聴覚障害11歳事故死 逸失利益に差、被告側主張に父「差別」

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2018年に大阪市生野区で暴走した重機にはねられて亡くなった大阪府立生野聴覚支援学校5年、井出安優香さん(当時11歳)の両親が、運転手と当時の勤務先に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が29日、大阪地裁(武田瑞佳裁判長)であった。母のさつ美さん(51)は「1年ごとに悲しみと苦しみが大きくなる」と涙ながらに訴えた。
「命の価値」問う裁判 亡き愛娘の補聴器に誓う両親の思い 裁判の争点は安優香さんが将来の就労で得られるはずだった「逸失利益」についてで、両親は健常者と同じ基準での算定額を求めている。一方、被告側は障害があることで職種や内容が制限されるため、労働者の約6割に相当する聴覚障害者の平均賃金を基礎に算出すべきだと反論している。

この日は両親と安優香さんの元担任教諭2人が尋問を受けた。さつ美さんは、亡くなる前日も自習に取り組んでいた安優香さんの姿を振り返りつつ、「負けず嫌いで先生にも頑張り屋さんと言われていた。将来希望したら大学も行かせていた」と語った。父努さん(49)は「相手側の主張は差別ではないか。公平な判断を求めたい」と述べた。 元担任らも聴力障害の有無が将来の収入に直結しないと主張した。インターネットや音声を即時に文字にする音声認識システムが発達したことで、聴覚に障害を持つ人を取り巻く就労環境は改善していると説明した。 大阪市内で会見を開いた両親は「娘の11年の努力を伝えられた。裁判官に気持ちが届いてほしい」と語った。【安元久美子】
裁判の争点は安優香さんが将来の就労で得られるはずだった「逸失利益」についてで、両親は健常者と同じ基準での算定額を求めている。一方、被告側は障害があることで職種や内容が制限されるため、労働者の約6割に相当する聴覚障害者の平均賃金を基礎に算出すべきだと反論している。
この日は両親と安優香さんの元担任教諭2人が尋問を受けた。さつ美さんは、亡くなる前日も自習に取り組んでいた安優香さんの姿を振り返りつつ、「負けず嫌いで先生にも頑張り屋さんと言われていた。将来希望したら大学も行かせていた」と語った。父努さん(49)は「相手側の主張は差別ではないか。公平な判断を求めたい」と述べた。
元担任らも聴力障害の有無が将来の収入に直結しないと主張した。インターネットや音声を即時に文字にする音声認識システムが発達したことで、聴覚に障害を持つ人を取り巻く就労環境は改善していると説明した。
大阪市内で会見を開いた両親は「娘の11年の努力を伝えられた。裁判官に気持ちが届いてほしい」と語った。【安元久美子】

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