”きょう失職”田久保伊東市長の冬のボーナス支給は「1日差」で阻止されていた 190万円の節税に貢献した市幹部の「ナイスな機転」

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今日(10月31日)の午前10時から、静岡県伊東市議会で臨時会が開催される。そこで田久保眞紀市長への2度目の不信任決議案が可決され、田久保氏は即日失職する見通しだ。田久保氏の“学歴詐称”疑惑が報じられた後、前橋市の小川晶市長が部下の既婚男性とホテルに通っていた問題が発覚。前橋市議会7会派が小川市長に辞職要求を突きつける事態にまで発展している。小川市長の今後を占う上でも、田久保氏の“失職”に注目が集まっているが、ここに至るまでには、伊東市の職員たちの知られざる苦労があった。実は彼らの機転があったからこそ、これ以上の無駄な支出を「1日差」で阻止できたのである。
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田久保氏に学歴詐称疑惑が浮上したのは6月下旬。7月に一度辞めると宣言したが、「与えられた使命を全身全霊を傾けて実現したい」と撤回し、居座りを決め込んだ。一度民意で選ばれた人物に問題が生じても、辞めさせることがいかに大変か市民も痛感しただろう。
9月1日、議会は百条委員会で学歴詐称を認定されてもなお辞めようとしない田久保氏に、1度目の不信任決議を可決した。だが、田久保氏は辞職せず9月10日に議会を解散。結局、10月19日に投開票された市議会選挙では、不信任に賛成した全議員18人が当選し、無駄なあがきに終わった。今日、2度目の不信任決議が可決されれば、もう田久保氏にはカードは残されておらず、失職するというのがこれまでの流れである。
実は当初、議会側は不信任決議案の提出を12月1日から始まる定例会まで待たなければならなくなる展開が危惧されていた。10~11月は定例会がなく、臨時会の招集権限を持つ田久保氏が自分の失職を早める行為を自ら行うとは考えにくかったからだ。
議長もしくは議員定数の4分の1以上の賛同者がいれば、開催要求をすることも可能だが、選挙を終えたばかりの議会には議長もいなければ会派も存在しない。
「議長選出などの事務手続きには通常2週間は要するし、市長は議長らから臨時会の開催要求を受けても『20日以内に招集しなければならない』という取り決めなので、田久保氏がこれまで通りのらりくらりの逃げを決め込めば、開催は厳しいと見られていました」(市役所関係者)
そんな暗雲が立ち込めていた9月中旬、動いたのは市の幹部たちだった。議会が解散して存在しない中、“別の名目”で田久保氏に臨時会開催を迫ったのである。
「9月初めに静岡県内を襲った台風15号で、伊東市も一部道路などが損傷する被害を被っていたのですが、その災害復旧にかかる補正予算を早急に計上したいと田久保氏に訴えた。災害復旧という緊急を要する話で詰め寄られ、市長も首を縦に振らざるを得なかった」(同)
臨時会開催が10月31日になったのは偶然ではない。市幹部には田久保氏の“冬のボーナス権利”を消滅させる狙いもあった。
「特別職の期末手当について定めた条例には、支給条件は基準日である12月1日から1カ月以内に在職していた場合と定められている。つまり退職が11月1日ならセーフで10月31日だとアウト。11月に1日でも差し掛かっていれば、田久保氏は満額の8割分をもらえる権利を獲得できたのです。当然、幹部たちはこの1日の差が財政に及ぼす影響も考えていた。辞めると決まっている市長を延命させて“追い銭”を渡すことは明らかに無駄な支出ですからね」(同)
退職金も1日の違いで1カ月分減る。期末手当約148万7700円万円(満額185万9625円の8割分)、1カ月分の退職金約38万4750円、しめて約187万2450円を“節税”できた計算だ。
「一日でも早く辞めさせたいのは議会側も同じ。だから、かなりタイトなスケジュールで事務方と協議しながら今日の開催にこぎつけたのです。役所にかかってくる電話には、市議選にかかった約6500万円の費用などへの抗議も多い。職員たちは幹部と議会の連携プレイを『グッジョブ』と褒め称えています」(同)
当の本人はそんな周囲の苦労などどこ吹く風といった様子である。23日、東海地域の市長会に出席するために、岐阜まで車で5時間かけて県外出張。日本三大朝市のひとつ『宮川朝市』を視察し、「ウチもぜひこうなるよう頑張りたい」とコメントして顰蹙を買った。
「そもそも1週間後に辞めると決まっているのに他地域の市長と意見交換して何の意味があるのか。付き合え合わされる職員たちもかわいそうだし、ガソリン代の無駄遣いです」(同)
しかし、これで田久保劇場の“閉幕”が決定したわけではない。田久保氏は出直し市長選に意欲を示しているとされる。兵庫県で起きたような「奇跡のカムバック」が実現する可能性もゼロではないのだ。
関連記事【職員たちが「もう少しの辛抱」と励まし合っている中で…田久保伊東市長に「まさかのゾンビ復活説」】では、12月に行われる予定の出直し市長選で、田久保氏が再選するシナオリについて伝えている。
デイリー新潮編集部

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