渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》

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「ゴーゴーゴー! ウォーク!」「まっすぐ歩けって言ってんだろうが!」──今年も自治体や警察の厳戒態勢が敷かれるなか、当日を迎えた”渋ハロ”。日をまたいだ2時30分ごろ、スクランブル交差点では、警官が泥酔する外国人に怒号を飛ばしていた。
【写真】ぐったりと路上に力尽きた人たちや、抜群のスタイルに釘付けな”女性剣士”コスプレなど
一方、渋谷の中心地「センター街」で仮装する日本人はまばら。最新の”渋ハロ”事情は少し変化しているようで──。
* * * ハロウィン取材を担当する民放社会部記者が話す。
「昨年は区の強い呼びかけなどもあり渋谷は比較的、落ち着いた様子でした。今年は2万人近い人出が見込まれていましたが、雨のせいもあってか、人の姿はそれほど多くなかった。
それでも小競り合いはいくつか発生していて、当日夜には男女2人が警戒にあたっていた機動隊員に対する公務執行妨害で現行犯逮捕されています。2人は酒酔いの可能性があったようです」
記者が取材のため渋谷に訪れたのは30日の22時頃。まず感じたのが、人流規制の”本気度”だ。例年、最も混雑する「センター街」付近は一方通行が徹底されており、立ち止まるとすぐさま警官らに声をかけられる。警察官が、無理やりUターンを試みたサラリーマンの酔客をタックルのような勢いで制止する場面もあった。
加えて、昨年のハロウィン前から施行された「路上飲酒禁止」条例。この日も、コンビニなどで酒は一切売られていなかった。
センター街はほとんど、仮装した外国人ばかり。では日本人はどこへ流れたか。その姿はクラブにあった。
午後10時ごろ、場所はホテルやクラブが立ち並ぶ円山町。〈女性優先〉〈男性〇〇円ファストパス〉などをうたうクラブには、まだ開店前にもかかわらず、日本人が長蛇の列をつくっていた。近隣でショットやフランクフルトを露天販売していた飲食店従業員が語る。
「去年もわりと早い時間、クラブが開く21時ごろから人がごった返していますね。話を聞いてると、酒も買えないから”クラブ直行”という子が多い」
クラブに行ってみると、100人近い人が入場列に並んでいた。そのなかの20代女性は「センター街だるいっすもん」と漏らした。
「センター街はもう、お酒も飲めないしつまんない。写真撮ろうとして止まると、(警官らに)なんか注意されるし。行く意味なくない?って感じ(笑)。酔っ払ってる外国人も多いから。だったらもう最初からクラブ入っちゃった方が楽しいかなって。ハコの中だったら”迷惑ハロウィン”じゃないっしょ」
終電の時間を越えると、さらに人手は増えた。道を埋め尽くすほどの雑踏ができ、通り抜けようとする車やタクシーも身動きがとれない。なかなか進まない車列にイライラして、クラクションを鳴らしまくる運転手もいた。
〈女性優先〉とされる、あるクラブでは”ピンク狼藉”も横行していた。
記者が”優先パス”の料金を支払い、喫煙所で一服をしていると、目のうつろな若者がおもむろに「酒だけすか?」と声をかけてきた。
「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ。持ち帰り放題っすから。ハロウィンの日は、ピンク系ちょい高めに売れるんすよ。どうです?」
滞在時間は2時間ほどだったが、謎のクスリを勧めてきたのはこの男だけではなかった。様子をうかがってみると、記者のようにひとりでいる男性に声をかけまくっている。こちらが取材だと告げると、「いつでも声かけて」と言ってみなその場を去っていった。
この日に限ってかどうかは不明だが、売人のような人物が”渋ハロ”に来た女性たちを狙い目にしているのだろうか。
他方、「区のルールや規制が理解されづらいことが課題」(民放社会部記者)とされていた外国人観光客はどうだったか。
ミニオンズの仮装をした20代男性らはこう話した。
「今夜はどうかって? 土砂降りだしサイアクだよ。去年も来たんだけど、今年は『仮装外国人NG』のバーもあってさ。もっと飲みたいんだけど、路上でも飲めないし。あそこの外国人しかいないバーはさっき1時間くらいいたんだけど、人が多すぎてね。潰れるかと思った」
区が出していたルールについてはこう言う。
「”ルール・イズ・ジャストルール”だろ。俺らはバーで飲みたいって言っているんだよ、外で飲んでバカ騒ぎしてるわけじゃないぜ、ブラザー」
“センター街離れ”した日本人と、規制強化の影響に「少しがっかり」の外国人。”渋ハロ”は住み分けの時代になったのかもしれない。

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