圧力どこまで…観光業で“中国依存”見直す動き かつて対立した国々の対応に「共通点」

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台湾有事をめぐる高市首相の発言撤回を求めて、中国の国連大使が2度目の書簡を国連事務総長に送りました。日中関係が冷え込むなか、日本国内の一部の観光業では中国頼りの経営を見直す動きも出てきています。■北京市内の“日本”で中国人は中国・北京にある新宿をイメージした焼き肉店。「新宿横町一番街」と書かれた大きな看板や新宿駅の案内図のようなものが設置されていました。日中の関係が冷え込んでいるなか…

――影響は大きい?店員「あんまり」――あまり影響受けてないですか店員「はい」この店では影響はないといいます。ただ、日本料理店の中には客足が遠のいていると危機感をあらわにする店もありました。■2度目の書簡 記者「国際的な宣伝戦」効果に疑問も高市首相が、台湾を支援するアメリカ軍が中国から攻撃される例を挙げた上で、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になりうると答弁したことをきっかけに、日中関係の溝が深まっています。その発言を撤回するよう中国の傅国連大使は1日、2度目の書簡を国連事務総長に送りました。国連事務総長に送った書簡(一部抜粋)「国連憲章に違反する」「台湾は中国の領土であるにもかかわらず『存立危機事態』を『台湾有事』と結びつけ、中国に対する武力行使を示唆した」「戦後の国際秩序を覆そうとする日本の野望に対し、厳重な警戒を怠るべきではない」これに、日本政府は「中国側の主張は到底認められるものではない」と反論しています。木原官房長官「中国が主張するような我が国の立場の変更は、何ら事実ではない旨、我が国から中国に対しても繰り返し伝えております」傅国連大使は先月21日にも、不満を表明する書簡を送っていました。2度にわたって、日本を批判した意図はどこにあるのでしょうか。柳沢高志・NNN中国総局長「国際的な宣伝戦といえる。ある中国国営メディア関係者は『中国は高市氏への批判を世界に広げるための国際的な宣伝戦を仕掛けている。高市氏を批判する記事を各国の言葉に翻訳して発信している』と話していました」「今回の書簡もこの一環で、習近平政権は『高市氏が発言を撤回するまで徹底的にやれ』と指示。ただ宣伝戦が効果を上げているかというと疑問で、日中関係筋は『北京で各国の外交団と話していても、中国の主張は響いていない。むしろへきえきとしている雰囲気だ』と指摘しました」■京都で「売り上げ的に問題ない」声も 各地で“脱中国依存”の動き中国が日本への圧力を強めるなか、国内のホテルには影響が出ています。愛知県にあるホテルを訪ねると、中国人観光客からのキャンセルの通知だという紙の束を見せてくれました。――全部で何枚?国内ホテルの社長「何枚かな。すごくたくさんで数え切れない」12月末までの予約で、2000人のキャンセルが出ているといいます。このホテルでは過去、東日本大震災や尖閣諸島国有化の際などに、あわせて1万500人ほどの中国人観光客のキャンセルを経験しているということです。国内ホテルの取締役「なんとか間口を広げるようにしていて、ホテルの予約サイトにAIを導入して、お客さまがご利用いただきやすい値段に自動でなるようになりまして、そのおかげか日本のお客さまからの予約も増えた」今は、日本人観光客の割合が全体の7割となり、中国人観光客に頼らなくても、やっていける状況になっているといいます。こうした、“脱中国依存”の動きは、各地で見られています。訪れる外国人観光客のおよそ2割が中国人だという京都市では、中国人観光客が減ってきているといいます。ただ、地元の飲食店に売り上げについて聞くと…「それは変わらないです。欧米の方とかけっこう多いので、売り上げ的には特に問題ない」「全然変わらないですよ、そこは。逆に日本人(客)が増えた。今まで日本人は行きたくても(混雑で)行けなかったのが多いと思う」観光客を迎える商店街も――嵐山商店街 会長「中国も日本に行かないってなるのはリスクでしかないので、いろんな国の方に満遍なく来ていただかないと。おもてなしをしっかり頑張って、全方位で頑張ろうぜって言っています」中国だけに頼らない動きが広がっています。■中国と対立した国々…対応に“共通点”今後の日中関係はどうなっていくのでしょうか。過去、中国が他国に対して、圧力をかけていた事例を見ていきます。2017年には、韓国が迎撃ミサイル「THAAD」を配備した際に、中国の一部がレーダーの探知範囲に入るため中国が猛反発。中国国内の旅行会社に対し韓国旅行の販売を中止するよう指示するなど、報復措置をとりました。韓国への反感が高まった中国人が、自身が所有する韓国製の車をたたき壊している様子も見られました。その3年後には、新型コロナウイルスへの中国の初期対応をめぐり、オーストラリアが国際調査を求めたことなどをきっかけに両国が対立。中国は、オーストラリア産の大麦や牛肉、ワインなどの輸入を制限しました。かつて、中国と対立した韓国とオーストラリア。国際政治に詳しい専門家は、過去、中国と対立した国々の対応には、ある共通点があると指摘しています。国際基督教大学 ナギ・スティーブン教授「自分の国のみなさんに正しい情報を発信していた。国民が正しい情報を持っていないと、中国の情報戦略になかなか抵抗できない」「必ず(中国に)抵抗しないといけない。抵抗しなかったら、いじめ(圧力)外交が発生する可能性が高い」中国からの要求を受け入れない対応を続け、オーストラリアの場合は2、3年で中国からの圧力の影響が、小さくなっていったといいます。では、今の日中関係の場合はどうすればよいのか、中国で10年以上勤務していた元外交官に話を聞きました。大東文化大学東洋研究所 諏訪一幸兼任研究員「中国側の土俵に乗ってしまうことがないように、日本としての主張を冷静に真摯に国際社会に向けて発信していくべき。(中国からの)威圧行為で苦しんだ国は少なからずあるわけですから、日本と同じような経験をした国が日本の主張を聞いてくれれば、『(日本の主張が)もっともである』と賛同してくれる」――この状況はどれくらい続く?大東文化大学東洋研究所 諏訪一幸兼任研究員「尖閣の関連で2年間、非常に深刻な状況があったが、今回も2年とはいわないが、それくらいの覚悟はあったほうがいい」(12月2日放送『news zero』より)
台湾有事をめぐる高市首相の発言撤回を求めて、中国の国連大使が2度目の書簡を国連事務総長に送りました。日中関係が冷え込むなか、日本国内の一部の観光業では中国頼りの経営を見直す動きも出てきています。
中国・北京にある新宿をイメージした焼き肉店。「新宿横町一番街」と書かれた大きな看板や新宿駅の案内図のようなものが設置されていました。
日中の関係が冷え込んでいるなか…
――影響は大きい?
店員「あんまり」
――あまり影響受けてないですか
店員「はい」
この店では影響はないといいます。
ただ、日本料理店の中には客足が遠のいていると危機感をあらわにする店もありました。
高市首相が、台湾を支援するアメリカ軍が中国から攻撃される例を挙げた上で、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になりうると答弁したことをきっかけに、日中関係の溝が深まっています。
その発言を撤回するよう中国の傅国連大使は1日、2度目の書簡を国連事務総長に送りました。
国連事務総長に送った書簡(一部抜粋)「国連憲章に違反する」「台湾は中国の領土であるにもかかわらず『存立危機事態』を『台湾有事』と結びつけ、中国に対する武力行使を示唆した」「戦後の国際秩序を覆そうとする日本の野望に対し、厳重な警戒を怠るべきではない」
これに、日本政府は「中国側の主張は到底認められるものではない」と反論しています。
木原官房長官「中国が主張するような我が国の立場の変更は、何ら事実ではない旨、我が国から中国に対しても繰り返し伝えております」
傅国連大使は先月21日にも、不満を表明する書簡を送っていました。2度にわたって、日本を批判した意図はどこにあるのでしょうか。
柳沢高志・NNN中国総局長「国際的な宣伝戦といえる。ある中国国営メディア関係者は『中国は高市氏への批判を世界に広げるための国際的な宣伝戦を仕掛けている。高市氏を批判する記事を各国の言葉に翻訳して発信している』と話していました」「今回の書簡もこの一環で、習近平政権は『高市氏が発言を撤回するまで徹底的にやれ』と指示。ただ宣伝戦が効果を上げているかというと疑問で、日中関係筋は『北京で各国の外交団と話していても、中国の主張は響いていない。むしろへきえきとしている雰囲気だ』と指摘しました」
中国が日本への圧力を強めるなか、国内のホテルには影響が出ています。
愛知県にあるホテルを訪ねると、中国人観光客からのキャンセルの通知だという紙の束を見せてくれました。
――全部で何枚?
国内ホテルの社長「何枚かな。すごくたくさんで数え切れない」
12月末までの予約で、2000人のキャンセルが出ているといいます。
このホテルでは過去、東日本大震災や尖閣諸島国有化の際などに、あわせて1万500人ほどの中国人観光客のキャンセルを経験しているということです。
国内ホテルの取締役「なんとか間口を広げるようにしていて、ホテルの予約サイトにAIを導入して、お客さまがご利用いただきやすい値段に自動でなるようになりまして、そのおかげか日本のお客さまからの予約も増えた」
今は、日本人観光客の割合が全体の7割となり、中国人観光客に頼らなくても、やっていける状況になっているといいます。
こうした、“脱中国依存”の動きは、各地で見られています。
訪れる外国人観光客のおよそ2割が中国人だという京都市では、中国人観光客が減ってきているといいます。ただ、地元の飲食店に売り上げについて聞くと…
「それは変わらないです。欧米の方とかけっこう多いので、売り上げ的には特に問題ない」
「全然変わらないですよ、そこは。逆に日本人(客)が増えた。今まで日本人は行きたくても(混雑で)行けなかったのが多いと思う」
観光客を迎える商店街も――
嵐山商店街 会長「中国も日本に行かないってなるのはリスクでしかないので、いろんな国の方に満遍なく来ていただかないと。おもてなしをしっかり頑張って、全方位で頑張ろうぜって言っています」
中国だけに頼らない動きが広がっています。
今後の日中関係はどうなっていくのでしょうか。過去、中国が他国に対して、圧力をかけていた事例を見ていきます。
2017年には、韓国が迎撃ミサイル「THAAD」を配備した際に、中国の一部がレーダーの探知範囲に入るため中国が猛反発。中国国内の旅行会社に対し韓国旅行の販売を中止するよう指示するなど、報復措置をとりました。
韓国への反感が高まった中国人が、自身が所有する韓国製の車をたたき壊している様子も見られました。
その3年後には、新型コロナウイルスへの中国の初期対応をめぐり、オーストラリアが国際調査を求めたことなどをきっかけに両国が対立。中国は、オーストラリア産の大麦や牛肉、ワインなどの輸入を制限しました。
かつて、中国と対立した韓国とオーストラリア。国際政治に詳しい専門家は、過去、中国と対立した国々の対応には、ある共通点があると指摘しています。
国際基督教大学 ナギ・スティーブン教授「自分の国のみなさんに正しい情報を発信していた。国民が正しい情報を持っていないと、中国の情報戦略になかなか抵抗できない」「必ず(中国に)抵抗しないといけない。抵抗しなかったら、いじめ(圧力)外交が発生する可能性が高い」
中国からの要求を受け入れない対応を続け、オーストラリアの場合は2、3年で中国からの圧力の影響が、小さくなっていったといいます。
では、今の日中関係の場合はどうすればよいのか、中国で10年以上勤務していた元外交官に話を聞きました。
大東文化大学東洋研究所 諏訪一幸兼任研究員「中国側の土俵に乗ってしまうことがないように、日本としての主張を冷静に真摯に国際社会に向けて発信していくべき。(中国からの)威圧行為で苦しんだ国は少なからずあるわけですから、日本と同じような経験をした国が日本の主張を聞いてくれれば、『(日本の主張が)もっともである』と賛同してくれる」
――この状況はどれくらい続く?
大東文化大学東洋研究所 諏訪一幸兼任研究員「尖閣の関連で2年間、非常に深刻な状況があったが、今回も2年とはいわないが、それくらいの覚悟はあったほうがいい」

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