“菅前総理の応援拒否”騒動の「北九州市長選」で自民候補まさかの大苦戦 「麻生太郎」の思惑通りに?

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いよいよ2月5日(日)に投開票が迫る福岡県北九州市長選挙。4月に行われる統一地方選の前哨戦となる政令指定都市の首長選とあって、告示前から全国的にも注目されてきたこの選挙もいよいよ大詰めだが、ここにきて“地殻変動”が起きているという。告示直後から“自民・公明両党推薦する津森洋介候補(47)が圧倒的優勢”というのが大方の予想だったのが、稀に見る大接戦の様相を呈してきたのだ――。一体何が起こっているのか。
【写真】被るのはボルサリーノだけじゃない?帽子好き「麻生太郎」の珍しいキャップ姿ダブルスコアで当選のはずが… 政治部デスクが言う。「告示直後は、津森氏が圧勝というデータが出ていたのです。うまくいけば2位にダブルスコアくらい付けられるのではないか、なんていう話もあった。それが、もう3ポイント差くらいにまで迫られている」菅総理 大本命と目されていた津森候補を、猛然と追いかけるのは、無所属の元厚労省官僚・武内和久氏だ。「最新の地元紙の調査によれば、武内氏が無党派層の3割の支持を得ている一方、津森氏は推薦を受けている公明党支持者の6割、そして、自民党に至っては、5割までしか固められていないのです。もちろん、現状では津森氏が優勢ですが、浮動票が武内氏に流れれば、逆転も狙える状態。津森陣営には悲壮感が漂っています」 自公推薦候補が、まさかの苦戦――。とはいえ、こうなる“予兆”はあったという。「津森候補を巡っては、これまでも自民党の重鎮を巻き込んだ“騒動”が起こってきました。まずは昨年12月。党本部が正式に津森氏に推薦を出す際に、副総裁の麻生太郎氏が、頑なにサインを拒絶したのです。党本部は苦肉の策として、“選対本部長に一任する”という麻生氏の言葉を容認と解釈し、推薦に漕ぎつけることができました」菅前総理をお断り また、告示直前には、「菅前総理が応援に入る予定が組まれていたのですが、直前になって中止になりました。理由は、菅氏に声をかけたのが、武田良太元総務大臣だったから。というのも武田氏は、今回の選挙を仕切る自民党福岡県連とは犬猿の仲で、菅氏の応援演説の際に、武田氏も一緒に演説をすると主張し、県連がこれを拒否。菅氏の応援自体が取りやめになったのです」 それでも大方の予想は、津森氏の圧勝だった。「というのも、これまで北九州市長を4期に亘って務めあげた北橋健治氏が、津森氏を全面応援しているから。北橋氏がこれまでの選挙で集めてきた票が津森氏に回れば、苦労なく当選できるだろうというのが、陣営の読みでした」 ところが、蓋を開けてみれば、当選が危ぶまれるほどの大苦戦。投票箱を開けてみるまで分からない、スリリングな展開となっている。 なぜこうなったのか。自民党関係者が言う。「ヒントは、麻生太郎氏にあります。そもそもなぜ麻生氏が津森氏の推薦書にサインをしなかったのかといえば、対立候補の武内氏が、保守分裂となった2019年の福岡県知事選挙に出馬した際、麻生氏が武内氏を応援していたから。なので今回は、“津森氏も武内氏も、どちらも応援しない”、中立の立場という姿勢を貫きたかった、というのが大きな理由のひとつです」因縁の戦い さらに、もう一つ大きな理由があるという。「話は北橋健治氏が初当選を果たした、2007年2月の北九州市長選に遡ります。自民党は当時、別の候補を立てていたのですが、落選。その時の選対本部長を務めていたのが、他ならぬ麻生氏だったのです。以来麻生氏は、北橋氏に対して忸怩たる思いを抱いており、その北橋氏が全面的にバックアップするという津森氏を、どうしても応援したくなかったというのが大きいのです」 もちろん、今回の選挙では、麻生氏は表立っては全く動いていない。しかし、「自民党の北九州市議や県議のなかで、麻生氏に近い人たちは、そうした麻生氏の思いを汲み、表向きは津森氏を応援しつつも、裏では武内氏側につき、自身の後援者らを紹介するなど、積極的にサポートしているのです。この動きがどこまで広がっているのか、津森陣営は把握できていません。また、とにかく勝ち馬に乗っかることが最重要課題の公明党の後援者たちも、津森氏に推薦こそ出しているものの、情勢を見極めて動きを変えてくる可能性はある。津森陣営内部にも、疑心暗鬼の輪が広がっていますよ」 麻生氏にとっては、二つの意味で因縁の戦いだったというわけだ。激戦の結果や、いかに。デイリー新潮編集部
政治部デスクが言う。
「告示直後は、津森氏が圧勝というデータが出ていたのです。うまくいけば2位にダブルスコアくらい付けられるのではないか、なんていう話もあった。それが、もう3ポイント差くらいにまで迫られている」
大本命と目されていた津森候補を、猛然と追いかけるのは、無所属の元厚労省官僚・武内和久氏だ。
「最新の地元紙の調査によれば、武内氏が無党派層の3割の支持を得ている一方、津森氏は推薦を受けている公明党支持者の6割、そして、自民党に至っては、5割までしか固められていないのです。もちろん、現状では津森氏が優勢ですが、浮動票が武内氏に流れれば、逆転も狙える状態。津森陣営には悲壮感が漂っています」
自公推薦候補が、まさかの苦戦――。とはいえ、こうなる“予兆”はあったという。
「津森候補を巡っては、これまでも自民党の重鎮を巻き込んだ“騒動”が起こってきました。まずは昨年12月。党本部が正式に津森氏に推薦を出す際に、副総裁の麻生太郎氏が、頑なにサインを拒絶したのです。党本部は苦肉の策として、“選対本部長に一任する”という麻生氏の言葉を容認と解釈し、推薦に漕ぎつけることができました」
また、告示直前には、
「菅前総理が応援に入る予定が組まれていたのですが、直前になって中止になりました。理由は、菅氏に声をかけたのが、武田良太元総務大臣だったから。というのも武田氏は、今回の選挙を仕切る自民党福岡県連とは犬猿の仲で、菅氏の応援演説の際に、武田氏も一緒に演説をすると主張し、県連がこれを拒否。菅氏の応援自体が取りやめになったのです」
それでも大方の予想は、津森氏の圧勝だった。
「というのも、これまで北九州市長を4期に亘って務めあげた北橋健治氏が、津森氏を全面応援しているから。北橋氏がこれまでの選挙で集めてきた票が津森氏に回れば、苦労なく当選できるだろうというのが、陣営の読みでした」
ところが、蓋を開けてみれば、当選が危ぶまれるほどの大苦戦。投票箱を開けてみるまで分からない、スリリングな展開となっている。
なぜこうなったのか。自民党関係者が言う。
「ヒントは、麻生太郎氏にあります。そもそもなぜ麻生氏が津森氏の推薦書にサインをしなかったのかといえば、対立候補の武内氏が、保守分裂となった2019年の福岡県知事選挙に出馬した際、麻生氏が武内氏を応援していたから。なので今回は、“津森氏も武内氏も、どちらも応援しない”、中立の立場という姿勢を貫きたかった、というのが大きな理由のひとつです」
さらに、もう一つ大きな理由があるという。
「話は北橋健治氏が初当選を果たした、2007年2月の北九州市長選に遡ります。自民党は当時、別の候補を立てていたのですが、落選。その時の選対本部長を務めていたのが、他ならぬ麻生氏だったのです。以来麻生氏は、北橋氏に対して忸怩たる思いを抱いており、その北橋氏が全面的にバックアップするという津森氏を、どうしても応援したくなかったというのが大きいのです」
もちろん、今回の選挙では、麻生氏は表立っては全く動いていない。しかし、
「自民党の北九州市議や県議のなかで、麻生氏に近い人たちは、そうした麻生氏の思いを汲み、表向きは津森氏を応援しつつも、裏では武内氏側につき、自身の後援者らを紹介するなど、積極的にサポートしているのです。この動きがどこまで広がっているのか、津森陣営は把握できていません。また、とにかく勝ち馬に乗っかることが最重要課題の公明党の後援者たちも、津森氏に推薦こそ出しているものの、情勢を見極めて動きを変えてくる可能性はある。津森陣営内部にも、疑心暗鬼の輪が広がっていますよ」
麻生氏にとっては、二つの意味で因縁の戦いだったというわけだ。激戦の結果や、いかに。
デイリー新潮編集部

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