道頓堀火災から1週間、大型の「装飾広告」は数分で燃焼…広告伝いに燃え広がったか

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大阪市中央区の繁華街・道頓堀の雑居ビルで消火活動中の消防隊員2人が死亡した火災で、ビル外壁に設置されていた大型の装飾広告は火災発生後、数分で焼けていた。
火災は25日で発生から1週間。市消防局は広告伝いに火が燃え広がったと推定しており、繁華街に多い大型広告物の火災時の危険性が浮き彫りになった。
火災は18日午前9時45分頃に発生。隣り合う6階建てと7階建てのビル2棟計約100平方メートルが燃え、7階建てビルで活動していた消防司令の森貴志さん(55)と消防士の長友光成さん(22)が亡くなった。市などによると、2人は5階部分の天井の一部が崩落したため6階に移動した後、酸素欠乏による窒息で死亡したと推定される。
同局などによると、火は6階建てビル南側の1階から、中層階の外壁にあった広告(高さ8・6メートル、幅4・2メートル)を伝って燃え広がり、7階建てビルの5階南側の窓ガラスを焼いて建物内に延焼したとみられる。2棟の外壁の焼損面積は南側を中心に計約170平方メートルに及んだ。
読売新聞は火災の目撃者から提供を受けた動画で、出火から間もない午前9時50分頃、6階建てビルの広告がすでに焼け落ちているのを確認した。
建築基準法では、高さ3メートル以上の広告物は「主要な部分が、火災による熱が加えられた場合に20分間燃焼しない不燃材料で造らなければならない」としている。市によると、焼け落ちた広告は市条例に基づく申請が出ており、広告の素材は「防炎ターポリン」と記されていた。「ターポリン」はポリエステルを難燃材で挟み込んで燃えにくくしたもの。市は燃えた広告について詳しく調べる。
繁華街の道頓堀は、巨大な看板や広告を掲げたビルが多く、大阪らしいにぎやかな街並みが観光客に人気だ。市はその点を考慮し、道頓堀川に面した建物の壁面では屋外広告物の大きさの規制を、市内の通常の「壁面の3分の1以下」から、「5分の4以下」に緩和している。
元東京消防庁麻布署長で公益財団法人「市民防災研究所」の坂口隆夫理事は「繁華街ならではの火災と言える。ビルが耐火構造だったとしても、大型広告がそれより燃えやすい素材であれば、耐火構造が無駄になってしまう」とし、「大型広告は金属製などにするべきだ。もし燃えやすい素材を使っている建物があれば、事業者は自主的に変更するのが望ましい」と指摘する。
捜査関係者によると、6階建てビルの1階に設置されていた空調の室外機周辺には激しく燃えた跡があり、大阪府警は火元の可能性があるとみて調べている。
独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」によると、空調の室外機による火災などの事故は2020~24年度の5年間で205件あった。
原因が判明している131件のうち、25件は製品不良など室外機自体に問題があった。残る106件の多くは外部から室外機に火が燃え移ったとみられ、たばこの不始末などが考えられる。
同機構の担当者は「樹脂性のカバー部分や内部にある潤滑油は燃えやすく、一度火がつくと激しく燃焼する危険性がある」と話す。

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