日本航空の国際線の男性機長(懲戒解雇)が米ホノルル滞在中に社内規定に反して飲酒した問題で、日航は30日、飲酒リスクがあると判断された全てのパイロットを乗務から外すことを柱とした再発防止策を国土交通省に提出した。
日航はこれまでの暫定対策で、飲酒リスクが高いとされたパイロット4人を乗務から外していた。健康診断のデータや過去の飲酒歴などを基に飲酒リスクを改めて判定した結果、新たに2人が対象となり、現在は計6人が乗務から外れている。日航は飲酒リスクが疑われるパイロットは十数人いるとしており、減酒指導などを行っていくという。
再発防止策には、滞在先でのアルコール検査の強化も盛り込まれた。これまで出発2時間前までに行っていた検査に加えて、出発8時間前までの検査も追加することで、滞在先での禁酒の実効性を確保していく狙いがある。
また経営陣とパイロットとの関係について、「十分な一体感が醸成されておらず改革に取り組む風土作りが十分ではなかった」と指摘。改善策としては、経営陣と全パイロットの対話などを進めて意思疎通を図っていくとした。
今回の問題は、昨年末に豪メルボルンでのパイロット飲酒問題で国交省から業務改善勧告(行政指導)を受け、再発防止に取り組んでいる中で起きた。日航は9月11日に男性機長を懲戒解雇し、同17日、鳥取三津子社長ら全ての取締役・執行役員計37人の月額報酬を減額する処分を行った。
日航は再発防止策提出に合わせ、「二度と飲酒問題を繰り返さないという強い意識を持ち、社会の信頼回復に全力で取り組む」とコメントした。