2月23日は富士山の日。富士山といえば、言わずと知れた日本一の高さを誇る山です。2023年6月には富士山およびその周辺スポットが世界文化遺産に登録されてから10周年とあって、山梨県/静岡県でさまざまなイベントが予定されています。 そんな富士山の麓で最近話題になっているスポットは、なんとローソン! なぜか連日、コンビニ前に外国人の行列ができているのです。この謎に迫るべく、地元出身の筆者が現地で外国人にインタビュー。富士河口湖町観光連盟やローソンに、このスポットにまつわるうわさを取材してきました。 【画像:タイの人気イケメン俳優も! ローソン前に並ぶ外国人たち】外国人観光客がこぞって写真を撮る新スポット 山梨県富士河口湖町は、都心から日帰りできる距離にあり、春は桜、夏は夕日に赤く染まる装い、秋は紅葉、冬は雪化粧……と季節ごとに雄大な富士山が変化を見せてくれる町。そんな富士山を見ようと世界中から多くの観光客が集まります。 富士山ビュースポットの多いこのエリアに新星のように現れた新撮影スポットは「ローソン河口湖駅前店」。え……コンビニ!? と思いますよね。 そう、話題の富士山絶景スポットはコンビニ前なのです。
富士急行河口湖線「河口湖駅」から徒歩5分以内の場所にあるローソン河口湖駅前店は、冬の晴れた日に雪化粧した富士山をどーんと背負うロケーション。 その絶景をバックに写真を撮れるとあって、朝から夕方までひっきりなしに外国人観光客がローソンと富士山を背景に写真を撮っています。 実は地元民には見慣れた光景すぎて、なぜここがこんなに人気スポットなのか当初よく分からなかったのですが、SNSで「富士山がまるで美しい屋根のよう!」という投稿があり「なるほど」と納得しました。 しかし、新型コロナウイルス前の観光客が多かったときも特にこんな現象は起きていなかったはずです。どうして今、人気スポットとなっているのでしょうか? さらに、この「駅前のローソン」でSNS投稿をしている大半は、アジア圏の外国人。一体、なぜ……? どのようにこのスポットを知ったのか? 好奇心を抑えきれず現場へ行ってみました。 直撃インタビュー! 「YOUはなぜここで撮影を?」現場に到着すると、写真撮影をしているのはやはりアジア圏の人ばかり。イタリア語を話しながら歩いて行く女性2人組は興味を示さず素通りして行きました。 撮影をする人々は、ひっきりなしに現れます。富士山は雲の間から姿を見せたり隠れたりと早いときには秒単位で姿を変えるため、撮影が終わるのを待ってから声をかけます。 ▼・着物姿の中国人女性「Hi!」 淡いピンクの着物に白の袴という現場で1番目立っていた女性に声を掛けると、中国から来たと教えてくれました。このフォトスポットを知ったきっかけは、「Weibo(中国版Twitterのようなもの)」だとか。
「急いでいるので~」と言いつつも、写真撮影に応じてくれました。 ▼・台湾から来た女性3人組も
台湾から来たという女性3人組も皆で仲良く「ローソン×富士山」を撮影。「何でこのスポットを知ったのですか?」の質問には、元気に「Instagram!」と答えてくれました。
▼・Instagramの富士山関連ハッシュタグでも人気さらに「2月23日は2(ふ)2(じ)3(さん)の日、メモリアルデイ」と伝えると、「Oh~」と盛り上がって「#fujisan」のスポット検索でこの場所を知ったと教えてくれました。
その後も何組かに話を聞くことができ、結果、写真撮影をしていたのは全てアジアからの観光客で、タイ、台湾、中国からの観光客でした。 ▼・中国のSNS「小紅書(RED)」でもこちらの女性2人は中国から。「小紅書(RED)」(※中国版Instagramのようなもの)に載っていたのを見て来たと教えてくれました。
Instagramの投稿でも「ソース:小紅書」という投稿が見受けられ、さまざまなSNSでこの場所が紹介されて広がっていることが分かります。
SNSによる拡散で「ローソン河口湖駅前店」が「みんなが撮っている“あの場所”」になり、「そこで自分も写真を撮りたい」と思わせるのですね。 アジア圏の観光客の認知度高くも、世界にはまだ気づかれていない“バズの夜明け前”!タイから来たという2人は、Facebookの「旅行好きコミュニティ」の投稿で「富士吉田市のほんちょう2丁目商店街」とともに河口湖駅前のローソンを知ったとか。「ローソン+富士山は、YouTubeでも見た!」と教えてくれました。
山梨県側の富士山周辺ではここ数年、SNS発で外国人に人気となった2大スポットがあります。1つは、タイからの観光客のSNS発信がきっかけで人気に火がついた「新倉山浅間公園・忠霊塔」。桜と紅葉、そして富士山と五重塔が一気に見られる“ニッポンのベストビュースポット”として訪日外国人旅行客向けのガイドブック『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』改訂第4版の表紙に採用され、今では世界中から観光客が訪れる富士山ビュースポットとなっています。
▼・昭和レトロな街並みと富士山のコラボもう1つは、「富士吉田市のほんちょう2丁目商店街」。昭和レトロな街並みと広大な富士山が一緒に撮れるスポットとして、こちらもSNS発で話題になりました。▼・タイでの人気はどのくらい?今回の外国人が集まる新スポットは「親日家の多いタイでの認知度はどの位なのだろう?」とタイ在住のタイ人の友人にも聞いてみたところ、「富士山のローソンのことを知っています」「Instagramを見て知ります」とのことでした。 タイの人気俳優プラチャヤー・レァーンロード(@__singto)さんも2023年1月にこのスポットを訪れた写真を投稿していて「ローソン河口湖駅前店」はタイでは既に皆が知る人気撮影スポットだそうです。とはいえ、タイや台湾に比べ、まだアジア圏以外からの投稿は圧倒的に少なく感じます。 しかも今のところ決まったハッシュタグはなく、スポットの登録も本家本元の「ローソン河口湖駅前店」では案外少なく、先出の「fujisan」「Lake Kawaguchi」「Lake Kawaguchiko,MtFuji」など多岐にわたっていて、実際撮影に訪れる人に比べるとまだSNS上で数として表面化していなさそうな雰囲気。これは、伸びしろが大きそう! 今後、アジア発“ニッポンビュースポット”として「ローソン河口湖駅前店」が第2の「新倉山浅間公園・忠霊塔」となる日も近いかもしれません。 いつからこのスポットが話題なのか?では、いつから「ローソン河口湖駅前店」がこのように話題になったのでしょうか? 始まりを調べるべくSNSで「#lawson」「#fuji」などを検索してみると、どうやら「ローソン×富士山」は2014年頃に初めて投稿されたようです。その後もチラホラと投稿され、それが2020年頃から「海外に向けて日本を紹介するFacebookページ」に複数取り上げられたことが分かりました。 ただ、コロナ禍ということもありその時点では現場は静かなものでした。実際にSNS上での投稿が増えはじめたのは、コロナ禍のため制限していた訪日外国人観光客の受け入れが大幅に緩和された2022年10月頃。そこからじわじわとSNS上での投稿が増え、中華圏における旧暦「春節(2023年1月22日頃~)」に入ると一気に冒頭に記したように町民が「これは一体……!?」と気付くほどの富士山ビュースポットになったのです。実際に「ローソン河口湖駅前店」に聞いたところ、「2023年に入ってから撮影する人が増えた」とのこと。 またこのスポットが人気の理由としてインターネット上では「自国にローソンがないから珍しいらしい」ともうわさされていますが、実際のところはどうなのでしょう? 撮りたい理由は「ローソン×富士山」に感じるNIPPONとノスタルジーローソンに取材したところ、海外展開している店舗数(2023年1月現在)は表のとおりでした。ここから今回インタビューした観光客の母国を抜き出すと、中国(5599店舗)、タイ(181店舗)。台湾は0店舗でしたが、台湾から来た3人も「ローソンは知っている」と言っていました。ではなぜ? と聞くと皆さん答えは同じ 「fujisan!」 つまり、「ローソン(日本独特のコンビニ文化)×富士山」というロケーションに“NIPPON”を感じるからここで撮影したいということのよう。 さらに昨今、ネオンサインの看板が「ノスタルジックでかわいい」「SNS映えする」と再流行の兆しを見せていることも無関係ではなさそう。SNS上では、朝焼けや夕暮れのほの暗い時間帯にローソンの看板が光る写真の投稿も多く見られます。また、駅前という立地の良さも一役買っているのではないでしょうか、ここは駅前通りの中でも車の交通量が多い場所で、ローソンを背景に撮影をするために信号や横断歩道を使わずに道を渡る人も増えている印象。 富士河口湖町観光連盟の小山田さんに話を聞いたところ、「町内のスポットが全世界に広がることはとてもうれしく思いますが、近隣住民の気持ちを想像すると複雑なことも。すぐ近くに横断歩道や信号機付きの交差点もありますし、ルールを守っての撮影をお願いしたいと思い、Instagramの投稿文の中にも注意喚起の注釈を入れました」とのこと。 フォトスポットとなっているローソン河口湖駅前店にも正直な気持ちを伺ったところ、「ご来店いただけることは大変うれしく思います。車にご注意いただき、マナーを守りながら撮影いただければ幸いです」とのことでした。 撮影は、ルールを守ってご安全に! 番外編|富士河口湖町民が教える「コンビニ×富士山」の撮影スポット今回紹介した新スポットに興味を持った人に向けて、地元住民が教える「コンビニ×富士山」をご紹介します。こちらは、「ローソン河口湖駅前店」から徒歩約15分の場所にある「ローソン河口湖町役場前店」。車通りは多いですが、駐車場の奥行が広く歩道もあるのでより安全に写真撮影ができます。たまに撮影をしている外国人観光客を見かけますが、まだまだ知られていないようです。 さらにもう1つ。富士山周辺には「茶色いコンビニ」があるのをご存じですか? これは、富士五湖エリアの一部が「富士箱根伊豆国立公園」に指定され、人工物が自然の風景に影響を与えないように規制されている関係で、自治体の条件に当てはまるコンビニは原則この色に統一となっているからです。SNS上では、この「茶色いコンビニ」も「珍しい」と話題になっています。 その「茶色いコンビニ×富士山」が撮れるスポットが「セブンイレブン河口湖東恋路店」。このように、富士五湖周辺はどこにいても雄大な富士をバックに撮影できる環境があります。つまり、富士山側(南)に背を向けた建物全てが今回話題になっている「ローソン河口湖駅前店」と同じような写真撮影が可能ということ。探せばまだまだ新たなフォトスポットが生まれそう!また、ちょっとしたコツですが、朝の早い時間帯(6時台)だと雲が少なく富士山が裾野まできれいな姿を見せてくれることが多いですよ。 多くの人がSNSを見て観光に行く先を決める時代。新たなフォトスポットを見つけるのは、あなたかもしれません。ぜひ、富士河口湖町に「富士山と映えスポット」を探しに来てくださいね。新橋 まい プロフィール出版社勤務を経て、地元・山梨県富士五湖地域に戻りライター/グラフィックデザイナーとして活動。山梨県子育て応援誌『ChibikkoPress』にて子どもと楽しめる富士五湖情報「fujigoko手帖」を連載。2021年公益社団法人富士五湖青年会議所主催「まちづくりアイデア」にてグランプリ受賞。山梨県助産師会「山梨県助産院マップ」、富士河口湖町「ライフステージ別子育て虎の巻パンフレット」などを制作。地域で6園を展開する株式会社ウブントゥ系列園にてVIを担当。富士五湖と子どもにかかわる発信をしている。(文:新橋 まい)
▼・昭和レトロな街並みと富士山のコラボもう1つは、「富士吉田市のほんちょう2丁目商店街」。昭和レトロな街並みと広大な富士山が一緒に撮れるスポットとして、こちらもSNS発で話題になりました。
▼・タイでの人気はどのくらい?今回の外国人が集まる新スポットは「親日家の多いタイでの認知度はどの位なのだろう?」とタイ在住のタイ人の友人にも聞いてみたところ、「富士山のローソンのことを知っています」「Instagramを見て知ります」とのことでした。 タイの人気俳優プラチャヤー・レァーンロード(@__singto)さんも2023年1月にこのスポットを訪れた写真を投稿していて「ローソン河口湖駅前店」はタイでは既に皆が知る人気撮影スポットだそうです。とはいえ、タイや台湾に比べ、まだアジア圏以外からの投稿は圧倒的に少なく感じます。 しかも今のところ決まったハッシュタグはなく、スポットの登録も本家本元の「ローソン河口湖駅前店」では案外少なく、先出の「fujisan」「Lake Kawaguchi」「Lake Kawaguchiko,MtFuji」など多岐にわたっていて、実際撮影に訪れる人に比べるとまだSNS上で数として表面化していなさそうな雰囲気。これは、伸びしろが大きそう! 今後、アジア発“ニッポンビュースポット”として「ローソン河口湖駅前店」が第2の「新倉山浅間公園・忠霊塔」となる日も近いかもしれません。 いつからこのスポットが話題なのか?では、いつから「ローソン河口湖駅前店」がこのように話題になったのでしょうか? 始まりを調べるべくSNSで「#lawson」「#fuji」などを検索してみると、どうやら「ローソン×富士山」は2014年頃に初めて投稿されたようです。その後もチラホラと投稿され、それが2020年頃から「海外に向けて日本を紹介するFacebookページ」に複数取り上げられたことが分かりました。 ただ、コロナ禍ということもありその時点では現場は静かなものでした。実際にSNS上での投稿が増えはじめたのは、コロナ禍のため制限していた訪日外国人観光客の受け入れが大幅に緩和された2022年10月頃。そこからじわじわとSNS上での投稿が増え、中華圏における旧暦「春節(2023年1月22日頃~)」に入ると一気に冒頭に記したように町民が「これは一体……!?」と気付くほどの富士山ビュースポットになったのです。実際に「ローソン河口湖駅前店」に聞いたところ、「2023年に入ってから撮影する人が増えた」とのこと。 またこのスポットが人気の理由としてインターネット上では「自国にローソンがないから珍しいらしい」ともうわさされていますが、実際のところはどうなのでしょう? 撮りたい理由は「ローソン×富士山」に感じるNIPPONとノスタルジーローソンに取材したところ、海外展開している店舗数(2023年1月現在)は表のとおりでした。
ここから今回インタビューした観光客の母国を抜き出すと、中国(5599店舗)、タイ(181店舗)。台湾は0店舗でしたが、台湾から来た3人も「ローソンは知っている」と言っていました。ではなぜ? と聞くと皆さん答えは同じ 「fujisan!」 つまり、「ローソン(日本独特のコンビニ文化)×富士山」というロケーションに“NIPPON”を感じるからここで撮影したいということのよう。 さらに昨今、ネオンサインの看板が「ノスタルジックでかわいい」「SNS映えする」と再流行の兆しを見せていることも無関係ではなさそう。SNS上では、朝焼けや夕暮れのほの暗い時間帯にローソンの看板が光る写真の投稿も多く見られます。また、駅前という立地の良さも一役買っているのではないでしょうか、ここは駅前通りの中でも車の交通量が多い場所で、ローソンを背景に撮影をするために信号や横断歩道を使わずに道を渡る人も増えている印象。 富士河口湖町観光連盟の小山田さんに話を聞いたところ、「町内のスポットが全世界に広がることはとてもうれしく思いますが、近隣住民の気持ちを想像すると複雑なことも。すぐ近くに横断歩道や信号機付きの交差点もありますし、ルールを守っての撮影をお願いしたいと思い、Instagramの投稿文の中にも注意喚起の注釈を入れました」とのこと。 フォトスポットとなっているローソン河口湖駅前店にも正直な気持ちを伺ったところ、「ご来店いただけることは大変うれしく思います。車にご注意いただき、マナーを守りながら撮影いただければ幸いです」とのことでした。 撮影は、ルールを守ってご安全に! 番外編|富士河口湖町民が教える「コンビニ×富士山」の撮影スポット今回紹介した新スポットに興味を持った人に向けて、地元住民が教える「コンビニ×富士山」をご紹介します。
こちらは、「ローソン河口湖駅前店」から徒歩約15分の場所にある「ローソン河口湖町役場前店」。車通りは多いですが、駐車場の奥行が広く歩道もあるのでより安全に写真撮影ができます。たまに撮影をしている外国人観光客を見かけますが、まだまだ知られていないようです。 さらにもう1つ。富士山周辺には「茶色いコンビニ」があるのをご存じですか? これは、富士五湖エリアの一部が「富士箱根伊豆国立公園」に指定され、人工物が自然の風景に影響を与えないように規制されている関係で、自治体の条件に当てはまるコンビニは原則この色に統一となっているからです。SNS上では、この「茶色いコンビニ」も「珍しい」と話題になっています。 その「茶色いコンビニ×富士山」が撮れるスポットが「セブンイレブン河口湖東恋路店」。
このように、富士五湖周辺はどこにいても雄大な富士をバックに撮影できる環境があります。つまり、富士山側(南)に背を向けた建物全てが今回話題になっている「ローソン河口湖駅前店」と同じような写真撮影が可能ということ。探せばまだまだ新たなフォトスポットが生まれそう!
また、ちょっとしたコツですが、朝の早い時間帯(6時台)だと雲が少なく富士山が裾野まできれいな姿を見せてくれることが多いですよ。 多くの人がSNSを見て観光に行く先を決める時代。新たなフォトスポットを見つけるのは、あなたかもしれません。ぜひ、富士河口湖町に「富士山と映えスポット」を探しに来てくださいね。