コロナ病床を1年以内に廃止、外来は1・5倍に…5類引き下げ政府移行案

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新型コロナウイルスの感染症法上の分類引き下げに伴い、医療提供体制を段階的に正常化する政府の移行案が21日、分かった。
入院患者を受け入れるコロナ病床は引き下げ後も当面継続し、1年以内の廃止を目指す。廃止後は国内全病院での受け入れを図る。外来診療に当たる医療機関は現在の約1・5倍となる約6万4000か所まで増やしたい考えだ。
政府は5月8日、新型コロナの感染症法上の分類を現在の2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げる。5類は本来、現在のような特別な医療提供体制や医療費の公費負担は不要だ。だが、政府は混乱を避けるために1年程度の移行期間を設け、季節性インフルの医療と同様の体制に徐々に移行する方針だ。
移行後もコロナ患者に確実に医療を提供できるかどうかが課題となっている。このため、政府は移行期間中、新たに入院・外来の受け入れを決める医療機関には感染防止対策を支援し、参入を促す。
昨年夏の新型コロナ第7波では、入院受け入れのため、全国1982の重点医療機関で計約5万1000床を確保した。政府はこれらの医療機関に補助金「病床確保料(空床補償)」を支払い、診療報酬の特例的な優遇もしている。
移行案では、5類引き下げ後も当面は補助金と診療報酬の特例を継続する。段階的な減額で病床の急減を避けつつ、他の医療機関にも受け入れを促す。5月以降にまず「幅広い病院」で計約4万6000床の体制とし、移行期間の終了後はコロナ病床という位置づけをなくし、国内の全病院(8205病院)で対応できるようにする。
一方、外来診療には現在、約4万2000か所の発熱外来が対応している。5月8日以降、政府は順次、受診できる医療機関の拡大を図る。診療報酬の特例は段階的に廃止する。厚生労働省によると、コロナ禍前に季節性インフルを診療していた内科や小児科などは約6万4000か所で、コロナにも同程度の医療機関が対応する体制を目指す。
第7波で1日当たりの患者数は最大約25万人だった。同省は5類引き下げ以降も最大で1日45万人の患者を想定している。
政府は医療提供体制に加え、医療費の公費負担と高齢者施設への支援についても同様に段階的な縮小・移行案を検討しており、3月上旬をめどに合わせて決定、公表する。

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