東京都豊島区東池袋の複合商業施設「サンシャインシティ」にある店舗で3月26日夜、女性店員が男性に刃物で襲われて死亡した。
警視庁は男性による殺人事件として捜査しているが、報道によると、女性は生前、ストーカー行為について警視庁に相談していたという。
少しずつ情報は出てきているが、事件との直接の関係は明らかになっていない。ストーカー事案をめぐっては、かねて専門家から同様の課題が指摘されてきた。
繰り返されるストーカーの凶行をどのように防ぐべきなのか。
警視庁によると、事件が起きたのは3月26日午後7時16分ごろ、ビル2階にある店舗内だった。男性が女性の首などを刃物で刺したとみられる。
報道によると、その後、男性も自分の首付近を切り、2人は搬送先の病院で死亡が確認された。
翌27日、死亡した2人の身元が判明した。報道によると、2人は2025年7月ごろまで交際していたとされる。
そして、別れた後、男性のストーカー行為が始まり、女性が警視庁に相談していたという。
現時点で詳細は明らかになっていないが、こうした事件を防ぐことはできなかったのか。
今年2月に亡くなったストーカー対策の専門家、小早川明子さんは弁護士ドットコムニュースの取材に対して次のように指摘していた(取材は昨年9月)。
「動機が恋愛に関するストーカーであれば、まずは地域のDV防止センター(配偶者暴力相談支援センター)がよいでしょう。それから、弁護士、警察と覚えてください。DV防止センターは、DVだけではなく、ストーカーの問題にも対応すべき機関で、多くは看板に記載がありませんが、ストーカーの問題にも対応することはあまり知られていません。男性でも相談にのってくれます」
「警察に行くと、そっけない対応をされることが少なくありません。相談者の心の迷いを聞き取ってくれて、細かいアドバイスを警察に求めるのはかなり難しいのです。困ったらまずはDV防止センターです。最初は本当に何もわからないと思いますので、初めの一歩は『どうしたらよいでしょうか』と尋ねる。それで大丈夫です」
さらに、被害が深刻化する前の具体的な安全確保の必要性も指摘していた。
「深刻な状況にあると判断したら、避難するなど安全を確保します。勤務先にまでストーカーが押しかける可能性があるのであれば、職場に出退勤の協力をあおぎましょう。それは最低限やるべきことです」
一方で、小早川さんは加害者側への対応の限界についても言及している。
「警察から警告を受けただけでは、加害者の不満や怒りが収まりません。重要なのは、この不満や怒りを減少させることです。(民事)訴訟をすると、加害者が自分の代理人に言い分をぶつけることができます」
そのうえで、より踏み込んだ制度の必要性をうったえていた。
「何より優先されるべきは人命です。『犯罪者未満』の加害者を犯罪者にしないために、警告はもとより禁止命令もしっかり出して警察の抑止力をかけ続けてほしいです」
「禁止命令を受けたストーカーの中でも特に衝動性が強く、行動制御能力に問題があると見受けられる一部の者に対しては、医療への勧奨ではなく、せめてプログラムの受講や精神保健福祉士等の医療情報を提供できる心理の専門家との面談を命じられるようにストーカー規制法の禁止命令の運用を見直していただけないものかと私は思います」
ストーカー事案に社会はどう向き合うべきか。
「被害者の命と加害者の人権が天秤にかけられることには反対です。人命優先のため、警察には早期の介入と加害者に対する強い抑止力を求めます。同時に、ごく一部の危険な加害者を医療に導入する方法を警察だけに頼るのが良いことなのか、どういった体制が必要なのか、社会は検討しなければならないと思います」
今回の事件の全容は捜査中だが、専門家が繰り返し警鐘を鳴らしてきた課題が、改めて突きつけられている。