連続“強盗犯”は帰宅して着替え・マスクも換えた その15分間で“墓穴” スピード逮捕に 東京・福生市

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先月14日、東京・福生市の牛丼チェーン「吉野家」と「すき家」で起きた連続強盗事件で、27歳の男が再逮捕された。わずかな時間に、2つの店舗に押し入ったとされる男。1件目と2件目の間に、自宅に帰り、着替えをしていたことが新たに分かった。
無職の小阪渉生(しょうき)容疑者(27)は、先月14日、福生市の牛丼チェーン「吉野家」に押し入り、持っていたカッターナイフで店長らを脅して、レジの中から現金1万9000円を奪った逃走した疑いがもたれている。再逮捕の容疑は強盗だ。
当時、小阪容疑者は、客を装って、カウンター席に座り、水を飲んだり、メニューをながめたりしていたという。午前11時27分ごろ、注文を取りに来た店員の女性(45)に対して、カッターナイフを突きつけた小阪容疑者。
女性が逃げると、厨房まで執拗に追いかけ、そこで店長の男性(50)の首に、カッターナイフを押し当てて、「金を出せ」と脅したという。そして、レジの中から、現金1万9000円を奪って逃走したとのこと。およそ7分間の犯行だった。
当時、店内には客が1人、居合わせたが、ケガ人はいなかった。被害者の店長の男性は、「カッターナイフを突きつけられ、金を取られた。若い感じの男が自転車で逃げていった」と110番通報していた。
既報の通り、小阪容疑者は、直後に、およそ1キロ離れた「すき家」にも押し入ったとされる。「吉野家」から出て、およそ15分後の犯行だったが、実は、この間に、いったん自宅に戻り、着替えをしていたのだ。
「吉野家」強盗の際には、「グレーのフード付きパーカー」に、「黒いマスク」姿だった小阪容疑者。ところが、自宅で「黒いTシャツ」に着替え、「白いマスク」に変えていたのだ。マスクの色まで変えると、印象が違って見えると思ったのか。
ところが、この15分間で、小阪容疑者は墓穴を掘ったことになる。「吉野家」店長からの110番通報を受けて、警視庁の初動捜査は迅速だった。福生署だけではなく、多摩地区を担当する第3機動捜査隊も動いていたのだろう。
ドラマなどでも、度々、取り上げられる、いわゆる「キソウ」のことだ。管轄内をパトロールしつつ、事件が起きると、いの一番に駆けつける役目を負っている。
午前11時50分ごろ、「すき家」に押し入った小阪容疑者。店員と肩を組むような形で、カッターナイフを突きつけ、レジの中の金を要求した直後には、複数の捜査員が、ドッと店内になだれ込んでいたんのだ。羽交い締めにされて、取り押さえられた小阪容疑者は、強盗致傷と建造物侵入の現行犯で逮捕された(起訴済み)。
別人物による犯行を装うため、自宅で着替えている間に、初動捜査の態勢が整ったと言えよう。「自転車で逃げた」との情報も、事件解決に、一役買ったに違いない。カッターナイフで脅された男性店員は、幸いにも軽傷だった。
「すき家」強盗で現行犯逮捕された際、小阪容疑者は、「ネットゲームで知り合った仲間に50万円の借金があった。その返済に困って強盗に入ったことに間違いない」と容疑を認めていた。その上で、「とっさに思いついたのが強盗だった」と話していた。何とも短絡的な犯行だ。
ところが、今回、再逮捕された「吉野家」強盗については、「黙秘します」と話しているという。現場の状況などから考えると、いずれの事件も、小阪容疑者の犯行とみて間違いないだろう。黙秘に転じた意図が理解できない。
実は、逮捕直後に自供していた容疑者が、取り調べが進むと、「黙秘」を始めるケースは少なくない。弁護士の”弁護方針”が影響していることが多いと聞く。小阪容疑者が、なぜ、黙秘に転じたかは明らかにされていない。確かに、黙秘権は認められているのだが・・・。
(フジテレビ報道局・解説委員 平松秀)

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