大阪・八尾の路上で警官2人が盗難車を運転していた男に発砲して死亡した事件で、男が元暴力団員だったことが分かった。男の犯罪自体は同情の余地はないとはいえ、死亡に至ったことについては批判も出ている。元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」を主宰)はどう見るか。解説してもらった。
【写真を見る】新横浜駅に到着した神戸山口組の「寺岡前若頭」と、それを待ち構える6代目山口組の「竹内照明若頭補佐」ら 盗難車を運転していた男は石橋健太容疑者(41)。
「事件発生は1月13日午後1時20分ごろ。大阪府警八尾署地域課の警部補(47)と巡査長(26)の2人の男性警官が、パトカーで巡視中に盗難車を運転する石橋容疑者を発見しました」大阪・八尾の発報現場 と、担当記者。時速100キロほどの猛スピードで逃げるクルマに、「止まりなさい」とマイクで叫び続ける警官。追跡距離は2キロ弱にわたり、信号で男の車にパトカーが追いついたところ、バックでぶつかってきたという。「パトカーの助手席に座っていた巡査長が降車し、石橋容疑者のクルマの窓ガラスを警棒で叩きながら停車を指示したものの、彼はそれに従わなかった」(同)盗難車の中に残された異様なブツ「そこから警部補も降車して“止まらないなら撃つぞ”と警告し、その後に2人が発砲したということです」(同) 警官2人は、運転席と助手席の両側からそれぞれ2発ずつ発砲した。石橋容疑者は負傷後も逃げようとクルマを発進させて信号柱などに衝突。公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された後に病院に搬送され、死亡が確認された。「司法解剖の結果、銃撃に伴う失血死だということでした。銃弾は右脇腹と右上腕部、左膝に命中し、うち2発は体内に残されていました。右脇腹から体内に入った銃弾が動脈や肝臓を傷つけ、致命傷になったと見られています」(同) 大阪府警は、石橋容疑者が運転する盗難車の中から「白色の結晶入り小袋」や「注射器」、10枚以上の「他人名義のクレジットカード」などを押収したことを発表。「その結晶が覚せい剤の疑いもあるとみて成分鑑定を進めています。石橋容疑者は2022年9月、兵庫県警の警官に対する殺人未遂容疑などで逮捕されましたが、その後に末期がんであることが分かり、釈放されました」(同)6代目山口組傘下の元組員 しかし釈放からわずかの間に、窃盗事件の容疑者として指名手配されていたという。 では、竹垣氏の見立てを聞いてみよう。「石橋容疑者は、大阪に本部を置く2代目吉島組の組員でしたが、すでに組を抜けているようです。上部団体は、6代目山口組→3代目弘道会→3代目米川組になります。白色の結晶が覚せい剤扱いされているようですね。何らかの事情がなければ組織脱退に至ることはないので、その理由が薬物関連である可能性は否定できないと思います」 警官の発砲が一部で物議を醸していることについてはどうか。往々にしてこういう場合「発砲は適切だったのか」といった批判が出やすいのだが……。「クルマが盗難車で、それがあり得ないスピードで逃走し、静止を振り切ろうとした時点で“話が通じない相手”と警官が判断したのは合理的でしょう。それを放置すれば市民に被害が出ることは不可避。凶器にもなるクルマを運転しているだけに、絶命することを前提で発砲したとしても、通常の職務を遂行したとみなされると感じますがね」(同)自暴自棄になっていたのか 要するに、「警官の判断は間違ったものではなかった」との主張だ。「警察発表を前提にすれば、末期がんの石橋容疑者は自暴自棄になっていたのかもしれませんね。もっとも、警官への殺人未遂容疑などで逮捕した後、末期がんと判明したから釈放したという経緯には納得できないところもあります。今回の件で、結果としてその判断は正しくなかったということにもなりますし。また、石橋容疑者が所属していた組織にとっても迷惑な事件でしょう。すでに関係ないのに、“あいつが在籍した組だ”と指摘されるわけですから」(同) たしかに容疑者の行動を見れば、常軌を逸しているとしか言いようがない。今回の暴走で警官や一般市民の生命が犠牲になっていた可能性は否定できない点を見過ごしてはならないだろう。デイリー新潮編集部
盗難車を運転していた男は石橋健太容疑者(41)。
「事件発生は1月13日午後1時20分ごろ。大阪府警八尾署地域課の警部補(47)と巡査長(26)の2人の男性警官が、パトカーで巡視中に盗難車を運転する石橋容疑者を発見しました」
と、担当記者。時速100キロほどの猛スピードで逃げるクルマに、「止まりなさい」とマイクで叫び続ける警官。追跡距離は2キロ弱にわたり、信号で男の車にパトカーが追いついたところ、バックでぶつかってきたという。
「パトカーの助手席に座っていた巡査長が降車し、石橋容疑者のクルマの窓ガラスを警棒で叩きながら停車を指示したものの、彼はそれに従わなかった」(同)
「そこから警部補も降車して“止まらないなら撃つぞ”と警告し、その後に2人が発砲したということです」(同)
警官2人は、運転席と助手席の両側からそれぞれ2発ずつ発砲した。石橋容疑者は負傷後も逃げようとクルマを発進させて信号柱などに衝突。公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された後に病院に搬送され、死亡が確認された。
「司法解剖の結果、銃撃に伴う失血死だということでした。銃弾は右脇腹と右上腕部、左膝に命中し、うち2発は体内に残されていました。右脇腹から体内に入った銃弾が動脈や肝臓を傷つけ、致命傷になったと見られています」(同)
大阪府警は、石橋容疑者が運転する盗難車の中から「白色の結晶入り小袋」や「注射器」、10枚以上の「他人名義のクレジットカード」などを押収したことを発表。
「その結晶が覚せい剤の疑いもあるとみて成分鑑定を進めています。石橋容疑者は2022年9月、兵庫県警の警官に対する殺人未遂容疑などで逮捕されましたが、その後に末期がんであることが分かり、釈放されました」(同)
しかし釈放からわずかの間に、窃盗事件の容疑者として指名手配されていたという。
では、竹垣氏の見立てを聞いてみよう。
「石橋容疑者は、大阪に本部を置く2代目吉島組の組員でしたが、すでに組を抜けているようです。上部団体は、6代目山口組→3代目弘道会→3代目米川組になります。白色の結晶が覚せい剤扱いされているようですね。何らかの事情がなければ組織脱退に至ることはないので、その理由が薬物関連である可能性は否定できないと思います」
警官の発砲が一部で物議を醸していることについてはどうか。往々にしてこういう場合「発砲は適切だったのか」といった批判が出やすいのだが……。
「クルマが盗難車で、それがあり得ないスピードで逃走し、静止を振り切ろうとした時点で“話が通じない相手”と警官が判断したのは合理的でしょう。それを放置すれば市民に被害が出ることは不可避。凶器にもなるクルマを運転しているだけに、絶命することを前提で発砲したとしても、通常の職務を遂行したとみなされると感じますがね」(同)
要するに、「警官の判断は間違ったものではなかった」との主張だ。
「警察発表を前提にすれば、末期がんの石橋容疑者は自暴自棄になっていたのかもしれませんね。もっとも、警官への殺人未遂容疑などで逮捕した後、末期がんと判明したから釈放したという経緯には納得できないところもあります。今回の件で、結果としてその判断は正しくなかったということにもなりますし。また、石橋容疑者が所属していた組織にとっても迷惑な事件でしょう。すでに関係ないのに、“あいつが在籍した組だ”と指摘されるわけですから」(同)
たしかに容疑者の行動を見れば、常軌を逸しているとしか言いようがない。今回の暴走で警官や一般市民の生命が犠牲になっていた可能性は否定できない点を見過ごしてはならないだろう。
デイリー新潮編集部