ダム管理の日常を発信する「北上川ダム統合管理事務所」のツイッターが一部愛好家の間で話題となっている。
巨大な重機を使った流木の撤去作業や、大雪の中での点検作業などを毎日のように公開。日常生活とかけ離れた規格外の大きさや、過酷な作業を実感できるとして、じわじわとフォロワー数を伸ばしている。
(坂本俊太郎)
「地道な作業で着実に処理を進めています」。昨年8月24日、メッセージとともに、四十四田ダム(盛岡市下厨川)の大雨で積み上がった流木撤去作業の動画がツイッターに投稿された。
大木をつり上げる重機や、手作業でがれきを運ぶ作業員の姿に、「疑問だったけど、こういう作業をしているのね。大変だな~」などとコメントが付いていく。リツイートと「いいね」は、普段の投稿の10倍近い300以上に上った。
同事務所は2019年8月からツイッターを始め、大雨時のダム放流などの防災情報はもちろん、ダム周辺でのイベント情報や四季折々の風景などの観光スポットも紹介。同事務所が管理する五つのダムから情報を集めて発信している。
転機となったのは21年7月に就任した畑山作栄事務所長が提案した「仕事の可視化」だ。「1日1ツイート」を目標に、画像や動画を添えて発信を続けた結果、600人ほどだったフォロワーは、昨年4月に1000人に到達。今年2月8日時点で1450人を超えた。
芸能人やスポーツ選手のツイートには遠く及ばないが、運営を担当する調査課の佐藤雄太調査係長は「数字は目に見えて伸びている」と手応えを感じる。
現場では当たり前のダムの事情が、一般の人に新鮮に受け止めてもらえるケースも多い。
四十四田ダムの積雪観測所が雪庇(せっぴ)で利用できなくなった昨年12月には、作業員が雪をかき分けて点検に向かう様子を動画で投稿。作業員にとっては冬のよくある仕事だが、「ダム職員さんの大変さがめちゃくちゃ伝わる」「四十四田の上流って豪雪地帯じゃないか……」と250近いリツイートや「いいね」があった。佐藤調査係長は「反応は勉強になるし、反響が大きいとうれしい」と話す。
同事務所は今年度から、堆積(たいせき)した大量の土砂の除去作業や水中ドローンによる点検作業も報道公開しており、畑山事務所長は「少しでもダムに関心を持ち、災害時に命を守る行動につながってくれたらうれしい」と願っている。