10日の衆議院予算委員会で、「奈良のシカを足で蹴り上げる外国人がいる」とした自民党総裁選での高市氏の発言をめぐり、論戦が繰り広げられた。
【映像】奈良の女・高市総理が「シカを蹴る外国人」にとった対応とは?
立憲民主党の西村智奈美議員は「外国人に対して不確かな情報に基づく、ひぼう中傷などがインターネット上にあふれているという現状を私は大変危惧をしている」としたうえで、「自民党総裁選挙の最初の演説で高市総理は奈良のシカを足で蹴り上げる、殴って怖がらせる人がいる、外国から観光に来て日本人が大切にしているものをわざと痛めつけようとする人がいるのであれば、いるとすれば何かが行き過ぎているというふうに述べた。総理、何を根拠にこのような発言をされたのでしょうか」と質問。
これに対し、高市早苗総理は「地元の方、特に観光業を営んでおられる方々からそうしたお話を伺っている。それから私自身がこれは英語圏の方でしたけれども、シカの足を蹴っているといった行為に及んだ方について注意をしたことがあります」と答弁した。
「それは外国人だけのことなんですか?」と西村議員が尋ねると、高市総理は「決して外国人だけの問題ではありません。ただ日本人の場合はですね、特に私たち奈良県民は子どもの頃から、シカをもしも殺めてしまったらどんな大変なことになるかという話を聞かされて育ってまいりました。奈良公園周辺の鹿に関しては、神さまの遣いであるということでとても特別な扱いであるということ。江戸時代には“石子詰め”と言って、シカをもし殺してしまったら死刑になったんだとか、それから奈良県民が朝早起きなのは、もしも家の前にシカが倒れていた場合、隣の家の前まで引きずっていくからだなんていうような話ですね。あるある話かもしれませんけれども、そういった話を聞いて育ってきたぐらい、やっぱりこのシカを奈良公園周辺のシカに関しては特別な思いを持っております。また、多くの日本人の方もそういったことをよくお調べのうえで来ておられると思います。ただ日本人によってシカへの加害行為が行われたこともこれまであります。日本人でも外国人でもしちゃいけないことはしちゃいけない」などと答えた。
西村議員は「奈良公園のシカに明白にひどい事をしたのは残念ですけど日本人なんです。2010年に妊娠しているシカの腹部を鉄製のボウガンの矢を貫通させ、死亡させた2名の日本人が有罪になっています。文化財保護法違反。2021年、オノでシカの頭蓋骨まで達する傷で死亡させた日本人が有罪になっている」と指摘したうえで、「やはり総裁選のときの発言というのは、外国人の問題として指摘をしたというふうにみんなそれは受けとめるわけなんですよ。あれに対して、やはり日本人もそういうふうにやってる、総理ご存じだったわけですから悲惨な出来事、事件を、なぜそこで外国人のことについてだけ言ったのかというのは、私は本当に問題だというふうに思っています。さっき総理がおっしゃったように、一般の方が不確かな情報を流して特定の属性の方を攻撃するということはあってはならないし、残念なことだと思うんですけれども、特に、権力者、総理大臣になろうという場であのような発言は、ああいう場で言うようなことではないというふうに思います。さきほど、総理がいろいろ根拠があってのことですというふうにはおっしゃってくださいました。それはそれとして事実としてある。しかし一方で、日本人のほうもそれはとても大変なひどいことをやっている。そういうことを前提にした時にあの発言はやはり撤回をすべきではないかと私は思いますけれどもいかがですか」と発言の撤回を迫った。
高市総理は「現在の私は内閣総理大臣としてここに立っております。自民党総裁選挙で、まだ総裁にもなっていない時点で限られた時間内の演説の中の発言でございます。これ一定の根拠があって申し上げたことです。そしてまた外国人との本当に、秩序ある、そしていい形の共生ということを私は今実現しようと思ってこの内閣の中でもその組織を立ち上げ検討に入っていっているという状況でございますので、総裁選挙の最中のまだ総裁でもなかった頃の発言についてそれを撤回しろと言われても撤回するわけにはまいりません」とこれを拒否した。(『ABEMA NEWS』より)