4月から始まる自転車の交通違反への反則切符(青切符)制度に、言葉の聞き取りを困難とする当事者が不安を募らせている。症状の緩和にはイヤホンの使用が欠かせないが、イヤホンを装着した状態での自転車走行が青切符の対象となるためだ。当事者にとってのイヤホンは安全運転に必要な音を取り入れるもの。音楽を聴くイヤホンとは根本が全く異なるとして理解を求めている。
制度を不安視するのは「聞き取り困難症・聴覚情報処理障害(LiD/APD)」の当事者ら。聴覚に異常はないものの、雑音のある環境下での音声判別を困難とする。聞こえ方には個人差があり、単語の一つ目の子音が判別しにくい、音に大小があるように感じられるなどの症状がある。
症状の緩和のため、ノイズキャンセリング機能付きイヤホンを着用する人が多く、聞きたい音に集中できるなどの効果がある。症状に応じて使用方法も多岐にわたり、電話や会話だけで使う人もいれば、自転車の走行中も含めて常に手放せない人もいるという。
ただ、一般的なイヤホンと外見上の区別は難しい。「聞き取り困難症当事者の会」(横浜市神奈川区)代表の田中由紀さんは「青切符が始まれば、両者が同じように取り締まられるのではないか」と心配する。
症状の証明が難しいことも問題点となる。LiD/APDは障害者手帳の発行対象ではなく、警察官に呼び止められても提示できるのは診断書のみとなる。ただ診断を下せる医療機関は少なく、検査に年齢制限を設けている場合もあり取得の壁は高いという。