元組長が語る暴力団業界、「わざわざヤクザを選ぶ若者はいなくなった」理由

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警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、若者が減っているというヤクザ業界の最新事情について。
【写真】逮捕されたら容疑者はどうなるか * * *「ヤクザは運に左右される」と、ある暴力団の元組長がいう。「どこの組に入るか、その組の組長がどんな人物なのかで、ヤクザとしての人生は多分に変わる」というのだ。「といって最近は、ヤクザになりたいという若い者はいない」と苦笑いする。

前にも書いたことがあるが、組長に指がない組では、指のない組員が多くなるらしい。自分に指がないため、指がなくなることを大したことだと思わないらしい。つまらない事に怒り、すぐに「指を持ってこい」と指示するのだ。 その指示に従い「中には6回も指を落とした組員もいる」と元組長。この組員はどうやら、左右の小指をなくしたようだ。足の指を持っていった者もいたらしい。 ヤクザになりたいという若者が激減し、高齢化を叫ばれるようになってきた暴力団業界について、元組長は「昔のかっこいいヤクザ映画の主人公のような、憧れの組長がいなくなった。右を見ても左を見ても、組長はみんなシニアばかり。幹部もシニアが中心だ。シニアほど昔気質のヤクザが多いから、若い者とのギャップはどんどん激しくなる」。 ギャップがあるからといって、組員は組長に逆らえない。自分が入った組が武闘派的な組だとしたら、「あいつをやってしまえ」と指示されることが他の組より頻繁に起こるというのだ。「四次団体とかで、目立って上に上りたい者がトップにいる組の組員は、かわいそうなものだ。若い者はいつ自分にお鉢が回ってくるのか、話が出る度に考える。小さい組のトップはどうせ自分ではやらないし、やりにいかないから、組員たちはすぐに自分にお鉢が回ってきてしまう。やったところで小さな組ほど、以前の暴力団業界のように後々まで手厚く面倒を見てくれるという保障は何もない」(元組長)。刑務所から出所したら、帰る組がなくなっていたという話すら聞く。 そしてそういうトップほど、「うちの若いやつが勝負をかけたからな」と自慢気に話をし、「うちのやつらは口が堅いから、俺まではこない」と話すらしい。元組長に言わせれば、「今のご時世、こんなことを自慢する組長のところには、人が集まらなくなってくる」。巡り合わせでどうなるかわからない 元組長の組はそこそこ大きかったが、彼は目立って出世をしたいタイプではなかった。だから、頻繁に「やれ」と命じる組長の下にいる組員が、かわいそうになるらしい。「自分でその人についていきたいと思ったのではなく、自分の親分がそこについたから、その組織に入ったという者もいる。ヤクザの世界、巡り合わせでどうなるかわからない」。「組員が口を割らないのは、そいつが組織にいる下の者としてしっかりしているからで、組長が尊敬できるとか、リーダーとしてきっちりしているというわけではない」と元組長は言う。「そう豪語する人ほど、どこからか自分が関与し、指示したことがバレ、その人まで捜査の手が伸びるものだ」(元組長)。結局は組長も逮捕されることになる。 ところが今では若い者が入ってこないこともあり、世間を騒がすような襲撃事件は、下っ端の組員ではなくシニア幹部が勝負をかけるという事態が続いている。「どこの組でも本部組織に行きたいやつは多く、そこに人が流れているが、新しい者がどんどん入ってきているわけではない。わざわざヤクザを選ぶような若い者はいなくなってきた」という元組長は、「ヤクザになっても稼げなくなったしな」とため息をついた。「さてこれから正月に向け、年賀状を自分で印刷する」。前はすべてを印刷店に出し、宛名書きは書き家と呼ばれる人たちに頼んでいたというが、「パソコンとプリンターがあるから、自分でカチャカチャやればできる」と軽口をたたいて笑った。どれくらい印刷するのか、あえて聞かなかった。
* * *「ヤクザは運に左右される」と、ある暴力団の元組長がいう。「どこの組に入るか、その組の組長がどんな人物なのかで、ヤクザとしての人生は多分に変わる」というのだ。「といって最近は、ヤクザになりたいという若い者はいない」と苦笑いする。
前にも書いたことがあるが、組長に指がない組では、指のない組員が多くなるらしい。自分に指がないため、指がなくなることを大したことだと思わないらしい。つまらない事に怒り、すぐに「指を持ってこい」と指示するのだ。
その指示に従い「中には6回も指を落とした組員もいる」と元組長。この組員はどうやら、左右の小指をなくしたようだ。足の指を持っていった者もいたらしい。
ヤクザになりたいという若者が激減し、高齢化を叫ばれるようになってきた暴力団業界について、元組長は「昔のかっこいいヤクザ映画の主人公のような、憧れの組長がいなくなった。右を見ても左を見ても、組長はみんなシニアばかり。幹部もシニアが中心だ。シニアほど昔気質のヤクザが多いから、若い者とのギャップはどんどん激しくなる」。
ギャップがあるからといって、組員は組長に逆らえない。自分が入った組が武闘派的な組だとしたら、「あいつをやってしまえ」と指示されることが他の組より頻繁に起こるというのだ。
「四次団体とかで、目立って上に上りたい者がトップにいる組の組員は、かわいそうなものだ。若い者はいつ自分にお鉢が回ってくるのか、話が出る度に考える。小さい組のトップはどうせ自分ではやらないし、やりにいかないから、組員たちはすぐに自分にお鉢が回ってきてしまう。やったところで小さな組ほど、以前の暴力団業界のように後々まで手厚く面倒を見てくれるという保障は何もない」(元組長)。刑務所から出所したら、帰る組がなくなっていたという話すら聞く。
そしてそういうトップほど、「うちの若いやつが勝負をかけたからな」と自慢気に話をし、「うちのやつらは口が堅いから、俺まではこない」と話すらしい。元組長に言わせれば、「今のご時世、こんなことを自慢する組長のところには、人が集まらなくなってくる」。
元組長の組はそこそこ大きかったが、彼は目立って出世をしたいタイプではなかった。だから、頻繁に「やれ」と命じる組長の下にいる組員が、かわいそうになるらしい。「自分でその人についていきたいと思ったのではなく、自分の親分がそこについたから、その組織に入ったという者もいる。ヤクザの世界、巡り合わせでどうなるかわからない」。
「組員が口を割らないのは、そいつが組織にいる下の者としてしっかりしているからで、組長が尊敬できるとか、リーダーとしてきっちりしているというわけではない」と元組長は言う。「そう豪語する人ほど、どこからか自分が関与し、指示したことがバレ、その人まで捜査の手が伸びるものだ」(元組長)。結局は組長も逮捕されることになる。
ところが今では若い者が入ってこないこともあり、世間を騒がすような襲撃事件は、下っ端の組員ではなくシニア幹部が勝負をかけるという事態が続いている。「どこの組でも本部組織に行きたいやつは多く、そこに人が流れているが、新しい者がどんどん入ってきているわけではない。わざわざヤクザを選ぶような若い者はいなくなってきた」という元組長は、「ヤクザになっても稼げなくなったしな」とため息をついた。
「さてこれから正月に向け、年賀状を自分で印刷する」。前はすべてを印刷店に出し、宛名書きは書き家と呼ばれる人たちに頼んでいたというが、「パソコンとプリンターがあるから、自分でカチャカチャやればできる」と軽口をたたいて笑った。どれくらい印刷するのか、あえて聞かなかった。

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