おとなしいと評判の13歳娘が母親を刺殺…祖父が事件前に語っていた“孫の変化”

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いつもは静かな住宅街が、突然喧騒に包まれたのは1月17日未明のこと。静岡県牧之原市に住む主婦はこう語る。
「救急車のサイレンの音で目を覚ましました。家から外を確認すると、道に救急車のほかに何台もパトカーが止まっていたんです。後でYさんが亡くなったと聞いて驚きました。小さな町なのに、こんなに怖い事件が起きるなんて」
40代の女性・Yさんの死亡が搬送先の病院で確認されたのは1月17日午前1時30分ごろだった。地元紙の記者は次のように語る。
「静岡県警によれば、同居家族から『(Yさんが)刺された』との110番通報があったのは、16日午後11時50分ごろ。牧之原警察署から署員が駆け付けると、2階の寝室で首などを刺されたYさんが倒れていたそうです。19日に司法解剖の結果も発表されましたが、死因は複数の刺し傷や切り傷による失血死でした。凶器は、日常的に使っていた包丁のようです。
Yさんの娘(13)が母親を刺したことを認めており、『母親からスマホでSNSを使い過ぎていると注意されて口論になっていた』などと話しているそうです」
刺殺されたYさんは両親、そして一人娘で中学1年生の長女と暮らしていたという。Yさん一家の知人によれば、
「Yさんの祖父にあたる人が建設業で成功しており、比較的裕福なご一家という印象です。いまの自宅は14年前に新築した一軒家で(事件現場となった)2階だけでもたくさんの部屋がありました。
Yさんはこの町で生まれ育ちました。結婚して女の子に恵まれましたが、婚家とうまくいかず、長女が生後3カ月のころに実家に帰ってきたのです。
Yさんのご両親は、孫娘をとてもかわいがっていたのです。Yさんが仕事に行っている間は、お母さんが代わりに長女のお世話をしていました。
長女は、物静かで感じのいい女の子でした。私には声を出して挨拶もしてくれていましたし、大事件を起こすような子ではないと思っていましたが……」
Yさんの長女については、ほかの近所の住人たちの印象も総じて“おとなしい子”“事件に関わるようには見えなかった”というものだった。何が彼女を豹変させてしまったのか?
■親による“スマホ制限”の危うさ
「警察は犯行の動機は、スマートフォンを巡る母娘間のトラブルだった可能性があるとみているようです。また一部報道によれば、長女が通っていた中学校では親子を対象にしたスマホの使い方講座を開催しており、課金ゲームやSNSなどについての注意を一緒に聞いていたとのことです」(前出・地元紙記者)
『スマホ危機 親子の克服術』(文春新書)などの著書があり、スマホトラブルについて取材を続けているジャーナリストの石川結貴さんは次のように語る。
「スマホの使い方で口論になって、お母さんを刺してしまうなんて……、と驚く人もいるかもしれませんが、決して“ありえないこと”ではないのです。
私が取材したなかでも、中学1年生の息子がスマホでオンラインゲームを毎日10時間やり続けていたので、母親が注意したところ、口論から殴り合いに発展し、警察官を呼んだというケースなどがありました。どのケースも幸いにケガ人こそ出ませんでしたが、一歩間違えば殺傷事件になっていた可能性も否定できません」
21年に小学生の子供にスマホを持たせている親550人を対象に行われた調査によれば、約6割が子供からスマホを取り上げた経験があり、そのうちの、約4割が親子関係に悪化をきたしたという。
Yさんと長女の口論で“取り上げ”までが話題になったかは明らかではないが、スマホの使用制限が、親子トラブルの要因の一つであることは間違いないだろう。石川さんが続ける。
「現代の子供たちにとって、スマホは“かけがえのない居場所”になっています。
SNSでいえば“裏アカ(秘密裏に設けた匿名アカウント)”を持っている子も多く、“親がムカつく”などと本音をつぶやいたりします。そこで知り合った友人たちは“素の自分”を認めてくれた宝物のような存在。彼らとの人間関係や居場所を守るために、子供たちは必死になるわけです。
また今回の事件の13歳少女は『おとなしい子』だったそうですが、そういった子ほどリアルな人間関係になじみづらいためか、裏アカなど、スマホで築いた人間関係に一生懸命になり、長い時間を割いてしまう傾向もありました」
前出のYさん一家の知人は、Yさんの父が最近、孫について悩んでいたとも証言する。
「あるとき『孫が言うことを聞かなくなってまいっているんだよ』と、もらしたのです。私が『たった一人の孫だから甘やかし過ぎたんじゃないか』と言うと、苦笑いしていました。
聞いてみると、子供のころから孫がワガママを言っても騒いでも、祖父母は怒ったことがなかったそうです。オモチャも洋服も小遣いも、ねだられて断ったことがなかったとか。『それじゃ躾どころじゃなかっただろう』と言うと、黙ってしまって……」
溺愛し続けた孫が包丁で娘を……、想像もできなかった悲劇に直面し、同居していた祖父母は悲嘆の日々を送っているという。

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