岐阜県中津川市は、市立下野、福岡、高山の3小学校が統合して開校する新しい福岡小学校の校舎新築工事が遅れ、4月7日の開校に間に合わなくなったと発表した。
資材不足や人手不足が原因で、完成時期は未定。当面は現在の福岡小を仮校舎として使うといい、青山節児市長は記者会見で「子どもたちがなるべく早く新校舎で学べるようにしていきたい」と述べた。
市によると、新しい福岡小は木造(一部鉄骨造り)2階建て。2021年秋に着工し、今月末の完成を予定していた。総事業費は約30億円で、教室のほか、屋内運動場や共同調理場などを整備している。
市によると、工事を請け負った共同企業体(JV)から今月7日付で遅延についての通知があった。ロシアのウクライナ侵略とコロナ禍による資材調達の遅れや価格の高騰、現場での慢性的な人手不足などを理由として挙げていた。
工事は昨年秋頃から遅れが目立ち、市は週1回の工程会議などで遅延を指摘してきたが、JV側は「対応可能」としていたという。
先月末時点の工事の進捗(しんちょく)率は約90%で、電気や機械設備関係は7割ほどにとどまっている。
新年度から近隣の4小中学校も利用する予定だった新しい共同調理場も使えないため、当面は従来の調理場を継続して使う。バス通学については、市教委が新たなバス停から仮校舎へのルートを検討。このほか、児童の心身への影響を考慮し、4月以降はスクールカウンセラーの配置を増やすことにしている。
今月17、18日には、春から新しい福岡小で学ぶ予定だった児童(計289人)の保護者向け説明会が市立福岡中で開かれた。JVの代表者は「見通しが甘かった。ご迷惑をかけ、申し訳ありません」と陳謝。安全でいい校舎を完成させると強調し、理解を求めた。
市教委によると、説明会では保護者から、年間のスケジュールや児童の心のケアなどに関する質問が出されたという。市教委は「仮校舎が子どもたちにとって安心して学べる場所や環境となるよう、最優先に整えたい」としている。