渋谷通り魔事件 15歳少女は「夏期講習に行く」と言って家を出た 背景に浮かぶ保健室登校と母親への憎悪

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夏休みの終わりに子供が絡んだ恐ろしい事件が起きてしまった。8月20日夜、東京都渋谷区の路上で15歳の女子生徒が面識もない親子に刃物で襲いかかった事件。殺人未遂の容疑で逮捕された少女の供述は矛盾だらけで、動機を調べる警察は頭を抱えているという。
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【写真】少女が母子を襲った現場。繁華街に近いが人通りが少ない路地だった母と弟を殺す練習のために刺した「110番して!」 20日午後7時20分ころ、京王井の頭線神泉駅近くの路上で女性の叫び声が響き渡った。叫び声をあげたのは50代の母親。母親は突如、背後から刃物で襲いかかってきた少女に肩や腹を刺されながらも格闘して制圧。命からがら助けを呼んだのだ。傍には、最初に襲われた母親の娘(19)も背中を刺されて倒れていた。すぐさま近隣の飲食店従業員らが駆けつけ、少女は取り押さえられた。

現場は京王井の頭線神泉駅のすぐそば 殺人未遂の現行犯で警視庁に逮捕されたのは、埼玉県戸田市在住の中学3年生の少女である。少女は事件に使った8.5センチの包丁を含めて3本の刃物を所持していた。逮捕後の取り調べで、「死刑になりたくて、たまたま見つけた親子を刺した」「自分の母親と弟を殺そうと考えていた。練習のために2人を刺した」と語ったが、この供述は彼女が取った行動と照らし合わせると矛盾だらけなのである。 練習のためだったならば、すぐさま母と弟がいる家に戻るべきだろう。だが、少女は逃げようともせず捕まっている。それだけではない。彼女は自宅に戻りたくても戻る術がなかった。所持金は数十円「少女は『塾の夏期講習に行く』といって戸田市の自宅を出ているのですが、出かける時に財布に入っていたお金は500円程度。そのわずかなお金も行きの電車賃で使い果たしていて数十円程度しか所持していなかった。Suicaなどの電子マネーもなし。だから、仮に“練習”が成功したとしても、電車にすら乗れない状況だったのです」(捜査関係者) 塾には通っていたが、市立中学では不登校が続いていたという。「不登校は1年生の3学期くらいから始まっていたようです。週に1、2回、登校はするものの、保健室などで勉強する生活だった。同級生や先生と目立ったトラブルがあったわけでなく、なんとなく学校生活が馴染めなくなってしまったとのことです」(同) 母親に対して強い恨みを持っていたというが、母親は警察の事情聴取に対して事件前に喧嘩などはなかったと話している。お母さんの嫌なところが似てきた「少女は『お母さんは機嫌が悪くなると態度に出る』『お母さんの嫌なところに自分が似てきたのが嫌だったので殺そうと思った』と母親に対する気持ちを語っています。中学2年生の弟については、『お母さんの遺体を弟に見せるのは嫌だったので一緒に殺そうと思った』と。そもそも、死刑になりたいという目的と母親を殺したいという目的のどちらを達成したかったのかもよくわからない」(同) 幸いにも二人の被害者に命の別状はないというが、19歳の女性が負った刺し傷は10センチにも及んでおり、今後の生活にも大きな影響を及ぼすとみられる。少女が抱えていた心の闇は、今後の捜査で解明されるのだろうか。デイリー新潮編集部
「110番して!」
20日午後7時20分ころ、京王井の頭線神泉駅近くの路上で女性の叫び声が響き渡った。叫び声をあげたのは50代の母親。母親は突如、背後から刃物で襲いかかってきた少女に肩や腹を刺されながらも格闘して制圧。命からがら助けを呼んだのだ。傍には、最初に襲われた母親の娘(19)も背中を刺されて倒れていた。すぐさま近隣の飲食店従業員らが駆けつけ、少女は取り押さえられた。
殺人未遂の現行犯で警視庁に逮捕されたのは、埼玉県戸田市在住の中学3年生の少女である。少女は事件に使った8.5センチの包丁を含めて3本の刃物を所持していた。逮捕後の取り調べで、「死刑になりたくて、たまたま見つけた親子を刺した」「自分の母親と弟を殺そうと考えていた。練習のために2人を刺した」と語ったが、この供述は彼女が取った行動と照らし合わせると矛盾だらけなのである。
練習のためだったならば、すぐさま母と弟がいる家に戻るべきだろう。だが、少女は逃げようともせず捕まっている。それだけではない。彼女は自宅に戻りたくても戻る術がなかった。
「少女は『塾の夏期講習に行く』といって戸田市の自宅を出ているのですが、出かける時に財布に入っていたお金は500円程度。そのわずかなお金も行きの電車賃で使い果たしていて数十円程度しか所持していなかった。Suicaなどの電子マネーもなし。だから、仮に“練習”が成功したとしても、電車にすら乗れない状況だったのです」(捜査関係者)
塾には通っていたが、市立中学では不登校が続いていたという。
「不登校は1年生の3学期くらいから始まっていたようです。週に1、2回、登校はするものの、保健室などで勉強する生活だった。同級生や先生と目立ったトラブルがあったわけでなく、なんとなく学校生活が馴染めなくなってしまったとのことです」(同)
母親に対して強い恨みを持っていたというが、母親は警察の事情聴取に対して事件前に喧嘩などはなかったと話している。
「少女は『お母さんは機嫌が悪くなると態度に出る』『お母さんの嫌なところに自分が似てきたのが嫌だったので殺そうと思った』と母親に対する気持ちを語っています。中学2年生の弟については、『お母さんの遺体を弟に見せるのは嫌だったので一緒に殺そうと思った』と。そもそも、死刑になりたいという目的と母親を殺したいという目的のどちらを達成したかったのかもよくわからない」(同)
幸いにも二人の被害者に命の別状はないというが、19歳の女性が負った刺し傷は10センチにも及んでおり、今後の生活にも大きな影響を及ぼすとみられる。少女が抱えていた心の闇は、今後の捜査で解明されるのだろうか。
デイリー新潮編集部

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