秋田県知事を4期16年にわたり務め、4月に退任した佐竹敬久さん(77)が、読売新聞のインタビューに応じた。
現在は秋田市の自宅で妻の睦子さん(78)の家事を手伝いながら、秋田市長時代を含め四半世紀の政治家人生を軸に講演や原稿の執筆を行う日々。鈴木知事への評価も語った。(聞き手・吉田夏子)
――退任後の生活は。
「家事を手伝ったり、料理が好きなので近所のスーパーマーケットで食材を買って夕飯を作ったりもする。新聞社などからの取材を受けたり、講演や原稿執筆を頼まれたりもする。(知事時代に経緯を見てきた)三菱商事が洋上風力事業から撤退したこととか。結構ね、(依頼が)来るんだな。本音を書くから」
――知事時代、クマ対応への苦情電話に「お前のところにクマを送る」などと過激な発言が注目された。
「クレームは無駄だ、ということを示したかった。『死んじゃえ』とかひどいことを言う人は、ただうっぷんを晴らしたいだけで、本当にクマが好きな人はそうしつこくなかった。間違ったことは言ってない」
――発言では、比内地鶏を「3倍高いが、3倍うまいかはわからない」や、愛媛県特産のじゃこ天を「貧乏くさい」と述べ、物議を醸した。
「比内地鶏ね、うまいんだよ。ところが数が少ない。値段が高いからたまにしか使わないが、地元のものは口にあう。じゃこ天ね、愛媛のかまぼこの組合関係者から(売り上げが伸びて)ものすごい感謝された。変に運がいいんだよ」
――先輩として、鈴木知事へのアドバイスは。
「真面目で頑張っている。ただ、控えめなので、もう少しアピールしてほしい。例えば、国がコメを増産する方針でしょ。国にね農業政策を訴えるのは今なんだよ。(効率化を図る)農業の大規模化とか。どんどん押した方がいい」
――県内では、鈴木知事(50)、秋田市の沼谷純市長(52)、大館市の石田健佑市長(28)など若い首長が増えた。
「若いから、失敗してもやり直しがきく。そして住民の意見に耳は傾けるけれど、政治家は人の言うことを聞いていてはだめ。自分で考えること。日本は何でも平等だが、可能性のある企業をどんどん強くするべきで、財政は相当やりくりしてきた。言われるがままにしない」
――目標は。
「(未就学児の)孫2人が大きくなるまで生きている」