「苦労してまでやりたくない」30歳の時点で童貞である男性は全体の約3割!? 当事者たちが抱える“リアルな心情”に迫る

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〈「僕も『ああ、なんか面倒くさいな』という気持ちになっていきました」…結婚10年目、妻が突然「もう我慢できない」と爆発した“決定的な理由”とは〉から続く
未婚率の上昇や「中年男性の孤独死」が社会問題として騒がれ始めて久しい。しかし、当の独身男性たちは、世間が思うほど「孤独」を深刻な問題だと捉えていないという。いったいどういうことなのか。
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ここでは、社会起業家で合同会社ヨルミナ代表の坂爪真吾氏の著書『モテない中年 恋愛格差と孤独を超えて』(PHP新書)の一部を抜粋。離婚後、独身生活を謳歌、自身は結婚相談所を運営する男性・関川さん(仮名)の経験談を紹介する。
◆◆◆
「今の自分を丸ごと受け入れてほしい」という一方通行のスタンスで婚活をしたとしても、異性からは「そんな人とは結婚するメリットがない」と思われてしまうのではないだろうか。
結婚はあくまで、他人との共同生活であり、他人とのコミュニケーションのうえに成り立つものである。そう考えると、「今の自分を丸ごと受け入れてほしい」という自己中心的な欲求は、結婚によって解決すべき欲求でもなければ、解決できる欲求でもないのではないだろうか?
「そう思える人は、ちゃんと他人に対する愛情があって、他人とちゃんと向き合える人です。
20代の頭が柔らかいうちに他者と一緒に生活する機会が得られれば良いですが、価値観やライフスタイルが固まってしまい、それらを捨てる勇気もないまま40代になってしまうと、他者と一緒に暮らすことは難しくなるのではないでしょうか。
写真はイメージ asu0703/イメージマート
僕たちの親世代は、男性は結婚していないと会社で活躍できなかったし、女性は結婚しないと生活できなかった。今の時代は、男女問わず、結婚していなくても仕事で活躍できるし、生活もできる。そうなったら、結婚をする意味がわからなくなるのは当然だと思います。
僕の父親は、晩年に『自分は生活能力がないから結婚した』という趣旨のことをつぶやいていました。亡くなる間際に言っていたことなので、偽らざる本音だったと思います。自分1人では料理・洗濯・家事・育児ができないから結婚せざるを得なかった、という男性は相当数いたのではないでしょうか。
今は独身男性も1人で生きられる時代になっているので、結婚しなければ生活できない、というようなことはない。そのことも未婚男性が増える要因になっているのではないでしょうか。男性の場合、会社に行けばとりあえず自分の居場所があって、年齢が上になってもある程度ちやほやされるじゃないですか。それで本当の孤独を知らないままになっている気がします」
離婚して2年が経った今、独身生活に寂しさを感じることはないのだろうか。
「離婚して今2年になりますけど、本当に楽ちんです。楽で楽でしょうがない。結婚していた時は、妻だけでなく、自分も色々なことを我慢していたのかもしれない、と感じています。
僕、『寂しい』という概念がないんですよね。その概念だけが、子どもの頃から明らかに欠落しているんです。寂しさよりも、価値観や文化の異なる他人と一緒に過ごすことの煩わしさの方が大きい。世間的には、独身だから寂しいと思われがちですが、それほど単純な話ではないと思います。
独身男性は早死にするというデータがあり、あたかも社会問題であるかのように報じられていますが、当事者からすれば、『いや、別にそんな長生きする気もないし』となるのではないでしょうか」
世間の認識と、渦中にいる当事者の認識との間に大きなズレがあるのは、あらゆる社会問題に共通することである。孤独をめぐる問題については、そもそも当事者が自分が孤独であることを問題視していないケースが少なくない、ということは確実に言えるだろう。
「本人たちにとっては、孤独であることは別に問題じゃないんですもん。孤独死が社会問題になるのはわかりますが、実際に本人たちが最後の瞬間、何を思っているかは分からない。
当の本人たちにしてみれば、孤独であることに対する恐怖や危機感って、それほど抱えていないんじゃないですかね。仮にそうした感情があったとしても、孤独を乗り越えるために誰かと共同生活をしなくちゃいけない、みたいなことを言われたら、『あっ、だったら孤独で全然大丈夫です』と答える人の方が多いのではないでしょうか」
男性の孤独と切り離せない問題が、性の問題である。関川さんは、孤独な男性にとってのセックスは、結婚と同様、「したいけれど、困難を乗り越えてまでやりたいとは思わない」ものだと考えている。
「色々な統計データを見ると、30歳の時点で童貞である男性は、全体の約3割だそうです。
30歳の時に童貞だった人は、多分40歳になっても50歳になっても童貞でしょう。こうしたアンケート調査にすら見栄を張る人がいるので、僕としては、体感的に世の中の男性の3割5分ぐらいは童貞だと思っています。
そうした男性たちは、セックスしたいという欲求はあるかもしれないけれど、そのために女性を口説いて断られたり、うまくできなくて惨めな思いをしたりするぐらいだったら、そこまでしてやりたくない、と考えているのではないでしょうか。確かに孤独だけれども、そうした困難を乗り越えてまで解消したいとは思わない、という程度の孤独なのだと思います。他人と関わる煩わしさを乗り越えてまで、孤独から脱出したくない、という人は多いはずです。
本人たちも、世間的にはマイノリティといえばマイノリティだから、独身であること、童貞であることに対してのぼんやりした危機感はあるかもしれませんが、具体的に何が問題なんですかって言われたところで、『うん、いや、別に』という人たちが多いんじゃないでしょうかね。世の中が思っているほど、本人たちは問題を抱えてないっていう。
たとえるなら、ダイエットと同じですよね。みんな、太っていることは良くないし、見栄えも悪いから痩せたいですって言っているけれど、食べるものを我慢してまで痩せたいかといえば、そうでもない。だから、なんやかんやでみんな痩せない。本当にストイックな一部の人だけが、そうしたハードルを乗り越えて痩せている。
それと同じで、確かにみんな結婚したがっているけれど、それはダイエットで痩せたい人と一緒で、人間関係の煩わしさを乗り越えてまで結婚したいかといえば、決してそうではない」
関川さんは、結婚相談所の事業の中で、独身者が集うことのできるコミュニティの運営を行っている。
「今の世の中には、『婚活はもう無理』と感じている中年の独身の人たちがたくさんいます。結婚をした方が将来的に安心だと思っても、そもそも他人とのコミュニケーションが苦手なので、色々な煩わしさを全部乗り越えてまで結婚したいかっていうと、そうでもない。そうした人たちがお見合いやマッチングアプリで婚活したところで、成果は出ないでしょう。

異性に慣れていない人が全く知らない相手とパーティでお見合いして、『さぁ、あとはうまいことやってください』と言われても、できるわけがないじゃないですか。それができたらとっくにやっているよ、と。そもそも、そういうことが苦手な人たちが婚活しているわけですから。
同時に、孤独についても、何かの弾みで『1人じゃ嫌だ』『誰かと話したい』という気持ちになった時の受け皿が必要だと思います。
こうした背景から、僕の会社では、独身の人だけが集まるコミュニティを運営しています。参加者が独身であることだけをしっかり保証したコミュニティをつくって、オンラインとオフラインを混ぜこぜにして、365日、毎日何かイベントを行う。ここに来れば必ず誰かいる、という空間を作る。そこで何回か触れ合っている間に、いいなと思える相手が見つかったら、交際に進めばいい。
自分と同じ思いを抱えている人たちが集まっているので、日頃の寂しさやモヤモヤを人と話すことができる。その繰り返しの中で、良い出会いがあったらそれはそれでいいし、出会いがなくても、そうやって人と触れ合える場があったらいいんじゃないかなと思って。人と触れ合いたいなっていう時に、気軽に参加できる、独りぼっちにならない場所。そうしたコンセプトのサービスをやっています」
孤独で悩んでいる人に対しては、行政や民間の支援団体から「1人で抱え込まず、相談してください」「誰かに頼ってください」というメッセージが発信されている。しかし、関川さんは、孤独な人ほど、「人に頼る」ということをしない、と感じている。
「『誰かに頼って、その人が頼らせてくれなかった場合、ショックで心の置きどころがなくなるから、最初から頼らない』という人もいます。初めからお願いもしないし、求めてもいない、という顔をする。客観的に見れば、『助けてって言えばいいのに』と思うかもしれませんが、『助けて』と言って助けてもらえなかった時は、最後の砦を壊された気持ちになってしまう。そのため、砦を壊されないために、最初から助けを求めないし、求めていないふりをするようになるのではないでしょうか。
40代や50代のうちは、仕事と会社があって、親などの家族もいて、同年代の知り合いもいるので、『いざとなったら誰かに頼ればいい』という気持ちでいるかもしれないけど、それ以上の年齢になって、親兄弟もいなくなり、周りに知り合いもいなくなり、仕事も会社もなくなった時に、頼り先も頼り方もわからない。そうした人たちが、これからすごく増えると思うんですよね」
人に頼るという行為は、人間の本能ではなく、技術である。学ばないとできないし、学ぶ機会や実践する機会がないと、いつまで経っても身につかない。
「こうした孤独の問題に対して、行政はすぐ『みんなで集まれる居場所や施設を作りましょう』となる。みんなで仲良く暮らせる環境を作りたがりますが、そもそもそうした環境に馴染めるような人は、最初から孤独にはなっていない。孤独な人が孤独なままで生きられる環境をつくってあげた方が、よっぽど孤独対策になるのではないでしょうか」
「無理やり人付き合いをさせる社会」ではなく、「誰もが安心して孤独になれる社会」こそが、孤独対策の現実的な解なのかもしれない。もちろん、孤独に疲れたり、人と触れ合いたくなった際に、他者や社会とつながれるルートはきちんと確保しておくことは重要だろう。
(坂爪 真吾/Webオリジナル(外部転載))

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