逮捕されることはないといわれる。だが国会議員でなくなれば、この特権はなくなる。警視庁が脅迫や誹謗中傷したとされる行為で捜査しているといわれているだけに、これを心配する気持ちはわかる。
だがNHK党の立花孝志党首(55才)は、彼の国会議員としての主な仕事について「国会議員の不正、経済界の不祥事を暴いていくこと」であり、それによって辞任などの成果を出すというものだと説明していた。だとしたら、本当に不当な罪を着せられる恐れがあるのか、ここは身をもって証明し、いざとなればガーシー議員が主張する腐った権力をリアルにライブで暴くというはいかがだろうか。これだけ立花党首のいう彼の国会議員としての主な仕事に則している気がする。
一方、帰国の意思を見せた『Live Newsイット!』では、「自分の身の保全が一番大事なので。わざわざ拘束されるために帰るつもりはないし、誰が自分の身に危険が及ぶのに帰るんですか?という話なんです」と主張している。だが他人のスキャンダルをあれこれ暴露するよりも、暴露系YouTuberとして、彼自身の身に起きるこれからをリアリティ番組のように暴露してもらうというのはどうだろう。予測不可能で困難な状況がこれから現実に起ころうとしているなら、国会議員として彼がそれにどう直面し、どう対応していくのか。今、これができるのはガーシー議員しかいない。
ガーシー議員は本当に帰国するのか、その返答期限は27日だ。

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