事故死者数が増えてしまった「愛知県」どう出る? 全国ワースト脱却から4年 “若者”の被害が大幅増

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愛知県内の2022年度中の交通事故死者数が公表。7年ぶりに前年比で死者数が増加しました。事故被害者の特徴も明確に変化しています。16年連続全国ワーストの不名誉記録をもつ愛知県、安全対策の再考が求められそうです。
愛知県の2022年中の交通事故の暫定死者数が2023年1月1日、公表されました。132件137人の死亡が確認されています。2021年は過去15年間で最も低く抑えられましたが、2022年は前年比で15件20人増加しました。交通事故死者数で「16年連続全国ワースト」を脱して4年、愛知県は再び転機に差し掛かっています。
歩行者の事故が増加している。写真はイメージ(画像:Volodymyr Baleha/123RF)。
愛知県は2003(平成15)年から16年間、全国最多の交通死者数を記録していましたが、2015年から前年比で死亡事故を削減することを実現。2019年からは連続で全国最多を免れています。
ところが、2022年は前年比で死亡事故が増加し、7年続いた死亡事故減少が打ち止めとなりました。愛知県は、独自の交通安全計画「2025年までに年間の死者数125人以下」を削減目標としています。2021年は117人と大幅に下回りましたが、再び目標達成に向けた努力を続けることになりました。
死亡事故はどんな状況で起きているのか。「横断中」「出会頭」「車両単独」「正面衝突」の事故主要4類型でみると、「横断中」の事故が41人、昨年比で51.9%増加と際立っています。死亡当事者の中でも「歩行者」は56人(40.9%)で、これに次ぐ「四輪車」乗車中に亡くなった人36人(26.3%)を、大きく引き離しています。137人の死者のうち、この4類型に含まれる事故は99件でした。
4類型の中には避けきれない場合もありますが、事故対策で横断中の取締りが強化される背景は、ここにあります。
コロナ禍での外出制限が、交通事故減少にはプラスに働いたと言われていますが、外出制限がない日常が戻り、油断が生じたのでしょうか。
2022年の愛知県の事故では「高齢者」の被害が減り、16~24歳の「若者」、25~64歳の「一般」の年齢層が増えました。特に「若者」の死者数は前年比で15人増えて20人。300%と大幅な増加でした。
死亡事故の被害者は、歩行者の割合がいちばん多く56人。次いで、四輪車乗車中の36人。自転車乗車中の事故は20人。バイク事故は、原付では前年比で3人増えて10人。それ以外の排気量51cc以上では、1人減って15人でした。
愛知県では自転車でもヘルメット着用が努力義務に変わりました。県警は2021年中の自転車事故の被害者20人全員がヘルメットを着用していなかったことを指摘しています。
愛知県警本部(中島みなみ撮影)。
コロナ禍前の事故対策は、死亡者の多数を占める65歳以上の高齢者の被害を減らすことで減少を目指していました。2022年の愛知県の死亡事故は活動的な年齢層が、コロナ禍と同じ閑散とした交通に慣れて、状況を見誤ったことが、死亡事故増加に影響しているのでしょうか。
死亡事故原因(第一原因)を法例違反別にみた場合、原付以上の免許保持者の違反では「信号無視」と「歩行者妨害」が多発、増加していると警告します。「信号無視」は7件増えて11件(175%増)、歩行者妨害は9件増えて24件(60%増)でした。歩行者の信号無視が原因となる死亡事故もありましたが、3件増えて4件と実件数としては多くありませんでした。
アフターコロナの交通事故対策、詳しい分析と、公表が待たれます。
※記事中の2022年の数値は暫定値です。今後の確定値で修正されることがあります。

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