《旭川14歳少女凍死》「死んだ本人に話を聞けてないから推測の域を出ない」第三者委員会のイジメ調査“最終報告書”その驚きの詳細「イジメと自殺の因果関係は…」

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《旭川14歳少女凍死》加害生徒の父親が初めて語ったイジメ事件「できるものなら我が子を罰してほしい…」 から続く
昨年3月に当時14歳だった廣瀬爽彩(さあや)さんの遺体が見つかって1年半、イジメを受けてから3年半。世間を震撼させた“凄惨な事件”は大詰めを迎えようとしている。
【画像】爽彩さんは裸の画像をいじめグループによって拡散された
2022年8月31日、イジメについての事実確認や爽彩さんが亡くなったこととの因果関係の再調査を進めてきた第三者委員会は、最終報告書案の一部を遺族側に提出した。文春オンラインの取材で、その最終報告書案には爽彩さんの死とイジメとの因果関係について、検証すらされていなかったことがわかった――。
廣瀬爽彩さん
◆◆◆
昨年2月13日に自宅から失踪し、3月に旭川市内の公園で雪の中で亡くなっているのが見つかった爽彩さん。文春オンラインでは2021年4月から記事を公開し、爽彩さんが中学入学直後から凄惨なイジメを受けていたこと、失踪直前までそのイジメによるPTSDに悩まされていた事実などを報じてきた。
再調査を行ってきた第三者委員会は今年4月に公表した中間報告で「イジメとして取り上げる事実があった」として性的なイジメ、深夜の呼び出し、おごらせる行為など中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定した。それまで「イジメと認知するまでには至らない」としていた旭川市教育委員会もイジメを認め、遺族に謝罪。その席で第三者委員会は最終報告書について、「8月末までに提出する」と遺族側に伝えていた。全国紙社会部記者が打ち明ける。
「期日(8月31日)の6日前の8月25日になって突然、第三者委員会から『報告が間に合わない』と遺族側に通達があったそうです。もともと昨年5月に第三者委員会が発足した当初は、11月までに調査結果をまとめるとの説明でした。しかし、『1000ページ以上の資料の読み込みに時間がかかっている』などの理由で11月の期限は白紙に。その後、昨年9月に今津寛介旭川市長が就任して『年内にまとめてほしい』と要望し、遺族側も『せめて失踪から1年となる2月13日までに』と求めていましたが、第三者委員会が報告時期の見通しやスケジュールなどを示すことはありませんでした。
調査期間が長引くほど関係生徒たちの記憶も薄れ、被害者の同級生たちは今年の春に中学校を卒業してしまいました。高校は道教委の管轄となり、市教委では聞き取り調査を行うことが困難となります」
文部科学省の定める「いじめ重大事態の調査に関するガイドライン」では、調査時期・期間(スケジュール、定期報告)について、「被害児童生徒・保護者に対して、調査を開始する時期や調査結果が出るまでにどのくらいの時期が必要となるのかについて、目途を示すこと」と、明記されている。第三者委員会が最終報告の日程について「8月末」と期限を示したのは今年4月の中間報告後。調査開始から10カ月以上経過してからのスケジュール開示、自ら設定した8月末の期日を反故にするなど、ガイドラインを遵守しない第三者委員会の姿勢に、遺族側は不信感を募らせている。「迷走」を繰り返した第三者委員会の調査活動 今回の調査の関係者によると、第三者委員会がまとめた最終報告書案は全7章で構成され、遺族側に提出されたのは「廣瀬さんが死亡に至った過程の検証」「いじめの検証及び考察」「認定した事実関係と経緯についての調査結果」の3章分(計120ページ以上)のみ。「当時の学校と市教委の対応」「再発防止策」など残る4章分はさらに時間が必要と説明し、9月5日時点で遺族側には渡っていない。 第三者委員会は小児科医、臨床心理士、大学教授、弁護士ら9名の調査委員で構成されているが、これまで、同委員会の調査活動は文字通り「迷走」を繰り返した。「イジメ問題に精通した専門家、特にイジメPTSDの治療に当たった臨床経験の豊富な医師や、イジメ被害者のケアに従事した心理士が旭川市内では見つからず、重大事態の調査に必要とされる、遺族の希望していた高度な専門的知見を持った委員は選ばれませんでした。遺族との協議も噛み合わないことが多く、時には激しい怒号が飛び交い“大荒れ”になることもあったそうです」(遺族側の支援者)イジメによるPTSDと“自殺との因果関係”は「疑問」だと判断 さらに遺族側が憤りを感じているのが、予定から大幅に遅れて提出された最終報告書案に爽彩さんの死とイジメの因果関係が全く検証されていないことだった。前出の調査関係者が語る。「最終報告書案では中間報告通り中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定しています。また、被害者の死亡についても失踪直前に『きめた』『今日死のうと思う』『ごめんね』とSNSに書き込みを残していたことから、自殺とする見解を示しています。イジメの被害にあってから、天真爛漫だった彼女の表情から笑顔はなくなり、部屋に引きこもるようになった。5月には母親に『ママ、死にたい』と洩らし、ウッペツ川への自殺未遂後はイジメのフラッシュバックに苦しみ、医者からはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断を受けていました。しかし、16カ月もの期間調査を行ってきた“自殺との因果関係”については医学的な観点から説明が示されていません。調査の放棄とも言えます」 第三者委員会は最終報告書案の中で爽彩さんが自殺に至った背景について、遺族の主張していた「イジメによるPTSD」という診断に不可解な判断を下しているという。亡くなった爽彩さんから「直接話が聞けていない」ことを理由に「最終報告書では『転校後に前の学校の悪夢を見る』『しばらくの期間、イジメにあった事実を語ろうとしなかった』などの爽彩さんの症状から当時、『PTSDを罹患していた可能性は否定できない』との見解を示している一方、イジメによるPTSDと診断を受けていた爽彩さんに対して、『直接話が聞けていない』ことを理由に、『PTSDと診断された経緯が明らかでないことから、推測の域を出ない』としています。つまりPTSDだったかもしれないけど、本人に話を聞けないし、診断の経緯もよくわからないから、PTSDだったと断定はできないということです」(同前) 当時爽彩さんを診断したのはベテランの主治医。第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てているという。「第三者委員会は『何らかの契機や心境の急激な変化があった可能性がある』として、自殺の背景に爽彩さんがうつ病に罹患していた可能性を示唆しています。しかし、爽彩さんは医師にうつ病と診断されたこともないし、当然、その診断書も存在しないわけで、それこそ“実際に話を聞いていないため、推測の域を出ない”話です。「法律の矛盾するところを直してあげたい」と言っていた爽彩さん 16カ月もの期間、調査をしてきたものの、被害者が受けたイジメがどの程度、自殺に影響したのか具体的な説明の記載は一切なく、因果関係についても何も触れられていません。第三者委員会はイジメと自殺の因果関係の検証から逃げたのです」(同前) 最終報告書案は遺族側の確認を経て、第三者委員会が市教委へ最終報告するという。時期は流動的だが、市教委は9月中旬頃までに会見を行う予定だ。 爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
文部科学省の定める「いじめ重大事態の調査に関するガイドライン」では、調査時期・期間(スケジュール、定期報告)について、「被害児童生徒・保護者に対して、調査を開始する時期や調査結果が出るまでにどのくらいの時期が必要となるのかについて、目途を示すこと」と、明記されている。第三者委員会が最終報告の日程について「8月末」と期限を示したのは今年4月の中間報告後。調査開始から10カ月以上経過してからのスケジュール開示、自ら設定した8月末の期日を反故にするなど、ガイドラインを遵守しない第三者委員会の姿勢に、遺族側は不信感を募らせている。
今回の調査の関係者によると、第三者委員会がまとめた最終報告書案は全7章で構成され、遺族側に提出されたのは「廣瀬さんが死亡に至った過程の検証」「いじめの検証及び考察」「認定した事実関係と経緯についての調査結果」の3章分(計120ページ以上)のみ。「当時の学校と市教委の対応」「再発防止策」など残る4章分はさらに時間が必要と説明し、9月5日時点で遺族側には渡っていない。
第三者委員会は小児科医、臨床心理士、大学教授、弁護士ら9名の調査委員で構成されているが、これまで、同委員会の調査活動は文字通り「迷走」を繰り返した。
「イジメ問題に精通した専門家、特にイジメPTSDの治療に当たった臨床経験の豊富な医師や、イジメ被害者のケアに従事した心理士が旭川市内では見つからず、重大事態の調査に必要とされる、遺族の希望していた高度な専門的知見を持った委員は選ばれませんでした。遺族との協議も噛み合わないことが多く、時には激しい怒号が飛び交い“大荒れ”になることもあったそうです」(遺族側の支援者)イジメによるPTSDと“自殺との因果関係”は「疑問」だと判断 さらに遺族側が憤りを感じているのが、予定から大幅に遅れて提出された最終報告書案に爽彩さんの死とイジメの因果関係が全く検証されていないことだった。前出の調査関係者が語る。「最終報告書案では中間報告通り中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定しています。また、被害者の死亡についても失踪直前に『きめた』『今日死のうと思う』『ごめんね』とSNSに書き込みを残していたことから、自殺とする見解を示しています。イジメの被害にあってから、天真爛漫だった彼女の表情から笑顔はなくなり、部屋に引きこもるようになった。5月には母親に『ママ、死にたい』と洩らし、ウッペツ川への自殺未遂後はイジメのフラッシュバックに苦しみ、医者からはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断を受けていました。しかし、16カ月もの期間調査を行ってきた“自殺との因果関係”については医学的な観点から説明が示されていません。調査の放棄とも言えます」 第三者委員会は最終報告書案の中で爽彩さんが自殺に至った背景について、遺族の主張していた「イジメによるPTSD」という診断に不可解な判断を下しているという。亡くなった爽彩さんから「直接話が聞けていない」ことを理由に「最終報告書では『転校後に前の学校の悪夢を見る』『しばらくの期間、イジメにあった事実を語ろうとしなかった』などの爽彩さんの症状から当時、『PTSDを罹患していた可能性は否定できない』との見解を示している一方、イジメによるPTSDと診断を受けていた爽彩さんに対して、『直接話が聞けていない』ことを理由に、『PTSDと診断された経緯が明らかでないことから、推測の域を出ない』としています。つまりPTSDだったかもしれないけど、本人に話を聞けないし、診断の経緯もよくわからないから、PTSDだったと断定はできないということです」(同前) 当時爽彩さんを診断したのはベテランの主治医。第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てているという。「第三者委員会は『何らかの契機や心境の急激な変化があった可能性がある』として、自殺の背景に爽彩さんがうつ病に罹患していた可能性を示唆しています。しかし、爽彩さんは医師にうつ病と診断されたこともないし、当然、その診断書も存在しないわけで、それこそ“実際に話を聞いていないため、推測の域を出ない”話です。「法律の矛盾するところを直してあげたい」と言っていた爽彩さん 16カ月もの期間、調査をしてきたものの、被害者が受けたイジメがどの程度、自殺に影響したのか具体的な説明の記載は一切なく、因果関係についても何も触れられていません。第三者委員会はイジメと自殺の因果関係の検証から逃げたのです」(同前) 最終報告書案は遺族側の確認を経て、第三者委員会が市教委へ最終報告するという。時期は流動的だが、市教委は9月中旬頃までに会見を行う予定だ。 爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「イジメ問題に精通した専門家、特にイジメPTSDの治療に当たった臨床経験の豊富な医師や、イジメ被害者のケアに従事した心理士が旭川市内では見つからず、重大事態の調査に必要とされる、遺族の希望していた高度な専門的知見を持った委員は選ばれませんでした。遺族との協議も噛み合わないことが多く、時には激しい怒号が飛び交い“大荒れ”になることもあったそうです」(遺族側の支援者)
さらに遺族側が憤りを感じているのが、予定から大幅に遅れて提出された最終報告書案に爽彩さんの死とイジメの因果関係が全く検証されていないことだった。前出の調査関係者が語る。
「最終報告書案では中間報告通り中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定しています。また、被害者の死亡についても失踪直前に『きめた』『今日死のうと思う』『ごめんね』とSNSに書き込みを残していたことから、自殺とする見解を示しています。イジメの被害にあってから、天真爛漫だった彼女の表情から笑顔はなくなり、部屋に引きこもるようになった。5月には母親に『ママ、死にたい』と洩らし、ウッペツ川への自殺未遂後はイジメのフラッシュバックに苦しみ、医者からはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断を受けていました。しかし、16カ月もの期間調査を行ってきた“自殺との因果関係”については医学的な観点から説明が示されていません。調査の放棄とも言えます」
第三者委員会は最終報告書案の中で爽彩さんが自殺に至った背景について、遺族の主張していた「イジメによるPTSD」という診断に不可解な判断を下しているという。亡くなった爽彩さんから「直接話が聞けていない」ことを理由に「最終報告書では『転校後に前の学校の悪夢を見る』『しばらくの期間、イジメにあった事実を語ろうとしなかった』などの爽彩さんの症状から当時、『PTSDを罹患していた可能性は否定できない』との見解を示している一方、イジメによるPTSDと診断を受けていた爽彩さんに対して、『直接話が聞けていない』ことを理由に、『PTSDと診断された経緯が明らかでないことから、推測の域を出ない』としています。つまりPTSDだったかもしれないけど、本人に話を聞けないし、診断の経緯もよくわからないから、PTSDだったと断定はできないということです」(同前) 当時爽彩さんを診断したのはベテランの主治医。第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てているという。「第三者委員会は『何らかの契機や心境の急激な変化があった可能性がある』として、自殺の背景に爽彩さんがうつ病に罹患していた可能性を示唆しています。しかし、爽彩さんは医師にうつ病と診断されたこともないし、当然、その診断書も存在しないわけで、それこそ“実際に話を聞いていないため、推測の域を出ない”話です。「法律の矛盾するところを直してあげたい」と言っていた爽彩さん 16カ月もの期間、調査をしてきたものの、被害者が受けたイジメがどの程度、自殺に影響したのか具体的な説明の記載は一切なく、因果関係についても何も触れられていません。第三者委員会はイジメと自殺の因果関係の検証から逃げたのです」(同前) 最終報告書案は遺族側の確認を経て、第三者委員会が市教委へ最終報告するという。時期は流動的だが、市教委は9月中旬頃までに会見を行う予定だ。 爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
第三者委員会は最終報告書案の中で爽彩さんが自殺に至った背景について、遺族の主張していた「イジメによるPTSD」という診断に不可解な判断を下しているという。
「最終報告書では『転校後に前の学校の悪夢を見る』『しばらくの期間、イジメにあった事実を語ろうとしなかった』などの爽彩さんの症状から当時、『PTSDを罹患していた可能性は否定できない』との見解を示している一方、イジメによるPTSDと診断を受けていた爽彩さんに対して、『直接話が聞けていない』ことを理由に、『PTSDと診断された経緯が明らかでないことから、推測の域を出ない』としています。つまりPTSDだったかもしれないけど、本人に話を聞けないし、診断の経緯もよくわからないから、PTSDだったと断定はできないということです」(同前)
当時爽彩さんを診断したのはベテランの主治医。第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てているという。「第三者委員会は『何らかの契機や心境の急激な変化があった可能性がある』として、自殺の背景に爽彩さんがうつ病に罹患していた可能性を示唆しています。しかし、爽彩さんは医師にうつ病と診断されたこともないし、当然、その診断書も存在しないわけで、それこそ“実際に話を聞いていないため、推測の域を出ない”話です。「法律の矛盾するところを直してあげたい」と言っていた爽彩さん 16カ月もの期間、調査をしてきたものの、被害者が受けたイジメがどの程度、自殺に影響したのか具体的な説明の記載は一切なく、因果関係についても何も触れられていません。第三者委員会はイジメと自殺の因果関係の検証から逃げたのです」(同前) 最終報告書案は遺族側の確認を経て、第三者委員会が市教委へ最終報告するという。時期は流動的だが、市教委は9月中旬頃までに会見を行う予定だ。 爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
当時爽彩さんを診断したのはベテランの主治医。第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てているという。
「第三者委員会は『何らかの契機や心境の急激な変化があった可能性がある』として、自殺の背景に爽彩さんがうつ病に罹患していた可能性を示唆しています。しかし、爽彩さんは医師にうつ病と診断されたこともないし、当然、その診断書も存在しないわけで、それこそ“実際に話を聞いていないため、推測の域を出ない”話です。
16カ月もの期間、調査をしてきたものの、被害者が受けたイジメがどの程度、自殺に影響したのか具体的な説明の記載は一切なく、因果関係についても何も触れられていません。第三者委員会はイジメと自殺の因果関係の検証から逃げたのです」(同前)
最終報告書案は遺族側の確認を経て、第三者委員会が市教委へ最終報告するという。時期は流動的だが、市教委は9月中旬頃までに会見を行う予定だ。
爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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