いじめで小5転校、被害の訴えに担任「しつこい」…学校も別の階のトイレ使用認めず

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2022年12月、神奈川県大磯町立小学校5年の男子児童が複数の同級生からのいじめが原因で町外への転校を余儀なくされた問題で、町教育委員会が第三者委員会を設置して調査した報告書が、19日付で被害児童保護者に開示された。
第三者委が、学校や町教委の対応に強い疑問を示し、いじめ被害に対する認識の甘さを厳しく戒めた内容となっている。(吉田尚司)
調査は23年4月、町教委がいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定して、始まった。弁護士、精神科医など3人の有識者によって約1年10か月間、関係者への聞き取りを重ね、同学年児童へのアンケート調査を通じて、いじめの実態解明に取り組んだ。
調査は昨年3月までに終了し、結果は全28枚の報告書にまとまった。今回の開示では、加害とされる児童5人の氏名やいじめが行われた時期(学年)など約150か所が、個人情報保護を理由に黒で隠された。被害児童・保護者は報告書を全て隠さず提供するよう求めている。
報告書によると、被害児童は5人の加害とされる児童から学校生活の様々な場面でいじめ被害に遭っていた。「調子に乗ってんじゃない。殺すぞ」などの暴言や体形に関する悪口を浴びせられたほか、靴箱から靴を外に投げ捨てられたこともあったとされる。給食の量を故意に少なくする嫌がらせも受けた。
学校側の対応も、適切とは言いがたい状況だった。消しゴムなどの私物をとられた際に被害を担任に繰り返し訴えると、「しつこい」「(いじめてくる子と)目を合わせないようにしてください」と言われたという。休憩時間のトイレでは奇声を上げて威嚇され、我慢を強いられたため、別の階のトイレ使用を求めたが、学校が認めなかったこともあったとされる。
報告書では、加害とされる児童5人が授業中も大きな声で騒ぎ立て玩具の音を鳴らして授業を妨害するなど、「学級は騒がしく落ち着かない状況」だったことを説明している。被害児童・保護者が転校を決意したのは「いじめ被害」に起因していたが、学校・町教委はこの「学級の騒がしさ」など別の要因があったと一方的に判断していたとされる。いじめ被害の訴えも「過剰」と捉えるなど「相当に思い違いがあった」と指摘した。
報告書では組織的な情報共有の欠如についても指摘。いじめによる体調不良を訴えて診断書を提出したが、担任の女性教諭が1年以上、管理職らに共有せずにいた。「(診断書の)共有があったら学校の対応に少なからず変化があった」と推察。組織的な対応で「転校を避けることもできたのではないか」としている。町教委も指摘を認め「当時の至らなかった点について、被害児童とその保護者におわびする」と謝罪している。
一連の調査で、事実確認ができた被害児童へのいじめ件数は加害とされる児童5人の23件を含め計33件だった。裏付けとなる根拠に乏しいが他にもいじめがあったと指摘した。調査の過程で、あるべき町教委の資料や記録が十分に残されていなかったことも判明している。
被害児童の保護者は今後、記者会見を開いて自らの言葉で、いじめ被害の実態について訴えることも検討。報告書の開示を受けて「いじめは人権侵害。子供たちそれぞれが自分らしく認められる世の中が大事」などとコメントしている。

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