いまどき目視で確認作業…!小平市役所がシングルマザーに児童扶養手当約250万円を「誤支給」、「ありえないミス」が起きた根本原因

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東京都多摩地域北部に属する小平市。ここに暮らす一人のシングルマザーは、ある日突然、身に覚えのない借金およそ250万円を背負わされた。しかもその返済相手は、市民の生活を支えるはずの市役所だったーー。
ひとり親家庭の生活の安定と自立を助けるための児童扶養手当を、小平市が約4年半にわたって「誤支給」していたことが、現代ビジネスの取材でわかった。市の担当者によると、誤支給の該当者は複数人おり、今後の対応については検討中だという。
「都心から一番近いプチ田舎」をキャッチフレーズに掲げ、子育て世帯に人気のある小平市で、いったい何が起きているのか。当事者に取材を行い、市民を巻き込んだトラブルの全貌に迫った。
前編記事『【独自】東京・小平市で「児童扶養手当」の「誤支給」が発覚…!30代シングルマザーに振り込まれた「誤ったお金」の衝撃金額』から続く。
12月初旬に、小平市役所から「児童扶養手当に不備があった」と連絡を受け、誤支給分の約250万円の返還を求められた、シングルマザーの片岡さん(仮名・30代)。
彼女は約10年前に精神疾患を患い、思うように会社で働けなくなり、「精神障害者保健福祉手帳」(等級3級)を保有している。今回の誤支給の経緯については、「令和3年(2021年)に法改正された児童扶養手当を誤認したまま、お支払いすべきでないお金を支払っていました」と説明されたという。
なぜこのようなミスが起きたのか。精神保健福祉の専門家で、『発達障害・精神疾患がある子とその家族が もらえるお金・減らせる支出』など多数の著作がある日本福祉大学の青木聖久教授は、「該当の市役所職員たちが、法改正された児童扶養手当の仕組みを理解していなかったのが原因ではないでしょうか」と分析する。
「もともと児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活を支えるために給付される制度ではあるものの、それに加えて障害を持っている方に対しては、支給要件が厳しく設定されていました。障害者の中でも、等級が1級または2級の方を対象とした『障害基礎年金』が児童扶養手当の額を上回る場合、児童扶養手当は受給できなかったのです。
ただ、彼らは母子家庭or父子家庭で、なおかつ障害を持っていて社会生活に一定の制限がある。単純計算すると、それぞれの暮らしづらさ、生きづらさは2倍になりますから、それをなんとか解消できないかということで、令和3年に児童扶養手当を改正しました。
これにより、児童扶養手当の支給要件は緩和されました。障害基礎年金は、それを受給している方に一定の要件を満たす子どもがいる場合、年金額が加算されます。この『子どもの加算部分』を、児童扶養手当が上回る場合、その差額分を児童扶養手当として受給できるようになったのです」(青木教授、以下「」も)
ただし、児童扶養手当の改正の対象者は、あくまで障害基礎年金を受給している等級1級、2級の障害者に限られる。
片岡さんの場合、厚生年金に加入している期間中に障害によって労働を制限された人を対象とした「障害厚生年金3級」を受給している。しかし障害基礎年金は受給していないため、児童扶養手当は支給されないはずだった。
「ところが今回、市役所職員が障害基礎年金を受給していると勘違いしたのか、入力する機械のミスなのか分かりませんが、結果として、片岡さんに児童扶養手当をまるまる支給してしまった。事務処理自体は難しいことじゃないと思いますが、児童扶養手当に関する市役所職員の理解が浅かったのかもしれません。
また、小平市がどのような形で事務処理していたか分かりませんが、ひとり親家庭で、障害厚生年金3級を受給されていた方は、片岡さんと同じように誤支給されている可能性はあると思います」
突如として、児童扶養手当およそ250万円の返還を求められた片岡さんは、現在無職。今年5月に障害者雇用でパート勤務していた職場を離れ、障害者が一般企業へ就職するためにサポートしてくれる「就労移行支援事業所」(通称・就労移行)に通う中で、今回のトラブルに巻き込まれた。貯金はほとんどなく、精神的にも金銭的にも追い詰められて眠れない日々を送っているという。
今後、片岡さんはどうしていけばいいのか。前出の青木教授は、「これまでの市役所の対応からすると、なんらかの形で(誤支給分を)返還するというのは変わらないでしょう」と語る。
「それは法的な面もありますが、私が言いたいのは、道徳的な面ですね。今回に関しては、彼女には何の落ち度もなく、市役所が悪いのは間違いありません。ただ、それで彼女が『絶対にお金を返しません!』という方向に進んで、果たして彼女が精神的に豊かに過ごせるかというと、そうじゃないと思うんです。
日本は恥の文化ということに対して、欧米は罪の文化ということからすれば、周囲に『お金を返すべきだ』と言われなくても、自分が一番この状況を分かってるじゃないですか。だから5年先、10年先の彼女の思いを考えた時に、この選択が彼女にとって穏やかな状態を保証できるかというと、そうとは限らないと思うんです」
こうした道徳的な面を踏まえて、青木教授が示すストーリーは主に2つ。
「まずは分割払いで返済していくのが、一番現実的だと思います。たとえば、愛知県岡崎市だと、障害の等級によって月額3000~4000円くらいの手当金が出るんですよ。だから仮に、同じような手当が出るとしたら、その半額くらいを毎月返済にあてるといった方法が考えられる。
いわゆる『内払い調整』(厳密には違う制度なので、この場合は内払い調整とはならないのですが)という観点からの道を探るのがいいと思います。今回は市役所側に落ち度がありますから、現状も考慮してくださいとのことで、数十年にわたる計画で返済を考えたいところですよね。
2つめは、受給者に寄り添った対応です。誤支給が発覚した段階で、まずは『法テラス』の無料法律相談や、障害者福祉の中核的な役割を担う『基幹相談支援センター』を紹介して、彼女が納得できる道を探すサポートに徹する。これをやってこそ誠意のある対応じゃないかと思うんです。
また、法テラスも最初の数回は無料で相談できますが、もしお金がかかるのであれば、市役所はそこも当然(代金を)負担すると。今回は本当に申し訳なかったということで、受給者にとって最善の方法を一緒に考えていくべきです」
一連のトラブルに対して、市役所側はどう考えているのか。担当者に話を聞いた。
ーー今回の児童扶養手当の誤支給は事実ですか。
「そうですね。こちらのほうでも、そのような確認が取れました。(該当者に)丁寧にお詫びをさせていただいて、なぜこのようなことが起きたのか、説明させていただいているところです」
ーー当事者は複数人いると伺っています。
「そうです。説明はひと通り終わっているのですが、該当者は複数人いらっしゃいます」
ーーなぜ誤支給が起きたのですか。
「令和3年3月ですね。担当者の引き継ぎもそうですが、児童扶養手当の法改正が行われまして、その時の理解がちょっと誤っていたというところで、誤った判定で(児童扶養手当を)支給してしまった方がいるというところですね」
ーー事務処理はどのように行っていたのですか。
「職員が一人一人、目視で確認しました。その段階で、理解を誤ったまま進めてしまったということです」
ーー説明の際、法テラスの紹介もしてくれなかったと当事者は不満を漏らしていました。
「現状では返還の話もしていなくて、どういった手順でやっていくかということも話していません。こういった事実がありました、ということをお伝えしている段階ですので」
ーー今後の対応についてお聞かせください。
「本人(当事者)にまだそうしたお話ができていないので、今後どうしていくかというのは詳しくは申し上げられません。ただ、ご本人とも調整の上ですね、今後どうしていくかということを検討していくような形になるかと思います」
「都心から一番近いプチ田舎」をキャッチフレーズに掲げ、子育て世帯に人気のある小平市で起きた誤支給トラブル。行政にはその償いとして、当事者が納得できる解決策を一緒に考えていってほしい。
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