目の紫外線対策の意外な事実、サングラスは薄い色がオススメ!?

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目の紫外線対策の意外な事実、サングラスは薄い色がオススメ!?2022/08/30 05:00 ウェザーニュース厳しい暑さが続く中、肌への紫外線対策はできていても、目への紫外線対策を忘れていることがあります。目と紫外線との関係は複雑で、「まぶしければサングラスをかける」程度では、知識も対策も十分とはいえません。そこで、横浜市立大学医学部眼科学教室主任教授の水木信久先生に、目の紫外線対策について伺いました。

目への紫外線の影響は目に紫外線を浴び続けると、心配なのは眼病です。「海水浴や野外でのキャンプなどで大量の紫外線を浴びると、紫外線角膜炎を起こす可能性があります。これは冬場にスキー場で起こる雪目(ゆきめ)と同じで、角膜が傷つけられて起こる急性障害です。その日の夜に強い痛みや異物感があったり、涙が止まらなかったりしたら、角膜(黒目部分)で吸収しきれなかった紫外線が水晶体や網膜を傷めていることが多いので、眼科を受診してください。結膜(白目部分)が充血する結膜充血も急性障害の一つです。このような状態を繰り返していると、慢性障害へ発展します。代表的なものが瞼裂斑(けんれつはん)と翼状片(よくじょうへん)です。瞼裂斑は、白目の部分に黄色い濁りや隆起ができるもので、治療の必要はありません。翼状片は、白目の部分が黒目に向かって伸びてくる疾患で、視力が低下することがあるため手術が必要となります。また、老眼や水晶体が濁る白内障も、目が長年紫外線を浴び続けた影響で起こるという説があります」(水木先生)眼病以外にも、目に紫外線を浴びることによる弊害はあるのでしょうか。「意外なことに、目から入る紫外線で肌が日焼けすることがあります。これは目肌焼け(めはだやけ)といって、脳が角膜の炎症に刺激され、全身のメラニン産生細胞を働かせることから起こります。肌を焼きたくない人は、目の紫外線対策も行わなければなりません」(水木先生)目の紫外線対策のいろいろでは、どのような方法で目が紫外線を浴びないようにすればいいのでしょうか?「まず、紫外線が強い10時~14時の外出をなるべく避けるようにしましょう。どうしても外に出る必要があれば、帽子やサングラス・メガネで紫外線を防ぎましょう。帽子はなるべく『つば』が広いものを選びましょう。さらに、日傘をさして日陰を歩きましょう。サングラスやメガネは、UVカット率が高いものを選んでください。コンタクトレンズも同じです。サングラスやメガネは、ゴーグルタイプでもない限り、横のすき間から紫外線が入り込みます。できるだけフレームやレンズが大きいものを選び、目を覆うようにしてください。なお、サングラスは色が濃いほうが紫外線を防ぎそうな気がしますが、色が濃いと瞳孔が開いてしまうので、かえって多くの紫外線が入り込みます。UVカット率が同じであれば、外から目が見えるくらい薄い色のサングラスがオススメです」(水木先生)子どもへの対策も忘れずに目から入る紫外線が、長期にわたると眼病を引き起こすのであれば、子どもの頃から気をつけたほうがいいのでしょうか?「その通りです。ある調査によると、北陸の県に住む小学生より沖縄県に住む小学生のほうが、瞼裂斑になる確率がはるかに高いという結果が出ました。また、高校まで沖縄県で暮らした人と大人になってから沖縄県に移住した人を比べた調査では、前者のほうが翼状片や白内障になるリスクが高いという結果も出ています。オーストラリアなど紫外線が強い先進国では、子どもにUVカットのサングラスやメガネの装着を義務づける条例があるほどです。長期間目に紫外線を浴び続けると大人になったとき目に障害が出やすいので、将来の眼病予防は子どもの頃から始めておく必要があります」(水木先生)大人も子どもも、目の紫外線対策はすぐに始めたほうがよさそうですね。
2022/08/30 05:00 ウェザーニュース
厳しい暑さが続く中、肌への紫外線対策はできていても、目への紫外線対策を忘れていることがあります。目と紫外線との関係は複雑で、「まぶしければサングラスをかける」程度では、知識も対策も十分とはいえません。
そこで、横浜市立大学医学部眼科学教室主任教授の水木信久先生に、目の紫外線対策について伺いました。
目に紫外線を浴び続けると、心配なのは眼病です。
「海水浴や野外でのキャンプなどで大量の紫外線を浴びると、紫外線角膜炎を起こす可能性があります。これは冬場にスキー場で起こる雪目(ゆきめ)と同じで、角膜が傷つけられて起こる急性障害です。
その日の夜に強い痛みや異物感があったり、涙が止まらなかったりしたら、角膜(黒目部分)で吸収しきれなかった紫外線が水晶体や網膜を傷めていることが多いので、眼科を受診してください。
結膜(白目部分)が充血する結膜充血も急性障害の一つです。
このような状態を繰り返していると、慢性障害へ発展します。代表的なものが瞼裂斑(けんれつはん)と翼状片(よくじょうへん)です。
瞼裂斑は、白目の部分に黄色い濁りや隆起ができるもので、治療の必要はありません。翼状片は、白目の部分が黒目に向かって伸びてくる疾患で、視力が低下することがあるため手術が必要となります。
また、老眼や水晶体が濁る白内障も、目が長年紫外線を浴び続けた影響で起こるという説があります」(水木先生)
眼病以外にも、目に紫外線を浴びることによる弊害はあるのでしょうか。
「意外なことに、目から入る紫外線で肌が日焼けすることがあります。これは目肌焼け(めはだやけ)といって、脳が角膜の炎症に刺激され、全身のメラニン産生細胞を働かせることから起こります。肌を焼きたくない人は、目の紫外線対策も行わなければなりません」(水木先生)
では、どのような方法で目が紫外線を浴びないようにすればいいのでしょうか?
「まず、紫外線が強い10時~14時の外出をなるべく避けるようにしましょう。どうしても外に出る必要があれば、帽子やサングラス・メガネで紫外線を防ぎましょう。
帽子はなるべく『つば』が広いものを選びましょう。さらに、日傘をさして日陰を歩きましょう。
サングラスやメガネは、UVカット率が高いものを選んでください。コンタクトレンズも同じです。サングラスやメガネは、ゴーグルタイプでもない限り、横のすき間から紫外線が入り込みます。できるだけフレームやレンズが大きいものを選び、目を覆うようにしてください。
なお、サングラスは色が濃いほうが紫外線を防ぎそうな気がしますが、色が濃いと瞳孔が開いてしまうので、かえって多くの紫外線が入り込みます。UVカット率が同じであれば、外から目が見えるくらい薄い色のサングラスがオススメです」(水木先生)
目から入る紫外線が、長期にわたると眼病を引き起こすのであれば、子どもの頃から気をつけたほうがいいのでしょうか?
「その通りです。ある調査によると、北陸の県に住む小学生より沖縄県に住む小学生のほうが、瞼裂斑になる確率がはるかに高いという結果が出ました。また、高校まで沖縄県で暮らした人と大人になってから沖縄県に移住した人を比べた調査では、前者のほうが翼状片や白内障になるリスクが高いという結果も出ています。
オーストラリアなど紫外線が強い先進国では、子どもにUVカットのサングラスやメガネの装着を義務づける条例があるほどです。長期間目に紫外線を浴び続けると大人になったとき目に障害が出やすいので、将来の眼病予防は子どもの頃から始めておく必要があります」(水木先生)
大人も子どもも、目の紫外線対策はすぐに始めたほうがよさそうですね。

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