「成人式」なくなるかも…「参加対象がはっきりしない」県内全自治体が名称使わず

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慣れ親しんだ「成人式」の名称、なくなってしまうの!? 9日に「成人の日」を控える富山県内では、成人を祝う式典の名称が「成人式」から軒並み変更された。
変更後の名称は、似てはいるものの、表記が微妙に異なっている。(吉武幸一郎)
◆成人年齢引き下げ
昨年4月、改正民法の施行で成人年齢は20歳から18歳に引き下げられた。「成人」の定義が変わったため、「成人式」をどうするかの問題が浮上してきた。県内全15市町村に取材すると、「今年度20歳になる人」を祝う式典を行うことは従来通りで変わらない。だが、「成人式」の名称使用は全自治体がやめた。「誰が参加対象かはっきりせず、混乱を招く」からだ。
ならば、新名称はどうなったのか。調べてみると、1位は5市町が採用した「二十歳のつどい」。以下、2位は「二十歳の集い」(3市町)、3位は「はたちの集い」「はたちのつどい」「二十歳の式典」が2自治体ずつで並んだ。漢字・ひらがなの表記は違えど、「二十歳の集い」という言葉を使っているのが12市町村と大半を占める。
とはいえ、名称が決まった背景を各自治体の担当者に聞くと、「右へならえ」ではなく、様々な思いが込められていたことが分かった。「二十歳のつどい」とした立山町は「隣の上市町が、昔から『はたちのつどい』という名称を使っていて、ひらがなの『つどい』がしっくりきていたので参考にした」そうだ。
◆表記思い様々
「二十歳の集い」とした南砺市は昨年、市内の3高校(当時)などにアンケートを実施。「様々な名称案を挙げたところ、漢字の『二十歳の集い』が一番人気だった」という。また、「はたちの集い」とした朝日町は「全部漢字にするより、『二十歳』を『はたち』とした方が、柔らかみが出るのではないかと、内部で意見を出し合った」とした。
こうした中、「集い」を使わず、「二十歳の式典」とした滑川市と砺波市は「集いという軽々しいものではなく、あくまでも重みのある式と伝えたい」と、「式典」を使用。砺波市は「そもそも『成人式』という名前に『式』が入っている」と理由を挙げる。滑川市も同様だが、「正式名称は『なめりかわ二十歳の式典』。滑川をひらがなにしたことで、堅さと柔らかさのバランスを取った」とこだわりを明かした。
一方、県内で唯一、独自の名称となる「20歳を祝う式」を使う黒部市は「一番のこだわりは『祝う』。市を挙げて、20歳の若者を祝福したいという強い思いで、この名前に決めた」と力を込める。
名称一つだが、各自治体の強いこだわりが垣間見えた。するとこのまま、「成人式」という言葉は死語になってしまうのだろうか……。3日、一足先に小矢部市で行われた「二十歳のつどい」に参加した男子大学生(20)の言葉が印象的だった。「名前が『成人式』じゃないのは、やっぱりどこか違和感があるし、複雑。でも結局、親も友達も全員、『成人式』って呼んでますよ」

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