東京・中野区にある新井薬師前2号踏切。西武新宿線と中野通りが交わるここは、春にはソメイヨシノが咲き誇る桜の名所として有名。
しかし、この踏切は、西武新宿線の都内に51カ所ある開かずの踏切の1つ。
女性「朝は本当に車で通る時、15分くらい待ったりする時がある」
通勤や通学で通る人たちからは、家を早めに出るという声が多く聞かれた。
実際の様子を見てみると、午前8時2分、警報音が鳴り踏切が閉まった。
車道の中央部分まで子どもたちがあふれ出てしまっていた。
警報音が鳴り始めてから4分20秒後、踏切はようやく開いた。
踏切を渡る人々は肩がぶつかるほど密集し、そのすぐ横を車が通過。
中には、踏切前で一時停止という交通ルールを守らない車も多く見られた。
すると、わずか30秒で再び警報音が鳴り、踏切は閉まってしまった。
今回取材した1時間のうち、閉まっていた時間は40分以上。
さらに、開かずの踏切でできた渋滞は、ほかの公共交通機関にも影響を及ぼしていて、路線バスは4台止まっていた。
タクシー運転手「お客さんを乗せている時にメーターが上がっちゃうから、舌打ちするお客さんもいますので、気持ち的にはなえます」
緊急車両も例外ではない。
サイレンを鳴らした救急車が向かってきたが、全く動くことができず、踏切を渡るまでにかかった時間はおよそ3分。急な病気やけがの治療を待つ人にとっては、大きな時間のロス。
開かずの踏切になってしまう原因は何なのだろうか。
西武鉄道は「全ての電車は、一定の場所を通ると警報音が鳴り始める仕組みになっています」と説明している。
そこで、西武鉄道と新宿区は、開かずの踏切を解消するための対策を発表。
西武鉄道は、電車の速度などに合わせて警報音が鳴り始めるタイミングを変えることができる、次世代信号システムの導入。
また、線路の地下化工事を進めることなどにより、交通渋滞の緩和を目指すとしている。