「12歳の娘に60人以上の客の相手をさせ…」 タイ人少女の母親の「鬼のような仕打ち」

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12歳のタイ人少女は、東京・湯島にある築53年の雑居ビルで性的行為を強いられていた。一緒に来日した母親(29)の“迎えにくる”という言葉を信じて耐えていたが、待てど暮らせど母親は姿を見せず……。
【写真を見る】少女が寝泊まりしながら、性的行為を強いられていたマッサージ店
11月4日、警視庁保安課は、ビルの一室に入居するタイ古式マッサージ店「リラックスタイム」の経営者、細野正之容疑者(51)を逮捕した。15歳に満たない少女を雇い働かせた、労働基準法違反(最低年齢)容疑である。
同店の女性従業員でタイ国籍のホームジャン・ギタヤポーン容疑者(33)も、マッサージ以外に性的なサービスをしたとして風営法違反(禁止地域内営業)の疑いなどで逮捕された。
「つまり、そういった類いの店に少女は連れてこられ、働かされていたのです。その期間は今年6月下旬から1カ月にも及びました」
と、社会部記者が言う。
「発覚のきっかけは9月16日、少女が一人で港区の東京出入国在留管理局を訪れて“タイに帰り、祖父母や妹に会いたい。中学に通いたい”と助けを求めたことでした。近年、国際的に問題となっている人身取引とみられます。ブローカー組織の存在も含め、目下、捜査継続中です」(同)
少女の母国タイでも大きく報じられているこの事件。どんな背景があるのか。
タイ北部のペッチャブーン県。首都バンコクから340キロ、車で5時間ほどかかる山あいの村が少女の故郷だ。警視庁の捜査幹部によれば、
「少女は10歳の妹と共に母方の祖父母に預けられ、公立の中学校に通っていました。父親は4~5年前に亡くなっており、母が日本や台湾、シンガポールなどへの出稼ぎで生計を支えている。祖父母は体調が悪く働くことができず、食費や電気代をはじめ、母からの送金頼みの状態。その母にも借金があり、かなり貧しい暮らしぶりです」
母の仕事は主に性的なマッサージ。
「その母がタイに一時帰国した際、少女は“日本に行って仕事するよ”と言われ、6月27日、15日間の短期滞在の在留資格で来日。母娘二人で東京に着いたその足で湯島のリラックスタイムに入ると、そこで初めて仕事内容を教えられました。“マッサージ終了時間20分前になったら性的なサービスをすればそれで終わりだから”と……」(同)
少女は嫌悪感を抱いたものの従わざるを得なかった。
「自分が仕事をしなければタイの家族が困ってしまう、との思いだったそうです。店に着いた当日は母娘一緒に店内で寝て、翌日、母は姿を消した。以降7月29日までの33日間、少女は店の台所の隅に寝泊まりしながら客61人から62万7000円を売り上げ、それをすべて細野容疑者に渡した。半分が母の知人名義の口座に振り込まれています」(同)
意外にも母娘はSNSでやりとりしており、
「食費などが必要になると少女は母に連絡し、細野容疑者から少額の金を受け取って生活していました。ですが、母が店を訪れたのは7月10日の一度きり。少女に“迎えにくるまで働いて待っていて”と伝え、翌11日には出国してしまった」(前出の捜査幹部)
その後の7月末、少女は湯島から逃げ出した。
「9月半ばまで、少女は母に紹介された東京都外の店でも似たような生活を送りました。少女は日本語を話せませんが、タイ人コミュニティーに帰国の希望を相談していた。在留資格切れで捕まってしまうと聞かされても、意を決して入管に駆け込んだのです」(同)
日本を離れ台湾へと渡った母は、10月末、自身の売春容疑で拘束されている。
日本国内の施設に保護された少女はいま、劣悪な家庭環境と、母による鬼のような仕打ちをどう感じているだろうか。
「週刊新潮」2025年11月20日号 掲載

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